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議員の先生方―特殊な手続や注意点について―

議員の先生方に関する御相談について

議員の先生方が犯罪行為に巻き込まれることもあります。実際に、私達も相談をお受けしたことや、弁護人として選任していただいたこともあります。
 同じ犯罪行為であっても、議員の先生方が捜査を受ける場合、他の仕事をされている方が被疑者となる場合と比較して、注意すべき点が非常に多くなります。このことは、被疑者として捜査をうける場合だけでなく、重要参考人として事情聴取を受ける場合にも言えます。
 また、一般的な事件では問題とならない事項も多い事から、その注意すべき点というのも、事案によって区々なものといえます。
 さらに、議員の先生方自身が、被疑者や重要参考人として扱われるケースだけでなく、御家族・御友人が被疑者として扱われるケースにおいて、そのような方々のサポートを行う場合であっても、レピュテーションリスクとの関係から、特段の配慮が求められるケースも散見されます。
 ですから、御自身の問題でない場合であっても、刑事事件に関する問題について、何かお悩みがあるようでしたら、早い段階で御相談いただければと思います。このページでは、議員の先生方から御相談いただくことの多い内容についてまとめさせていただきました。
 上述したように、内容自体は他の刑事事件と異ならないような場合であっても、注意しなければいけない点は少なくありませんし、特に、弁護士を選任する必要のない段階であっても、アドバイスさせていただけることはございます。
 御相談いただいた際に、直ちに御契約させていただくようなことはありませんので、御気軽に御電話いただければと思います。

第1.欠格条項

1.欠格条項を意識した弁護目標の設定

議員の先生方が被疑者となった場合において、特に意識する必要があるのは欠格条項との関係です。一般の方々との関係であれば、前科がついた場合であっても、これまでの日常生活に大きな影響を及ぼすことは稀です。むしろ、逮捕・勾留されることなく、在宅で手続が進捗した場合、執行猶予付きの懲役刑を宣告された場合であっても、勤務先に露見することなく、これまで通りに勤務できることの方が多いものといえます。 しかしながら、議員の先生方との関係では、法律で定められた欠格条項に該当してしまう場合、その職を失うことになりますから、この点を確認しておく必要があります。  刑事事件の弁護士としては、単に減刑を求めるだけの弁護活動に終始するのではなく、欠格条項を意識した上で弁護目標を定める必要があるのです。

2.具体的な欠格条項の内容について

(1)国家公務員法における欠格条項

国家公務員法においては、禁錮刑以上の刑が宣告された場合、当然に失職することが定められていますが、国家公務員法上の欠格条項は全ての国家公務員に適用される訳ではありません。

国家公務員法

第2条 1項 国家公務員の職は、これを一般職と特別職とに分つ。 2項 一般職は、特別職に属する職以外の国家公務員の一切の職を包含する。 3項 特別職は、次に掲げる職員の職とする。 1号 内閣総理大臣 8号 内閣総理大臣秘書官及び国務大臣秘書官並びに特別職たる機関の長の秘書官のうち人事院規則で指定するもの 9号 就任について選挙によることを必要とし、あるいは国会の両院又は一院の議決又は同意によることを必要とする職員 13号 裁判官及びその他の裁判所職員 14号 国会職員 15号 国会議員の秘書 4項 この法律の規定は、一般職に属するすべての職(以下その職を官職といい、その職を占める者を職員という。)に、これを適用する。人事院は、ある職が、国家公務員の職に属するかどうか及び本条に規定する一般職に属するか特別職に属するかを決定する権限を有する。

このように、国家公務員法の規定は、「一般職に属するすべての職」に適用されるものとされており、選挙によって選任される国会議員の先生方は「特別職」に分類されているため、欠格条項についての規定は適用されません。

