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痴漢事件(迷惑行為防止条例違反)について

こちらのページでは、痴漢に関する基礎知識を紹介しております。 痴漢事件に特化してさらに詳しい情報を紹介している「痴漢事件特設ページ」もご用意しておますので、こちらも併せてをご覧ください。 ➡️痴漢事件特設ページはこちら

1 痴漢事件とは

 痴漢の禁止については、各都道府県の迷惑防止条例において定められているのですが、人を殴ってけがをさせる罪である傷害罪のように、「痴漢罪」として定められている訳ではなく、「痴漢」という単語は法律や条例で使われておりません。

 痴漢事件の場合、その程度によっては、より重い刑罰である「不同意わいせつ罪」が適用(法改正前は「強制わいせつ罪」の適用が問題となっていました。強制わいせつ罪の解説は、こちらに掲載しております。)されることもあるのですが、この点も「痴漢」という内容の定義が不明確であることに起因するものといえます。

2 痴漢として罰せられる場合の成立要件

 各都道府県ごとによる条例により微妙に異なるのですが、ここでは東京都のケースを考えます。

東京都【公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例】

第5条1項(1)

 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること

 以上が、条例です。ポイントとしては、 ・公共の場所であること ・身体に触れる程度の行為であること になります。不同意わいせつ罪と異なるのは、「著しく羞恥させ」るような人への触れ方が問題となっているのであって、「わいせつ」とまでは評価できない行為を対象にしているという点です。他人の臀部付近に触れる行為が「わいせつ」ではないという評価も異論が大いにあり得るところだと思いますし、それを超えて、例えば、女性の陰部を直接触ることや、自ら露出した性器を押しつけるなどの行為については、明らかに「わいせつ」なものといえ、不同意わいせつ罪の適用の可能性が高くなります。

3 関連する犯罪

(1)強制わいせつ罪

 令和5年に刑法が改正されるまでは、身体に直接触れるような悪質な痴漢行為は、より重い強制わいせつ罪が適用されていました。

(2)不同意わいせつ罪

令和5年に刑法が改正された後は、悪質な痴漢行為について不同意わいせつ罪が成立する可能性があります(不同意わいせつ罪の解説は、こちらに掲載 しております)

4 痴漢事件と告訴の関係

 そもそも告訴とは、被害者が捜査機関に対して、犯罪の事実を申告し加害者に対する処罰を求める行為をいいます。そして、告訴が無いと起訴ができない犯罪類型のことを親告罪といいます。

 痴漢事件は被害者のプライバシーを保護するという観点もありますが、一方で、公衆の秩序を維持し盗撮行為を防止するという観点もあるため、親告罪とされていません。したがって、痴漢された被害者の告訴がなくても起訴ができます。

5 よく逮捕・起訴されている行為(具体的態様)

(1) 混雑した電車内(特に都心部)

朝の通勤時間帯、東京都心部に向かう電車内では混雑していることが常態化しています。

痴漢の場合、現行犯人として連呼されたり、付近の乗客によって捕まることもあるため、現行犯逮捕される危険性が極めて高いです。そのため、通勤時間帯で会社に迷惑がかかるからと言った理由ではもちろん、逮捕は免れませんし、不合理な否認や身元引受人がいない場合には、逮捕だけにとどまらず、そのまま長期間の勾留がされる可能性もあります。

(2) ライブイベントや暗い夜道での行為 

 基本的に痴漢行為や人が密集し、触っているのがばれないかもと犯人が思いやすいところで発生します。そのため、ライブイベントやスポーツイベント会場で盛り上がりに乗じて痴漢被害に遭われる方も多いと伺います。そのほかは、暗い夜道での接触行為もあります。

6 痴漢行為の弁護方針

(1) 犯罪事実を認める場合

ア 弁護方針

 痴漢の防止には、公衆秩序の維持という目的もありますが、やはり直接の被害者がいる犯罪です。したがって、犯罪事実を認める場合には、真摯な反省と被害賠償に向けた弁護活動を行うとともに、逮捕を伴う場合には早期の身柄開放を働きかけ、不起訴処分を目標に弁護活動を行うこととなります。

