捜査段階での弁護活動
刑事事件は、逮捕されてから48時間で送検され、その後24時間で勾留が決定されてしまい、最大20日間もの間、警察署の中に拘束されてしまいます。
刑事事件においては、できる限り早く弁護士に相談しなければ、あっという間に長期間の身体拘束が決められてしまうことになるのです。しかも、弁護士の助力がなければ、被疑者に有利な情報が一切ない中で勾留するかどうかが判断されてしまいます。
さらに、日本の刑事事件においては、起訴されてしまうと、異常に高い有罪率を誇る刑事裁判に挑まなければなりません。裁判を避けるための弁護士の助力は不可欠と言えます。
1.逮捕
逮捕回避の弁護活動
警察官は被疑者逮捕から48時間以内に検察官へ送致する手続きを行います。
したがって、逮捕されてしまうと、2日間は、釈放を見込むことができませんから、逮捕を回避してもらうことが重要になります。
2.送致
勾留請求の回避
釈放のための弁護活動
検察官は、被疑者を勾留するか釈放するかを判断します。
検察官が勾留を請求しなければ、この段階で釈放されることになりますので、最初の釈放のチャンスです。検察官に対する働きかけが重要になります。
特に、弁護士がついていない場合、被疑者に有利な証拠が何ら存在しないことも多く、被疑者に不利な情報だけで判断されることがないようにするためにも、弁護士の存在は重要です。
3.勾留
勾留請求却下・期間短縮のための弁護活動
裁判官は、検察官からの勾留請求を認めるかどうかを判断することになります。
勾留請求を却下してもらえれば釈放されることになりますので、2度目の釈放のチャンスになります。
ここでは、裁判官に対する働きかけが重要になります。
検察官の主張とおりに認定させないためにも、被疑者を釈放するために必要な材料を、弁護士から裁判官に提供することが大切です。
また、勾留が認められてしまった場合であっても、その期間を短くするように働きかけることも考えられます。
4.起訴
裁判を避けるための
弁護活動
検察官は、被疑者が勾留されている間に、被疑者を起訴するかどうかを決定します。
したがって、冤罪を晴らすため、出来る限り軽い処分を求めるためには、勾留期間が満了するまでの間に、どのような弁護活動をするかが鍵となります。黙秘するか積極的に弁解をするか等、弁護方針について高度な専門性を必要とする判断が求められます。
日本の刑事裁判は90%を超える極めて高い有罪率を有しており、裁判を避けるための弁護活動は不可欠なものといえます。
起訴されてしまった!公判段階での弁護活動
勾留されている被疑者は、起訴された後、保釈が認められなければ、その後の刑事事件の手続について、身体を拘束されたまま対応しなければなりません。
また、事実上、弁護士によらなければ、保釈を請求することは困難です。
90%を超える有罪率を誇る刑事裁判において、被告人の主張を裁判所に認めさせるためには、刑事事件についての経験を有する弁護士でなければ困難ですし、判決が宣告された後に控訴するようなケースにおいては、刑事事件の中でも特殊な手続が設けられていますから、刑事事件について自信を持っている弁護士でなければ、結果を出すことは困難です。
相談いただける時期が早いほど、幅広い弁護活動を検討することができますので、お悩みの場合には、できる限り早くご相談下さい。
1.起訴
保釈請求のための
手続き
起訴されてから裁判の日までは約45日の間隔があります。
勾留されていた被告人は、何もしなければ釈放されることはありません。
まずは釈放するために保釈を請求することになります。
保釈は、弁護人によるサポートがなければ事実上請求することが困難です。
また、どのようにして裁判を進めていくのかを決める必要があります。
弁護人は検察官が裁判所に提出する証拠資料を閲覧することができますので、裁判における弁護方針について綿密な打合せが求められます。
2.公判
証人や被告人への質問
有利な証拠の提出
日本の刑事裁判においては、裁判所に提出される書類が非常に大きな意味を持っています。
検察官から提出される書証に安易に同意すると、証人に対して尋問をする機会が失われてしまいます。誰にどのような質問をするのかによって、裁判官の心証は大きく変わりますから、慎重に公判に向けた準備が求められます
また、弁護士側から被告人に有利な証拠を提出することも求められます。
1回では裁判が終わらない場合、次の裁判の期日までは1ヶ月ほど空くことが多く、その間に次回の裁判のための準備をすることになります。
3.判決
再保釈の請求
(実刑であれば)
全ての審理を終えた後、裁判官は被告人に対して判決を宣告することになります。
もし、実刑判決(刑務所への服役を命じる判決)が宣告された場合、保釈中の被告人は、その日の内に再び身柄を拘束されることになります。
高等裁判所への控訴を考えていた場合であっても、控訴だけではなく、再保釈を請求しなければ、帰宅することができません。
したがって、事前に判決の内容を予想した上で、どのような判決内容であっても準備ができるように、弁護人と打合せをしておく必要があります。
4.上告
控訴趣意書
(上告主意書)の提出
宣告された判決に不服を申し立てたい場合には、高等裁判所に控訴することができます。
14日間以内に控訴申立書を提出する必要があります。
そして、控訴を申し立てた後、約3ヶ月の間に、宣告された判決の内容の不備を指摘する書面(控訴趣意書)を提出しなくてはなりません。
この書面は、単に判決に対する不服を書けばいいのではなく、「控訴理由」にあたる内容について詳述しなければならず、弁護士でなければ作成が事実上困難です。
特に、弁護士を変える場合、弁護士は改めて裁判所に対して証拠資料の閲覧などを求め、一から記録を精査する必要がありますので、時間的な余裕はほとんどありません。