(2)国会法、公職選挙法における欠格条項

国会議員の先生方との関係で問題となる欠格条項は、次の法律に規定されております。

国会法

第109条  各議院の議員が、法律に定めた被選の資格を失つたときは、退職者となる。

公職選挙法

第11条 1項 次に掲げる者は、選挙権及び被選挙権を有しない。 2号 禁錮以上の刑に処せられその執行を終わるまでの者 3号 禁錮以上の刑に処せられその執行を受けることがなくなるまでの者(刑の執行猶予中の者を除く。) 4号 公職にある間に犯した刑法第197から第197条の4までの罪又は公職にある者のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律第1条の罪により刑に処せられ、その執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた者でその執行を終わり若しくはその執行の免除を受けた日から5年を経過しないもの又はその刑の執行猶予中の者 5号 法律で定めるところにより行われる選挙、投票及び国民審査に関する犯罪により禁錮以上の刑に処せられその刑の執行猶予中の者 2項 この法律の定める選挙に関する犯罪に因り選挙権及び被選挙権を有しない者については、第252条の定めるところによる。 第11条の2  公職にある間に犯した前条第1項第4号に規定する罪により刑に処せられ、その執行を終わり又はその執行の免除を受けた者でその執行を終わり又はその執行の免除を受けた日から5年を経過したものは、当該5年を経過した日から5年間、被選挙権を有しない。

つまり、被選挙権を失う場合には失職することとなりますし、公職選挙法において、禁錮刑以上(執行猶予付きの刑罰を除く)の罪に処せられた場合は、被選挙権を失う旨が定められています。

 贈収賄に関する犯罪や、選挙犯罪が問題となっている場合には、執行猶予付きの刑罰であっても、失職するものとされており、一般的な犯罪よりも厳しい処分が予定されているのです。刑事事件の弁護士としては、執行猶予付きの判決を弁護目標に定めるのでは足らないことになるのです。

(3)地方自治体の場合

これまで国会議員の先生を前提にお話しさせていただきましたが、地方自治体の議員の先生方との関係においても、同様の規定が設けられています。基本的な欠格条項については、国家公務員法と同様に地方公務員法に規定が設けられていますが、この欠格条項は適用されません。
 そこで、次の法律が問題となります。

地方自治法

第127条  普通地方公共団体の議会の議員が被選挙権を有しない者であるとき、又は第92条の2(第287条の2第7項において準用する場合を含む。以下この項において同じ。)の規定に該当するときは、その職を失う。

公職選挙法

第2条  この法律は、衆議院議員、参議院議員並びに地方公共団体の議会の議員及び長の選挙について、適用する。

以上のとおり、公職選挙法は地方公共団体の議員の先生方との関係でも適用されることに加え、被選挙権を失った場合には退職する旨が定められていることから、結局、国会議員の先生方と同様に扱われることになるのです。

第2.懲戒処分

国家公務員法等が定める欠格条項については上述したとおりです。他方で、欠格条項に該当しない場合であっても、懲戒事由に該当することを理由に、失職することがあります。

国会法

第121条 1項 各議院において懲罰事犯があるときは、議長は、先ずこれを懲罰委員会に付し審査させ、議院の議を経てこれを宣告する。 2項 委員会において懲罰事犯があるときは、委員長は、これを議長に報告し処分を求めなければならない。 3項 議員は、衆議院においては四十人以上、参議院においては二十人以上の賛成で懲罰の動議を提出することができる。この動議は、事犯があつた日から三日以内にこれを提出しなければならない。 第122条 1項 懲罰は、左の通りとする。 1号 公開議場における戒告 2号 公開議場における陳謝 3号 一定期間の登院停止 4号 除名

地方自治法

第134条 1項 普通地方公共団体の議会は、この法律並びに会議規則及び委員会に関する条例に違反した議員に対し、議決により懲罰を科することができる。 2項 懲罰に関し必要な事項は、会議規則中にこれを定めなければならない。 第135条 1項 懲罰は、左の通りとする。 1号 公開の議場における戒告 2号 公開の議場における陳謝 3号 一定期間の出席停止 4号 除名 2項 懲罰の動議を議題とするに当つては、議員の定数の八分の一以上の者の発議によらなければならない。 3項 第1項第4号の除名については、当該普通地方公共団体の議会の議員の3分の2以上の者が出席し、その4分の3以上の者の同意がなければならない。

国会法も地方自治法も同じような規定を定めています。そして、懲罰の中には除名処分も含まれていますから、欠格条項に該当しない場合に職を失う可能性はあるのです。
 したがって、刑事処分を減刑するだけではなく、懲戒事由該当性や、懲戒事由に該当することを否定できない場合であっても、除名という最も重い処分が相当ではないことを主張できるような準備が求められることになるのです。

