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盗撮事件(迷惑行為防止条例違反)について

1 盗撮事件とは

 盗撮の禁止については、各都道府県の迷惑防止条例において定められています。例えば、人を殴ってけがをさせる罪である傷害罪のように、「盗撮罪」として定められていません。

 後述の通り、各都道府県条例により盗撮を禁止する場所に違いがあるため、迷惑行為防止条例違反になるか、もしくは、軽犯罪法違反になるかのいずれかに当てはまります。

2 盗撮として罰せられる場合の成立要件

 各都道府県ごとによる条例により微妙に異なるのですが、ここでは東京都のケースを考えます。

東京都【公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例】

第5条1項(2)

 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。

次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。
イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる
ような場所
ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用
し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

 以上が、条例ですが、これをポイントしてまとめると盗撮を行った場所が重要になるといえます。

 東京都は平成30年7月1日から規制場所の拡大を行っております。

 具体的には、改正前の規制場所である、公共の場所・公共の乗物、公衆便所、公衆浴場、公衆が使用することができる更衣室、公衆が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいる場所に加え

上記場所以外の住居、便所、浴場、更衣室

【例】

  • 住居(トイレ、浴場、更衣室(脱衣所)、その他リビング等を含む)
  • 学校、会社等のトイレ
  • 会社等に設置されたシャワー室
  • 学校、会社等の更衣室
不特定又は多数の人が、入れ替わり立ち替わり利用する場所・乗物

【例】

  • 学校や会社事務室など
  • カラオケボックス等の個室
  • タクシー

 一方で、埼玉県の迷惑防止条例は、私的な場所での盗撮は禁止していません。

埼玉県【埼玉県迷惑防止条例】

第2条4項 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しくしゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。

 そのため、私的な場所での盗撮行為は、迷惑行為防止条例違反とはならず、軽犯罪法違反の成立にとどまります。

 【軽犯罪法】

第1条23号
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

 いずれの条例でも、規制しているの「盗撮」という行為ですので、例えば、盗撮を行うために、個人住宅やマンション内に立ち入った場合には、別途「建造物侵入罪・住居侵入罪」(刑法)にがいとうすることとなります。

3 関連する犯罪

(1)のぞき見(軽犯罪法第1条23号)

正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

(2)建造物侵入罪・住居侵入罪(刑法第130条前段)

 正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

(3)児童ポルノ法違反

 私的な場所であっても、「18歳未満」の児童の裸を盗撮した場合には、本罪に該当することになります。

4 盗撮事件と告訴の関係

 そもそも告訴とは、被害者が捜査機関に対して、犯罪の事実を申告し加害者に対する処罰を求める行為をいいます。そして、告訴が無いと起訴ができない犯罪類型のことを親告罪といいます。

 盗撮事件は被害者のプライバシーを保護するという観点もありますが、一方で、公衆の秩序を維持し盗撮行為を防止するという観点もあるため、親告罪とされていません。したがって、盗撮された被害者の告訴がなくても起訴ができます。

5 よく逮捕・起訴されている行為(具体的態様)

(1) 盗撮当日の行動

盗撮行為を現行犯人として現認された場合で、特に

・カメラやスマートフォンを捨てたり壊したりするなどの証拠隠滅行為を行った場合

・逃走を企てたり、合理的では無い否認を続けたりした場合

・被疑者の身元が不明な場合

には、逮捕される可能性が高くなります。それ以外の場合には、逮捕されずに在宅事件として扱われることもあります。

(2) 盗撮から数ヶ月経過後 

 駅構内での盗撮などの場合には、現場から逃走を企てた場合であっても、防犯カメラの解析から駅に入校した際のICカードから、身元を特定を行うため、操作に時間がかかるため、本人にとっては忘れた時期に逮捕されることがあります。

 この場合には、自首を行い、逮捕回避のための刑事弁護活動をおこなうこととなります。

※自首の相談についてはこちら

6 盗撮行為の弁護方針

(1) 犯罪事実を認める場合

ア 弁護方針

 盗撮の防止には、公衆秩序の維持という目的もありますが、やはり直接の被害者がいる犯罪です。したがって、犯罪事実を認める場合には、真摯な反省と被害賠償に向けた弁護活動を行うとともに、逮捕を伴う場合には早期の身柄開放を働きかけ、不起訴処分を目標に弁護活動を行うこととなります。

