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風営法違反について

1  風営法違反事件とは

 風営法(正式名称:風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持すること、また、少年の健全な育成、風俗営業の健全化、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とし、そのために、風俗営業・性風俗関連特殊営業等について、営業時間、区域等を制限すること、年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等の規制を規定しています(風営法第1条)。

 この規定に違反した場合、刑罰が科せられることになります。

2  風営法違反の成立要件

 風営法では、風俗営業を営む者に対して、義務及び罰則を規定しています。

 風俗営業とは、具体的に、キャバクラ・ホストクラブ・バーなどの営業喫茶店、麻雀荘、パチンコ屋等が該当します(風営法第2条)。

 これらの営業者を、風俗営業者といい、風俗営業者が、風営法に違反した場合に、刑罰が科せられます。

3  風営法違反の罪の故意

 風営法違反の罪は、規定を知らなかったからといって、免れることはありません。風営法によって、営業の許可が必要な事業を、許可が必要と知らなかったから、また、営業するにあたっての義務を理解できていなかったからという場合であっても、規定に違反すると罪に問われてしまいます。

 なお、18歳未満・20歳未満に対する規制に関して、当事者が18歳未満・20歳未満であったかを知らずに営業所への立ち入り・酒類等の提供をしてしまった場合は、風営法違反は成立しません。

 ただし、18歳未満・20歳未満であるかもしれかいと思いつつも、その確認をしなかった場合、風営法違反が成立することがあります。疑いのある場合は、面倒であっても、年齢の確認することが大切です。

 

4  よくご相談いただく行為態様

(1)無許可営業・不正手段による許可取得

 風俗営業を営むためには、その種別に応じて、営業所ごとに、管轄の都道府県公安委員会からの許可を得なければ営業できません。

 許可を受けずに営業した場合、2年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金、又は両方の刑罰が科せられます(風営法第3条、同49条)。

 また、許可を受けるのに不正の手段を用いた場合も同様の罰則が科せられます。

 風俗営業の許可を受けるには、風俗営業者及び営業所について、風営法上の基準を満たしていることが必要です。例えば、破産者で復権を得ない者・一定の前科がある者等は許可取得ができません。さらに、営業所については、構造又は設備が基準に適合している等が基準となります(風営法第4条)。

 

(2)営業停止処分違反

 営業の許可を受けて、営業していた場合であっても、風営法もしくはその他法令に違反し、また、著しく善良の風俗・清浄な風俗環境を害す場合・少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認められる場合は、許可の取消、または6ヶ月を超えない範囲での営業停止処分がされます。

 営業停止処分をくだされたのにも関わらず、営業をしてしまうと、2年以下の懲役、もしくは200万円以下の罰金、又は両方の刑罰が科せられます(風営法第26条、同49条)。

 

(3)禁止行為違反・義務違反行為等

 風俗営業を営む上では、多数の禁止行為及び義務が定められています。

 具体的に、禁止行為として、名義貸し・客引き行為等があります(風営法第11条、同22条、同49条、同52条)。

 義務違反行為としては、営業所の構造又は設備の変更をしようとしたにも関わらず、あらかじめ公安委員会の承認を受けずに変更をした・許可証等を営業所の見やすい場所に掲示していなかった・営業所ごとに管理者を選任しなかった等があります(風営法第6条、同9条、同24条、同50条、同54条、同55条)。

 具体例以外にも、多くの規定があり、それらに違反した場合、違反内容ごとに、それぞれの罰則が科せられます。

 

(4)18歳未満・20歳未満に関する規制違反

 18歳未満の者に、接待をさせることは禁止されています。また、午後10時から翌午前6時までの時間において、客に接する業務に従事させること、さらに、一定の営業所に客として立ち入らせることは風営法違反となり、1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金又は、両方の罰則が科せられます。(風営法第22条、同50条)。