第3.報道への対応における弁護士のサポート

1.報道がなされることを前提とする弁護活動の必要性

一般的には、捜査機関が被疑者の職場に対して、被疑者の犯罪行為を通知することはありません。捜査機関が職場に通知する場合というのは、職場に何らかの犯罪に関する証拠が存在する可能性が認められる場合に、捜査の協力を得るために行います。そこで、会社とは無関係の犯罪の場合、弁護人としては、捜査を受けていることについて、職場に露見することがないように弁護活動を行うことになります。  また、重大な事件でない限り、報道がなされる事件は多くありませんから、起訴されて裁判を受けることとなるケースとの関係でも、最後まで職場に露見することなく、従前どおりに勤務できるケースがほとんどです。  しかしながら、議員の先生方が被疑者として取り扱われる場合、ほとんどのケースにおいて、捜査機関がマスコミに対して当該事件の内容を発表します。痴漢や盗撮等、ニュースバリューの高くない日常的に多く発生している事件であっても、一定の社会的地位を有する方々が被疑者となっている事件との関係では、皆様も報道等で目にする機会が多いように思います。  そこで、議員の先生方が被疑者となる事件との関係では、事件の内容が公になることを前提とした弁護活動が求められることになります。

2.メッセージの発信方法

報道がなされることを前提とした場合であっても、刑事事件の弁護士として、不起訴処分や無罪判決を目的に行うべき弁護活動の内容は、他の一般の事件と大きく変わることはありません。配慮が必要となるのは、検察官や裁判官に対する活動ではなく、有権者である一般市民の方々への対応となります。  マスコミ等による報道の内容は、警察署等による発表を前提としておりますから、議員の先生方が悪質な犯罪者であるかのような印象を受けるものが多いものと言えます。そこで、身の潔白さを明らかにする場合や、悪質さを否定するような場合には、政治活動を維持するためにも、しっかりとこちら側の主張を公に対して発信する必要があります。  一方で、こちらの主張の全容を公に対して発信した場合、その内容は担当する警察官や検察官等の捜査機関にも知られてしまうことになります。捜査機関に対して伝えていないような情報がある場合に、そのような情報まで明らかにしてしまうことで、弁護活動が十分に行えないケースも想定されます。 そこで、インターネット上にこちらの主張内容を掲載するなど、一方的に通知するような方法をとる場合には、当該内容について事前に綿密な協議を行う必要があります。  また、HPに掲載する方法をとるのか、SNS上にも掲載するのかなどの方法について検討する必要がありますし、昨今では、文字ではなく表情等も十分に伝えるため、YouTube等で、文字ではなく映像でこちらの主張を伝えるようなケースもあるようです。  刑事事件と直接関連する議論ではありませんが、事件の詳細を一番把握できている専門家は刑事事件の弁護士ですから、刑事事件の弁護士としては、この点についても適切なアドバイスを行う必要があります。

3.記者会見対応

また、社会的な耳目を集める事件の場合には、インターネット上で一方的にこちら側の主張を発信するだけでは足らず、記者会見を行う必要性が生じるケースも考えられます。 この場合、一方的にこちらの主張を掲載する場合と異なり、どのような質問がなされるのかによって、回答すべき内容も変わってきますので、事前に発表する内容を確定させることが困難になります。また、上述したとおり、今後の弁護活動の内容を踏まえて、捜査機関に明らかにしたくない内容等についても吟味が必要です。  さらに、身体拘束を回避するにあたって、罪証隠滅行為と評価されるような行為に及ばないことを条件とする誓約書を提出している場合や、保釈条件として、記者会見等を行わないこと等が定められるケースも存在します。  したがって、記者会見における質疑応答の内容についての精査だけでなく、記者会見の場を設定できるかどうかについても、刑事事件の弁護士によるアドバイスは必要不可欠なものと言えます。  この時に、刑事事件の弁護士がどのような立場で記者会見に関与するのか等も問題になるでしょう。司会進行的な立場で携わるのか、一当事者として携わるのかによって、その記者会見を見たものが持つであろう印象は大きく変わり得ます。 例えば、司会進行を弁護士が行うことも考えられますが、御依頼者様と常に話せる距離にいられないことが想定され、質疑応答の内容について、十分にコントロールを行えないことが考えられます。逆に、司会進行を他の人間に任せて、刑事事件の弁護士も回答を行う側の立場で行うこともあります。この場合、御依頼者様の隣に座るような形になろうと思われますので、質疑応答について細やかなフォローが可能となりますが、口を出し過ぎることによって、公正な記者会見ではないとの印象を与える可能性があります。 このような様々な可能性を踏まえて準備をする必要があります。記者会見の実施方法や内容については、刑事事件の弁護士は決して専門家という訳ではありませんが、刑事事件の専門家としてアドバイスが求められる事項は多岐にわたるのです。