イ 被害賠償金(示談金)の交渉について

 痴漢によって被害者に与える精神的苦痛や肉体的苦痛は想像に難しくありません。また、被害者への連絡は、被害者にとって直接加害者とは話をしたくなくても弁護士であれば話が可能な場合もあります。そのため、被害賠償金(示談金)を検討する場合には、弁護士にまず相談されることをお勧めいたします。

 検察官も、直接加害者には被害者の連絡先を教えることが出来ない場合でも、弁護士には連絡先を伝えることも許諾されることもあります。

 不起訴となる要因は犯罪の事情を総合的に考慮して決められますが、被害者との間で、示談が成立していることは、不起訴となる要因として大きな要因であると考えております。さらに、被害者との間で示談が成立することで、早期の身柄開放にもつながります。

 具体的な金額については、個別具体的事案によって異なりますのでご相談いただければと思います。

ウ 再犯防止策

 痴漢行為という性犯罪の場合には、加害者に性依存症が疑われることもあります。この場合には、二度と同じ過ちを起こさないために専門の医療機関に通院するということも、重要になります。また、家族や勤務先上司からの身元引受書や身元監督書の提出なども一定の効果があると考えられています。

(2) 犯罪事実を否定する場合

ア 捜査機関に対して、自白をしないという姿勢を貫く

 痴漢されたという嫌疑を掛けられた場合でも有っても、例えば、防犯カメラの映像に映っていない場合には、現場にいた関係者の供述以外に客観的な証拠はないということになります。そのため、弁護方針では、「被疑者本人の主張が、信用できるか否か」が大きなポイントとなります。

 しかし、すでに、逮捕をされて身柄拘束が始まっている場合では、捜査機関の誘導によって加害者にとって好ましくない発言を記録されるおそれもありますので、まずは、弁護士のアドバイスを受けることをお勧めいたします。

 具体的には、取り調べの際に、「いま自白すれば身柄開放も早期になるだろう」との捜査機関からの圧力に屈して、自白してしまったとします。この場合には、一度された自白を覆すのは困難を伴います。

イ 被害者や現場にいた関係者の目撃の証言の信用性を争う。

 痴漢したことの客観的な証拠が無い場合でも、被害者が被害を申告する場合があります。この場合には、目撃の条件などを検証することで、その被害申告の信用性を争うことになります。具体的には、

・被害者や目撃者の場所から痴漢行為が客観的に目視できる距離なのかどうか、

・被害者や目撃者の視力の程度はどうなのか

・被疑者の服装や手荷物から痴漢が可能といえる状況なのかどうか

などを検証することとなります。

7 法定刑一覧(参考条文)

①【東京都】公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる迷惑行為防止条例)

同条例第5条1項(1) 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。 公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。

②【埼玉県】公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる迷惑行為防止条例)

第2条4項 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞しゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。 

そのため、私的な場所での盗撮行為は、迷惑行為防止条例違反とはならず、軽犯罪法違反の成立にとどまります。

<痴漢事件に関する法定刑一覧>
犯罪の種類法定刑

東京都条例違反

(単純)

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

(常習)

2年以下の懲役または100万円以下の罰金

神奈川県条例違反

(単純)

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

(常習)

2年以下の懲役または100万円以下の罰金

埼玉県条例違反

(単純)

6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

(常習)

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

千葉県条例違反

(単純)

6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

(常習)

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

※強制わいせつ罪に該当する場合には「6月以上10年以下の懲役」となります。罰金刑がないため、起訴された場合には、実刑を伴う場合もあります。

8 解決実績

 弁護士荒川香遥、弁護士野俣智裕、並びに、対応弁護士による、解決実績は下記の通りです。

事案弁護方針
混雑した電車内で痴漢行為に及んだ被疑者の家族から逮捕当日に弁護士依頼があった事案電話での要望のあと、逮捕された警察署に向かい、すぐに被疑者と接見を行いました。初犯であったことから、勤務先上司の身元引受書を受領し、本人の反省文も提出して、勾留請求はされずに早期の身柄開放が実現しました。その後、被害者とは示談を成立させて、不起訴処分となりました。
健康ランドの施設内で、入浴中に痴漢行為に及んだ事案複数名の被害者がいたものの、個別の被害者と粘り強く示談成立させて、不起訴処分を獲得しました。

対応弁護士による、その他解決実績はこちらのページをご覧ください。

 

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