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コラム

弁護人は特別?逮捕された人との面会の規定

簡単に言うと…
  • 接見等禁止処分が付されていなければ、誰でも被疑者・被告人の方と面会することは可能。
  • 被疑者・被告人の方が弁護人等以外の方と面会する場合、時間制限や留置施設の職員の立会が付される。
  • 弁護人以外の面会者であっても、社会福祉士等の専門家との面会の場合、時間制限等を除外してもらえるケースがある。
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 逮捕・勾留されてしまった被疑者・被告人は、ほぼ完全に社会と隔離された環境において、留置場内での生活を強いられることとなります。そのような被疑者・被告人にとって、御家族や御友人との面会は、社会とのつながりを感じることのできる数少ない手段であり、非常に貴重な時間です。
 しかしながら、刑事事件を取り扱う法律事務所のHPに多く謳われているように、逮捕直後は弁護士でなければ被疑者との面会が許容されないことが多く、その後に面会が許容されるようになった後も、弁護人以外の方との面会は、御家族であっても、極めて短時間しか許されず、日中の平日にしか面会することができません。
 また、被疑者・被告人を弁護するにあたっては、弁護人以外の専門家との面会が必要になる場合があります。例えば、窃盗、痴漢又は薬物事犯のケースにおいて、同種の犯罪行為に依存していると考えられる場合には、当該依存症の専門家によるカウンセリング等が必要になると思いますし、裁判が終了した後の生活に関する更生支援等を検討するにあたっては、逮捕・勾留の期間中に、更生支援の専門家である社会福祉士や精神保健福祉士の先生方と面会しておくことが極めて重要になります。
 もっとも、はじめて被疑者・被告人と留置施設の中で面談し、そこから更生支援計画等を検討するためには、数十分のヒアリングでは被疑者・被告人の問題点を適切に把握することはできません。
 今回は、被疑者・被告人との面会について、弁護人以外の方との面会のルール等を確認したいと思います。

1.刑事訴訟法上の定め

 
 
 被疑者・被告人の方と留置場において面会する必要があるのは、被疑者・被告人が逮捕・勾留されているからです。そして、逮捕・勾留は、刑事訴訟法で定められている手続ですから、面会について刑事訴訟法がどのように定めているのかをまず確認してみましょう。

刑事訴訟法

第39条1項
 身体の拘束を受けている被告人又は被疑者は、弁護人又は弁護人を選任することができる者の依頼により弁護人となろうとする者…と立会人なくして接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。
第80条
 勾留されている被告人は、第39条第1項に規定する者以外の者と、法令の範囲内で、接見し、又は書類若しくは物の授受をすることができる。…

 刑事訴訟法は、被疑者・被告人との面会について、詳細な規定を設けておらず、基本的にはこの2つの条文が問題になります。
 この条文を対比させるだけでも、弁護人以外の方との関係では「立会人なくして」会うことが認められていないということが読み取れます。
 また、弁護人以外の方との面会は「勾留」された後でないと許されず、逮捕直後の面会は許されないかのようにも読めます。この点については、逮捕直後でも面会が許された方もいらっしゃいますし、刑事訴訟法の解釈論としても争いが残るところではありますが(第209条が第80条を準用していない点等が問題となるのですが、難しい話ですので省略します)、実際には、ほとんどのケースで勾留前における弁護人以外の方との面会は許されておりません。

2.刑事収容施設法

 
 
 では、面会についてはどのような法律に定められているのでしょうか。この点については、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律(「刑事収容施設法」と略します)が定めているのです。
 詳細な規定が多いので、中心的な部分だけご紹介させていただきます。

刑事収容施設法

(面会の相手方)

第115条
 刑事施設の長は、未決拘禁者…に対し、他の者から面会の申出があったときは、第148条第3項又は次節の規定により禁止される場合を除き、これを許すものとする。ただし、刑事訴訟法の定めるところにより面会が許されない場合は、この限りでない。
(弁護人等以外の者との面会の立会い等)
第116条1項
刑事施設の長は、その指名する職員に、未決拘禁者の弁護人等以外の者との面会に立ち会わせ、又はその面会の状況を録音させ、若しくは録画させるものとする。ただし、刑事施設の規律及び秩序を害する結果並びに罪証の隠滅の結果を生ずるおそれがないと認める場合には、その立会い並びに録音及び録画(次項において「立会い等」という。)をさせないことができる。
(面会に関する制限)
第118条
1項 未決拘禁者の弁護人等との面会の日及び時間帯は、日曜日その他政令で定める日以外の日の刑事施設の執務時間内とする。
2項 前項の面会の相手方の人数は、3人以内とする。
3項 刑事施設の長は、弁護人等から前2項の定めによらない面会の申出がある場合においても、刑事施設の管理運営上支障があるときを除き、これを許すものとする。
4項 刑事施設の長は、第1項の面会に関し、法務省令で定めるところにより、面会の場所について、刑事施設の規律及び秩序の維持その他管理運営上必要な制限をすることができる。