 また、20歳未満の者に対し、酒類・たばこを提供した場合も、同様の罰則が規定されています(風営法第22条、同50条)。

 風営法の目的である、少年の健全な育成を図るため、風営法では、少年らに対しての規制も厳しくなっていますので、充分な注意が必要です。

 なお、風俗営業店へ出入りする少年に対し、風営法により定める少年指導委員によって、補導及び指導することが認められています(風営法第38条)。

 

5  風営法違反の罪の弁護方針

(1)犯罪事実を認める場合

ア  弁護方針

 風営法は、善良な風俗・清浄な風俗環境を保持するために規定されており、これに違反することは、社会の秩序を著しく乱す行為になり、また、無許可営業等の場合には、証拠の隠滅・関与者との接触の恐れが大いにあるため、逮捕・勾留される可能性が非常に高い罪となっています。

 さらに、条文が細かく、様々な業種についての規定がされているため、警察や検察からの取り調べにおいて、知らず知らずのうちに自己に不利益な供述をしてしまう恐れがあります。

 そのため、風営法違反の罪で捜査を受けてしまった場合、速やかに弁護士を介入し、その被疑事実を明確にし、資料等を正確に集め、的確な対処方法をとることをが必要です。

 風営法に精通した弁護士を介入させることで、的確な対処方法をとり、不起訴処分獲得や、懲役刑ではなく、罰金刑にとどまらせること、執行猶予付き判決などを目指します。

 

イ  身柄拘束からの早期の解放

 逮捕・勾留されてしまった場合、風営法違反のその行為態様、その行為に対する認識、行為及び逮捕にまで至った経緯等を正確に確認し、事実関係から被疑者に有利な事実を整理、その他証拠を集め、警察及び検察に対し、早期の身柄開放を働きかけます。

 また、事実関係を整理することにより、再犯防止策を講じ、その防止策を、警察及び検察に示すことも、有効な手段のひとつとなります。

 

ウ  再犯防止策

 再犯防止策としては、風営法違反に至った経緯・行為態様を見直し、原因を解明することにより、同じ過ちを繰り返すことのないようにします。

 また、法律の専門家である弁護士より、風営法についての正確な知識を元に、今後の営業方法について、アドバイスさせていただきます。

 

(2)犯罪事実を否定する場合

 犯罪事実を否定する場合、そもそも、風営法上の風俗営業にあたるのかどうか、また、被疑者がその経営者なのかどうかが争われることがあります。

 その他、18歳未満・20歳未満の者に関する規定違反の場合、その対象者の年齢を知らなかった、知ることが困難であったことを主張することになります。

 さらに、客引き行為について、従業員が勝手に行なっていたことであった場合、その事実を証明するため、その証拠を示します。

 弁護士により、被疑事実ごとの対処方法をアドバイスさせていただいた上、有利な証拠を地道に収集し、いち早く釈放されるようにつとめます。

 

6  法定刑一覧(参考条文)

風営法第1条(目的)

 この法律は、善良の風俗と清浄な風俗環境を保持し、及び少年の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するため、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等について、営業時間、営業区域等を制限し、及び年少者をこれらの営業所に立ち入らせること等を規制するとともに、風俗営業の健全化に資するため、その業務の適正化を促進する等の措置を講ずることを目的とする。

 

風営法第3条(営業の許可)

 風俗営業を営もうとする者は、風俗営業の種別(前条第一項各号に規定する風俗営業の種別をいう。以下同じ。)に応じて、営業所ごとに、当該営業所の所在地を管轄する都道府県公安委員会(以下「公安委員会」という。)の許可を受けなければならない。

 

風営法第6条(許可証等の掲示義務)

 風俗営業者は、許可証(第十条の二第一項の認定を受けた風俗営業者にあつては、同条第三項の認定証)を営業所の見やすい場所に掲示しなければならない。

 

風営法第9条(構造及び設備の変更等)

