控訴申立について|ダーウィン法律事務所 刑事事件専門サイト

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控訴申立について

1.判決宣告前の準備

 第一審の裁判は、検察官や弁護人が、裁判所がどのような判決を下すべきかについての意見を述べた後、被告人に最後の陳述の機会を与えて結審することになります。罪を認めている事件の場合には、2週間程空けた後に判決宣告日が設定されることが多く、無罪を主張している場合には、1ヶ月以上空くことが多いものといえます。
 その際に、まだ保釈の請求が認められていない場合には、保釈の請求を行う最後の機会になりますから、保釈の請求を検討する必要があるでしょう。
 判決宣告待ちの状況下においては、必要な証拠は既に裁判所が取調べている事になる訳ですから、証拠隠滅は不可能な状況にあるものといえます。保釈の請求が最も認められ易い時期といえるでしょう。重大な罪についての裁判であったとしても、保釈請求については諦めるべきではありません。
 また、後述するとおり、判決の宣告を受けてから、控訴するかどうかを判断する期間は極めて短期間しかありません。そこで、どのような結論の場合に控訴をするのか等について、判決の前に十分に打ち合わせを行う必要があります。

2.早急な判断が求められます

 第一審の判決に不服がある場合、第一審の判決を破棄させることを目的に弁護人として活動することとなります。そして、第一審の判決に対する上訴を控訴といいます。
 刑事訴訟法は、控訴について、次のように定めています。

刑事訴訟法
第373条
 控訴の提起期間は、14日とする。
第351条1項
 検察官又は被告人は、上訴をすることができる。
第355条
 原審における代理人又は弁護人は、被告人のため上訴をすることができる。
第374条
 控訴をするには、申立書を第一審裁判所に差し出さなければならない。

上述のとおり、控訴するかどうかを検討するための期間は、判決宣告日の翌日から数えて2週間しかありません。控訴を検討している間に控訴期間が経過してしまっては目もあてられませんから、控訴の可能性があるのであれば、判決宣告日に控訴の申立自体はしておくべきでしょう。
 刑事訴訟法第355条が定めているとおり、控訴審を担当する予定のない弁護人であっても、第一審で弁護人に選任されていれば、控訴することは可能です。
 控訴申立自体は、第一審の弁護人に依頼して必要があるでしょう。
 この点、控訴するかどうかを、判決書をよく確認してから決めたいという意向もあるかもしれません。しかし、刑事裁判についての判決書は、判決宣告日に交付される訳ではなく、判決書が交付されるのを待っていると、その分だけ、控訴の検討機関が短くなってしまいます。
 ですから、上述したとおり、判決が宣告される前の段階での打ち合わせも必要となりますし、判決宣告日に裁判官から口頭で読み上げられる内容についてもしっかりと確認しておく必要があります。
 なお、判決書入手前に、十分に控訴の有無を検討する必要はあるのですが、控訴審を担当する弁護人が、控訴すべきかどうか、また控訴審における弁護方針を定めるにあたっては、判決書は必要不可欠です。
 しかしながら、この判決書は、判決宣告後に、裁判所が自主的に被告人や弁護人に手渡してくれるものではなく、弁護人や被告人から請求しなければ判決書はもらえません。控訴を検討する場合には、判決書を入手するように、第一審の弁護人に必ず依頼をしておきましょう。
 控訴を申し立てる場合には、控訴申立書を一審の裁判所に対して提出することになります。名宛人は高等裁判所となります。この点についても、極めて形式的な書面ですから、被告人が提出するのではなく、一審の弁護人に提出を依頼するべきです。形式的な不備によって受理されないと非常に困りますので。

3.控訴しない場合の処理

 他方で、望まない判決が宣告された場合に、全員が控訴を申し立てる訳ではありません。比較的短期間の実刑判決が宣告された場合に、控訴することなく、早期に服役を開始して、社会復帰の時期を早めると言う選択肢に合理性が認められるケースも考えられるのです。
 このように、控訴しないという判断も、十分に合理的な場合があります。そこで、判決宣告前に十分に打ち合わせを行っておく必要があるのですが、何らかの事情で更なる検討期間が必要な場合も考えられます。  このような場合であっても、控訴して高等裁判所での審理を望む可能性がある場合には、とりあえず控訴は申し立ておくべきでしょう。検討した結果、控訴審での審理を望まない事になった場合には、その後に取り下げることもできます。

刑事訴訟法
第359条
 検察官、被告人又は第352条に規定する者は、上訴の放棄又は取下をすることができる。

 しかしながら、結局控訴を取り下げる事になる場合には、取り下げるまでの期間が無駄になってしまいます。やはり、控訴期間内に控訴するかどうかを判断できるように、判決宣告前から弁護人や関係者との打合せを十分に行っておくことが望まれます。
 また、上述した規定には、上訴の取下げだけでなく、上訴を放棄うる旨についても定められています。上訴を放棄することによって、裁判が確定する日を早めることが可能です。つまり、上訴しないことが決まっている場合であっても、特段の手続をとらない場合には、控訴期間が経過する2週間の間は、裁判が確定することがありませんから、刑が執行されることもなくなります。
 しかしながら、上訴する意思がなく、上訴することについての打ち合わせも終わっている場合で、早期の服役を望んでいる場合には、2週間の間、身柄を拘束されていても何の意味もありません。当然、受刑者となってしまった場合には、それまでよりも面会の要件が厳しくなりますから、多くの方との面会を可能にするために、上訴する意向がない場合であっても、上訴を放棄しないという選択肢もありますが、そのような必要がない場合には、上訴の放棄の手続についても、第一審の弁護人に依頼しておく必要があるでしょう。

4.控訴を依頼する場合

 控訴審では、一審の裁判官が宣告した判決と戦わなくてはなりません。検察官との戦いだった一審とは相手が異なることになるのです。そうすると、被告人や検察官の主張内容だけではなく、一審の裁判官が、どのような証拠をもとに、どのような判決を宣告したのかを吟味できなければ、控訴審における弁護方針を検討することができません。
 また、控訴審の段階では、一審の際に裁判所に提出された証拠資料等についても手元にあることが多いと思います。ですから、控訴審についてのご依頼を御検討いただける場合には、関係書類を全て持参していただければと思います。
 他方で、証拠書類等の裁判資料は、一審の弁護人の手元にあることも多いです。一審の弁護人から借りることができない場合には、ご依頼いただいた後、控訴審を担当する弁護人から、裁判所や一審の弁護人に記録の謄写をお願いすることもできますので、お手元に証拠資料がない場合であっても、遠慮なさらずに御相談いただければと思います。