 この法律は、被疑者・被告人との面会に加えて、判決が宣告された後の受刑者との面会についても定めているものです。今回の記事では解説の対象外とさせていただいております。
 そして、被疑者・被告人(未決拘禁者)の面会について定めている第115条を確認していただくと、原則として誰でも面会が可能であるように定められていることがわかるかと思います。
 一方で、弁護人以外の方との面会の際には、職員の立会か録音録画が求められており、2人きりのような形では話をすることができないような規定となっています。御家族との面会について、録音や録画がなされたという話はあまり耳にすることはなく、留置施設の職員が立ち会っているものと考えられます。
 他に、もう少し詳細な面会のルールとして、規則も定められています。

刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律施行規則

(面会に関する制限)

第25条2項
法第220条第5項…の規定により被留置者と弁護人等以外の者との面会に関し制限をするときは、次に掲げる措置を執るものとする。
1号 面会の相手方の人数を3人以内とすること。
2号 面会の場所を当該留置施設の面会室とすること。
3号 面会の日を当該留置施設の属する都道府県の休日以外の日とすること。
4号 面会の時間帯を当該留置施設の執務時間内とすること。
5号 面会の時間の上限を、15分(面会の申出の状況、面会室の数その他の事情により、やむを得ない事由があると認められる場合にあっては、5分)を下回らないものとすること。
6号 面会の回数の上限を、1日につき1回を下回らないものとすること。

 被疑者・被告人の方との面会を御家族の方らにお願いする際の説明事項の多くが、この規則に定められています。つまり、1日1回1組までで、1組は3人までしか面会できないということや、平日日中の時間帯にしか面会できないというルールも、上述の規則に定められている訳です。

3.弁護人以外の専門家による面会

 
 
 1日1回15分という制限は、個人的には非常に短いものだと感じています。十分に話をすることができずにあっという間に面会時間が経過してしまうと感じられることでしょう。
 それでも、御家族の場合は、被疑者・被告人の方の顔を見るだけでも安心できたと仰っていただけるケースは珍しくありませんし、短い間の会話だけでも被疑者・被告人の方にとっては大きな励みになります。
 一方で、これまでご紹介してきた法律や規則は、弁護人か弁護人以外かで面会のルールを区別していますので、冒頭にお話をさせていただきました社会福祉士等の専門家も、弁護人以外の面会者という扱いになってしまいます。
 このような専門家の先生に面会していただく場合、会えれば十分という訳ではありませんから、十分な時間を確保したうえでヒアリングを行ってもらう必要があります。
 しかし、1日15分のために、毎日留置場に通っていただける専門家を探すことは極めて困難ですし、仮にそのような方を見つけることができても、経済的な負担が極めて大きなものとなってしまいます。
 そこで、弁護人としては、留置施設に対して、専門家の先生との面会時間を増やすように交渉することになる訳です。
 実際に、規則は最低限の面会時間として下限を定めているだけで、15分以上の面会が禁止されている訳ではありません。
 この点について、更生支援計画の作成との関係についてですが、令和5年に法務省矯正局長から通知(刑事施設における更生支援計画書の活用について)が発出されています。
 その通知の中には、「社会福祉士等の面会については、1回の面会時間を一律に制限することなく、必要に応じて面会時間をできる限り長く確保するよう努めること。当該面会については、刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律第116条 第1項の規定に基づく立会いを省略するか、立会いに代えて面会状況の録音若しくは録画をすることとしても差し支えない」などと記載されているのです。

4.一般面会と弁護人の活動

 
 
 以上のとおり、弁護人以外の方との面会であっても、弁護人と被疑者・被告人が面会するのに近い条件で行うことは可能な場合があります(残念ながら御家族や御友人の立場においては、なかなか特別の条件で面会が可能となるケースはほとんどないように思われますが…)。
 一方で、そのような面会が可能であったとしても、法律の専門家でない方々からすれば、そのような面会が可能かどうかを知る術はありません。したがって、弁護人からのアドバイスが求められることになるでしょう。

5.まとめ

 
 
 今回は、逮捕・勾留されてしまった被疑者・被告人の方との面会について、特に弁護人以外の方との面会を中心に解説させていただきました。
 御家族として被疑者・被告人の方をサポートしたいとお考えの方々におかれましては、サポートの方法について是非弁護人と密にコミュニケーションをとっていただき、今以上に支援可能な内容がないかなどについて、ご相談いただければと思います。

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