第4.特殊な手続

1.100日裁判

これまで、選挙犯罪及び贈収賄の罪について、どのような場合に犯罪が成立するかという点について解説させていただきました。  そして、議員の先生方や公務員の方々が被疑者・被告人となる場合であっても、基本的には、刑事事件に関する手続は、他の方々と同一です。  しかしながら、公職選挙法には、例外的な手続も定められています。それが、所謂100日裁判手続というものです。その内容は次のとおりです。

公職選挙法

第253条の2 1項 当選人に係るこの章に掲げる罪…については、訴訟の判決は、事件を受理した日から100日以内にこれをするように努めなければならない。 2項 前項の訴訟については、裁判長は、第一回の公判期日前に、審理に必要と見込まれる公判期日を、次に定めるところにより、一括して定めなければならない。 1号 第1回の公判期日は、事件を受理した日から、第一審にあっては30日以内、控訴審にあっては50以内の日を定めること。 2号 第二回以降の公判期日は、第一回の公判期日の翌日から起算して7日を経過するごとに、その7日の期間ごとに一回以上となるように定めること。 3項 第1項の訴訟については、裁判所は、特別の事情がある場合のほかは、他の訴訟の順序にかかわらず速やかにその裁判をしなければならない。

一般的な刑事事件の進行としては、起訴されてから第一回の公判期日までに約1月半ほど空くことが通常です。ですから、上記規定によれば、通常の事件よりも約半月早く最初の裁判の日が指定されることになります。
 また、審理の進行にもよりますが、裁判と裁判の間隔についても、通常の刑事事件の場合は約1月ほど空くことが多く、1週間で次の期日が指定されるというのは、非常に迅速な手続ということができます。
 被告人とすれば、裁判の期間は短ければ短いほど好ましいと思いますので、この規程自体は大きな問題を孕むものではありませんが、迅速に手続が行われるということは、弁護活動の準備についても迅速に行う必要があることになります。
 起訴されてからでないと、罪となる事実を証明するための証拠群が弁護人に開示されませんから、早急にその内容を精査し、裁判におけるケースセオリーを確立させる必要があるものと言えるでしょう。

 なお、条文が「努めなければならない」と定めているように、迅速に裁判を行うことは努力義務とされているだけで、百日裁判の実際の平均審理期間についても、150日ほどかかっている旨が報告されています。
 しかしながら、公職選挙法違反に関する罪については、多くの証人が出廷することが予想されており、平均取調べ証人数も10人を超えていることを併せて考慮すれば、通常の刑事手続と比較すると、著しく迅速に手続が進められていることに変わりありません。
 起訴される前の段階で、早い内から弁護人と協議し、弁護方針について固める作業を行っていなければ、裁判において適切な弁護活動を行うことは非常に困難になってしまうことが懸念されるのです。

2.不逮捕特権

他に手続的な特殊性として、国会議員の先生方には不逮捕特権が認められています。

 まずは、条文を確認しましょう。

憲法

第50条  両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

以上のとおり、不逮捕特権は憲法上の権利とされており、重視されています。しかしながら、逮捕されないのはあくまでも「会期中」なのであって、会期ではない期間においては、逮捕される可能性がある訳です。
 さらに、憲法第50条は「法律の定める場合を除いては」と記載されています。国会議員の先生方ではない一般の被疑者との関係でも、逮捕する場合には、刑事訴訟法に定められた手続によるのであって、「法律の定め」なくして逮捕されることはありません。では、この一文はどのように理解されているのでしょうか。
 国会議員を逮捕できる場合について定めた法律として、国会法があげられます。