イ 被害賠償金(示談金)の交渉について

 盗撮によって被害者に与える精神的苦痛や肉体的苦痛は想像に難しくありません。また、被害者への連絡は、被害者にとって直接加害者とは話をしたくなくても弁護士であれば話が可能な場合もあります。そのため、被害賠償金(示談金)を検討する場合には、弁護士にまず相談されることをお勧めいたします。

検察官も、直接加害者には被害者の連絡先を教えることが出来ない場合でも、弁護士には連絡先を伝えることも許諾されることもあります。

 不起訴となる要因は犯罪の事情を総合的に考慮して決められますが、被害者との間で、示談が成立していることは、不起訴となる要因として大きな要因であると考えております。さらに、被害者との間で示談が成立することで、早期の身柄開放にもつながります。

 具体的な金額については、個別具体的事案によって異なりますのでご相談いただければと思います。

ウ 再犯防止策

 盗撮行為という性犯罪の場合には、加害者に性依存症が疑われることもあります。この場合には、二度と同じ過ちを起こさないために専門の医療機関に通院するということも、重要になります。また、家族や勤務先上司からの身元引受書や身元監督書の提出なども一定の効果があると考えられています。

(2) 犯罪事実を否定する場合

ア 捜査機関に対して、自白をしないという姿勢を貫く

 盗撮されたという嫌疑を掛けられた場合でも有っても、例えば、本人のスマートフォンやパソコンから盗撮行為を撮影した画像が保存されておらず、防犯カメラにも盗撮を疑わせる映像が無ければ、現場にいた関係者の供述以外に客観的な証拠はないということになります。そのため、弁護方針では、「被疑者本人の主張が、信用できるか否か」が大きなポイントとなります。

 しかし、すでに、逮捕をされて身柄拘束が始まっている場合では、捜査機関の誘導によって加害者にとって好ましくない発言を記録されるおそれもありますので、まずは、弁護士のアドバイスを受けることをお勧めいたします。

 具体的には、取り調べの際に、「いま自白すれば身柄開放も早期になるだろう」との捜査機関からの圧力に屈して、自白してしまったとします。この場合には、一度された自白を覆すのは困難を伴います。

イ 被害者や現場にいた関係者の目撃の証言の信用性を争う。

 盗撮したことの客観的な証拠が無い場合でも、被害者が被害を申告する場合があります。この場合には、目撃の条件などを検証することで、その被害申告の信用性を争うことになります。具体的には、

・被害者や目撃者の場所から盗撮行為が客観的に目視できる距離なのかどうか

・被害者や目撃者の視力の程度はどうなのか

・被疑者の服装や手荷物から盗撮可能といえる状況なのかどうか

などを検証することとなります。

7 法定刑一覧(参考条文)

①【東京都】公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる迷惑行為防止条例)

同条例第5条1項(2) 何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であつて、次に掲げるものをしてはならない。次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(イに該当するものを除く。)

②【埼玉県】公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(いわゆる迷惑行為防止条例)

第2条4項 何人も、公共の場所又は公共の乗物において、他人に対し、身体に直接若しくは衣服の上から触れ、衣服で隠されている下着等を無断で撮影する等人を著しく羞しゆう恥させ、又は人に不安を覚えさせるような卑わいな言動をしてはならない。 そのため、私的な場所での盗撮行為は、迷惑行為防止条例違反とはならず、軽犯罪法違反の成立にとどまります。

③軽犯罪法 第1条23号

 正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者

③児童ポルノ禁止法 第7条5号

1 自己の性的好奇心を満たす目的で、児童ポルノを所持した者(自己の意思に基づいて所持するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。自己の性的好奇心を満たす目的で、第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録を保管した者(自己の意思に基づいて保管するに至った者であり、かつ、当該者であることが明らかに認められる者に限る。)も、同様とする。

2 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。

3 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。

4 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

5 前二項に規定するもののほか、ひそかに第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第二項と同様とする。

<盗撮事件に関する法定刑一覧>
犯罪の種類法定刑

東京都条例違反

(単純)

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

(常習)

2年以下の懲役または100万円以下の罰金

神奈川県条例違反

(単純)

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

(常習)

2年以下の懲役または100万円以下の罰金

埼玉県条例違反

(単純)

6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

(常習)

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

千葉県条例違反

(単純)

6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金

(常習)

1年以下の懲役または100万円以下の罰金

軽犯罪法

拘留又は科料に処する。

※拘留は、1日以上30日未満拘束

※科料は、1、000円以上10、000円未満の罰金刑

児童ポルノ禁止法

3年以下の懲役又は300万円以下の罰金

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