痴漢事件の自首|ダーウィン法律事務所 刑事事件専門サイト

ご家族・ご友人が逮捕・起訴されてしまったら、すぐにお電話ください!

0120-845-018

受付時間:7時~23時(土・日・祝日も受付)

初回電話
相談無料
守秘義務
厳守
東京 埼玉 神奈川 千葉

痴漢事件の自首

1.自首が問題となるケース

 痴漢事件については、電車内で痴漢事件が発生した直後に、被害者の方や目撃者の方によって痴漢の犯人が特定され、そのまま駅員室や警察署に連行されてしまうことが多いといえます。しかし、痴漢事件の犯人として声を上げられた場合であっても、駅員室等に連行されずに帰宅できることもあります。急いで逃げてしまった場合が典型例でしょう。

 また、痴漢の被害に遭った方が、その場で痴漢の被害に遭っていることを周囲に知らせる行為は、極めて大きな精神的負担を伴う行為です。痴漢の被害に遭ったにもかかわらず、泣き寝入りしてしまった方は非常に多くいらっしゃるのではないでしょうか。

 いずれにしても、痴漢事件発生直後に駅員室等に連行されることがなかった場合、痴漢行為に及んでしまった方としては、これまで通りの日常生活を送ることができます。

 その一方で、自身が痴漢行為に及んでしまったことについての罪悪感に苛まされ、ケジメを付けたいと考える方も相当数いらっしゃいます。

 もっとも、痴漢の被害者の方はどこの誰だか分からない事がほとんどだと思いますので、後々になって謝罪をしようと考えても会うことができません。

 また、同じ時間帯の同じ電車や駅のホームで被害者の方を探し続けるのも、被害者の方にとっては恐怖でしかありませんから全くお勧めできません。

 そうすると、このような状況となってしまった場合、考えるべきは自首をするのかどうかという点に尽きることになります。

2.自首とは

 法律上の自首とは、捜査機関がまだ犯人が分かっていない段階で、捜査機関等に対して自分が犯人であることを告白する行為のことをいいます。ですから、既に痴漢事件の犯人を捜査機関が特定できている場合、警察署に痴漢に及んでしまった事実を告げたとしても、法律上の自首は成立しません。

 そして、法律上は、自首が成立した場合、刑を減刑できる旨が定められています。

 ここで着目していただきたいのは、刑が減刑できるというだけで、刑が必ず軽くなるわけではないということです。殺人などの重大な事件の場合、自首が成立することによって大きく刑が減刑されることは考えられますが、痴漢事件の場合、自首の成否によって、起訴か不起訴が決まるというほど、大きな効果は認められない印象です。

3.逮捕の可能性

 では、痴漢事件において自首をする意味が一切ないかというとそういう訳ではありません。刑が軽くなることに大きな期待はできなくても、警察官から呼び出しを受ける前に、自ら自身の犯した痴漢という罪を捜査機関に告白する行為は、自身の刑罰を免れようとする意向を有していないことや、呼び出せば必ず出頭するという意思を示す行為といえます。すなわち、逮捕をしなくても、自身の犯した罪から逃げるつもりがないということを、強く捜査機関にアピールすることができるのです。

 そのような意味では、既に捜査機関が痴漢の犯人を特定できている場合であっても、警察署からの接触を受ける前に罪を打ち明けるために警察署等に出頭することができれば、同じようなアピールをすることは可能です。

 したがって、法律上の自首が成立せず、単なる出頭に過ぎない場合であっても、逮捕の可能性を減少させる行為と言えるでしょう。

4.自首の方法

 自首をする場合、警察署に赴くことになると思います。法律上、どの警察署に赴いたとしても、自首することは可能です。しかし、東京で痴漢事件を起こしたにもかかわらず、北海道の警察署に自首をし、北海道の警察官によってその痴漢事件を捜査させるのは非常に効率が悪いです。そこで、本来的にはどの警察署でも自首は受理されるべきなのですが、管轄外の痴漢事件についての自首をしても、管轄のある警察署に自首するように指導されて終わってしまうことがあります。

 円滑に手続を進めるために、管轄の警察署に赴くようにするべきでしょう。管轄は犯罪が発生した場所を基準に判断されますので、痴漢事件の場合には、痴漢を行った場所を管轄する警察署に赴くことになります。

 走行中の電車内で痴漢行為に及んだ場合、犯行場所を具体的に特定するのは困難かもしれません。2つの警察署の管轄のいずれかがハッキリしないケースもあるかもしれませんが、その場合には行きやすい方の警察署で構いません。

 なお各警察署の管轄については、警察署のHPで確認することが可能です。

 また、上述したように、自首することの最大の目的は逮捕の可能性を減少させることです。そのためには警察官に対して、被疑者の方が逃げたり証拠隠滅工作をしたりしないと感じてもらう必要があります。そうすると、被疑者の方が1人で赴いた上で逃亡しないことを誓約するだけでなく、弁護士や被疑者の方の家族が、被疑者の方を逃亡させないことを誓約できた方が、警察官に対してより強く主張することが可能です。

 弁護士がいなければ自首できない訳ではありませんが、自首を検討される際には、まず自首をする前に弁護士に相談することをご検討いただければと思います。

5.自首の是非

 以上のとおり、自首をすることで、痴漢事件の被疑者として逮捕される可能性を減らすことができます。では、逆に自首をすることのデメリットは何でしょうか。自首は、自らを被疑者とする痴漢事件について、自ら刑事事件化する行為と言えます。ですので、何もしなければ刑事事件とならずに前科がつかずに済んだかもしれないにもかかわらず、自首をすることによって前科がついてしまう可能性があるのです。

 「逮捕が嫌か前科が嫌か」という考え方は非常に極端で、正しい考え方ではないのかもしれません。当然ですが、弁護人が選任された場合には、逮捕も前科も防ぐために活動する訳ですが、必ずしも弁護士による弁護活動が奏功するとは保証できません。ですので、このような極端な考え方をしてみるのも、思考の整理には役立つかと思われます。

 道徳的には痴漢行為に及んでしまった以上、自首をすることが正しいといえるでしょう。しかし、自首をした場合には、痴漢事件の被疑者として取り扱われ、刑罰が科されることを覚悟した上で行うべきです。被害届等が提出されていなかった場合に、自首をしたとしても厳重注意で終わってしまうケースは散見されます。ただし、痴漢事件の場合、被害届が出されておらず、被害者を特定できない場合であっても、事件として扱うことは可能ですから、厳重注意で終わらせることを目的として自首を行うべきではありません。

 といっても、「前科がつくリスクの方が嫌だ」という結論に至った場合であっても、既に警察官が捜査に着手している可能性が極めて高い場合には、自首をしなくとも刑事事件として立件される可能性は高い訳ですから、ただただ警察官による捜査が始まるのを待つよりは、自首をした方がいいということも考えられますので、捜査機関が捜査に着手している可能性の高低についても、自首をするべきかどうかを判断する際の重要な考慮要素になり得ます。

 とはいえ、警察が動いているかどうかを確認する術はありませんし、その可能性を適切に判断することも極めて困難です。その場にいたわけではない弁護士にも正確な判断は難しいかもしれませんが、これまでの経験として、刑事事件として立件される可能性について、お伝えできるお話はあるかもしれません。

 重ねてになりますが、自首をした後に弁護士に相談するのではなく、自首をする前の段階で、一度御相談いただければと思います。

痴漢事件でお悩みなら!今すぐ痴漢事件に強い弁護士に至急お電話ください