 風俗営業者は、増築、改築その他の行為による営業所の構造又は設備の変更(内閣府令で定める軽微な変更を除く。第五項において同じ。)をしようとするときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ公安委員会の承認を受けなければならない。

 

風営法第11条(名義貸しの禁止)

 第三条第一項の許可を受けた者は、自己の名義をもつて、他人に風俗営業を営ませてはならない。

 

風営法第22条(禁止行為等)

風俗営業を営む者は、次に掲げる行為をしてはならない。

1項 当該営業に関し客引きをすること。

2項 当該営業に関し客引きをするため、道路その他公共の場所で、人の身辺に立ちふさがり、又はつきまとうこと。

3項 営業所で、十八歳未満の者に客の接待をさせること。

4項 営業所で午後十時から翌日の午前六時までの時間において十八歳未満の者を客に接する業務に従事させること。

5項 十八歳未満の者を営業所に客として立ち入らせること(第二条第一項第五号の営業に係る営業所にあつては、午後十時から翌日の午前六時までの時間において客として立ち入らせること。)。

6項 営業所で二十歳未満の者に酒類又はたばこを提供すること。

 

風営法第24条(営業所の管理者)

 風俗営業者は、営業所ごとに、当該営業所における業務の実施を統括管理する者のうちから、第三項に規定する業務を行う者として、管理者一人を選任しなければならない。ただし、管理者として選任した者が欠けるに至つたときは、その日から十四日間は、管理者を選任しておかなくてもよい。

 

風営法第26条(営業の停止等)

 公安委員会は、風俗営業者若しくはその代理人等が当該営業に関し法令若しくはこの法律に基づく条例の規定に違反した場合において著しく善良の風俗若しくは清浄な風俗環境を害し若しくは少年の健全な育成に障害を及ぼすおそれがあると認めるとき、又は風俗営業者がこの法律に基づく処分若しくは第三条第二項の規定に基づき付された条件に違反したときは、当該風俗営業者に対し、当該風俗営業の許可を取り消し、又は六月を超えない範囲内で期間を定めて当該風俗営業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

 

風営法第38条(少年指導委員)

 公安委員会は、次に掲げる要件を満たしている者のうちから、少年指導委員を委嘱することができる。

 

風営法第38条の2

 少年指導委員は、風俗営業及び性風俗関連特殊営業等(性風俗関連特殊営業、特定遊興飲食店営業、飲食店営業、興行場営業、特定性風俗物品販売等営業及び接客業務受託営業をいう。第二号において同じ。)に関し、次に掲げる職務を行う。

 

風営法第49条〜57条(罰則)

第49条

 次の各号のいずれかに該当する者は、二年以下の懲役若しくは二百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第50条

 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第51条

 第二十条第六項、第三十八条第三項、第三十八条の四第三項又は第三十九条第五項の規定に違反した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。

第52条

 次の各号のいずれかに該当する者は、六月以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。

第53条

 次の各号のいずれかに該当する者は、百万円以下の罰金に処する。

第54条

 次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。

第55条

 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

第56条

 法人の代表者、法人又は人の代理人、使用人その他の従業者が、法人又は人の営業に関し、第四十九条、第五十条第一項又は第五十二条から前条までの違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対し、各本条の罰金刑を科する。

第57条

 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。

 

<風営法違反事件に関する法定刑一覧>
犯罪の種類 法定刑

無許可営業

不正手段による許可取得

営業停止処分違反

名義貸し

2年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金、又はこれの併科

18歳未満・20歳未満に関する規制違反

営業所の構造または設備を未承認のまま変更

1年以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、又はこれの併科

客引き行為

6ヶ月以下の懲役もしくは100万円以下の罰金、又はこれの併科

管理者の選任義務違反

50万円以下の罰金

許可証等の明示義務違反

30万円以下の罰金

※上記以外にも多数の規定がありますが、よくご相談いただく内容を具体例としてご紹介しております。

 

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