国会法

第33条  各議院の議員は、院外における現行犯罪の場合を除いては、会期中その院の許諾がなければ逮捕されない。 第34条  各議院の議員の逮捕につきその院の許諾を求めるには、内閣は、所轄裁判所又は裁判官が令状を発する前に内閣へ提出した要求書の受理後速かに、その要求書の写を添えて、これを求めなければならない。 第34条の2 1項 内閣は、会期前に逮捕された議員があるときは、会期の始めに、その議員の属する議院の議長に、令状の写を添えてその氏名を通知しなければならない。 2項 内閣は、会期前に逮捕された議員について、会期中に勾留期間の延長の裁判があつたときは、その議員の属する議院の議長にその旨を通知しなければならない。 第34条の3  議員が、会期前に逮捕された議員の釈放の要求を発議するには、議員二十人以上の連名で、その理由を附した要求書をその院の議長に提出しなければならない。

国会法第33条は、現行犯逮捕の場合に加えて、各議院が逮捕を許諾した場合については議員の逮捕を認めています。

 したがって、現行犯逮捕がなされるような事案との関係では、議員の先生であっても、一般市民と取扱いに大差はないことになります。違いが生じるのは、警察官が事前に逮捕令状を裁判所に請求するような通常逮捕の事案に限られるのです。

 では、地方自治体の議員の先生との関係で、この特権は認められているのでしょうか。この点、憲法や地方自治法に地方自治体の議員の先生方に対する不逮捕特権を認めるような規定は存在しませんから、国会議員の先生方と同様の権利は認められないものと解されています。
 そもそも、不逮捕特権が問題となるようなケースは極めて例外的ですが、このような基本的な知識は抑えておくべきように思います。

第5.御家族・御友人のサポート

議員の先生方御自身が被疑者や重要参考人として扱われるケースの他にも、御家族や御友人、支援者等の方々が、刑事事件に巻き込まれるケースも考えられます。
 刑事事件は、犯罪行為を内容とする事件ですから、被疑者・被告人としても、あまり多くの人に知られたい問題ではありませんから、近しい友人や御家族までにその内容は止め、それらの方の協力によって、弁護活動を行うケースがほとんどだと考えられます。
 もっとも、近しい友人や家族によるサポートを受けられない等の事情から、相談を受ける機会というのも、議員の先生方の人脈の豊富さを考えると、一般の方よりも多いように思います。実際に、弊所においても、議員の先生方経由で友人・知人の弁護を御依頼いただいた場合があります。
 このような場合において、議員の先生方に弁護士費用をご負担いただいて弁護活動を行うケースもありますし、上述するような贈収賄に該当するような例外的なケースでなければ、特に弁護士費用を負担することが問題になることはありません。
 もっとも、事後的に何らかの問題が生じるリスクは最小限に止める必要性もございます。このような場合、まずは逮捕・勾留されている被疑者・被告人と面会して、御家族等の他の協力者を探すことも可能です。
 弊所では、基本的には警察署に一度だけ接見するような御依頼をお受けしておりません。それは、捜査状況を確認するために、共犯者によって弁護士が利用されるケースが想定されるからです。しかしながら、そのような懸念がないことが確認できた場合には、まずは逮捕・勾留されている御家族や御友人に面会した上で、その後の対応を御相談させていただくことも十分可能ですし、これまでに何度も同様の御依頼はお受けしております。

 刑事事件において弁護士によるサポートが不要な事件というものはありませんし、被疑者・被告人の方がどのような意向であったとしても、何らかのサポートは可能なケースがほとんどです。悩んでいる間に、捜査は進捗してしまいますので、御自身のケースではない場合であっても、まずは御相談いただければと思います。

まとめ

以上のとおり、一般の方であれば多くの問題が生じない事件であっても、議員の先生方が被疑者となることによって、様々な点について配慮が求められることになります。
 その中には、刑事事件における弁護活動に直結する内容に加えて、刑事事件に関連はするものの、刑事事件とは性質を異にするものがあります。例えば、100日裁判の手続については刑事事件に直結する内容ですが、記者会見の対応等については、本来的には刑事事件と直接の関係を有するものではありません。
 しかしながら、刑事事件についての弁護士としては、これらの点について全て適切なアドバイスをすることが求められます。
 刑事事件についてのお悩みがある場合には、まずは御相談いただければと思います。