抗告について|ダーウィン法律事務所 刑事事件専門サイト

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抗告について

1.少年院には送致されてしまう

 少年審判において、少年院送致等の厳重な処分が下された場合で、その処分結果に対して不服がある場合には、成年事件における刑事裁判と同様に不服を申したてることができます。この手続のことを抗告といいます。成年事件にける「控訴」とは用語も異なりますし、その手続も大きく異なりますので、注意してください。
 抗告について、少年法等は次のように定めています。

少年法
第32条

 保護処分の決定に対しては、決定に影響を及ぼす法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当を理由とするときに限り、少年、その法定代理人又は付添人から、2週間以内に、抗告をすることができる。ただし、付添人は、選任者である保護者の明示した意思に反して、抗告をすることができない。

第34条

 抗告は、執行を停止する効力を有しない。但し、原裁判所又は抗告裁判所は、決定をもつて、執行を停止することができる。

 2週間以内という期間制限については、成年事件における刑事裁判についての控訴と同じです。しかしながら、成年事件における刑事裁判においては、控訴を申し立てれば、その裁判は確定しませんから、その裁判の判決で宣告された刑が執行されることはありません。控訴が棄却された場合に、改めて刑が執行されることになります。
 しかしながら、少年審判においては、抗告に執行を停止する効力がない旨が定められています。つまり、少年院送致という処分を決められた場合、抗告を申し立てた場合であっても、少年院には送致されてしまうことになるのです。
 そうすると、抗告した後に、少年や少年の保護者と十分に話合う機会を設けること自体が困難になります。ケースバイケースではありますが、少年審判における抗告審の場合、新たな付添人を選任しても、新しい付添人に時間的余裕が乏しいため、審判を担当した付添人を継続して選任する方が好ましい事案が多いものといえそうです。

2.2週間以内に全ての主張をまとめる必要がある

 上述したように、抗告は2週間以内に申し立てる必要があります。この期間制限については、成年事件における刑事裁判と同じですが、この2週間以内に提出しなくてはいけない書面の内容については、少年審判における抗告と成年事件における裁判では大きく違います。
 成年事件における刑事裁判においては、2週間以内に控訴する意思を表示する書面を提出すれば足り、不服申立の内容については、改めて控訴趣意書の提出期限が通知された後に、その提出期限までに提出すれば足ります。
 しかしながら、少年事件における抗告においては、抗告する旨を裁判所に伝えるだけでは足りず、家庭裁判所の審判の内容に対する不服の内容について詳述した書面についても、2週間以内に提出する必要があるのです。

少年法
第32条の3

1項 抗告裁判所は、決定をするについて必要があるときは、事実の取調べをすることができる。
2項 前項の取調べは、合議体の構成員にさせ、又は家庭裁判所の裁判官に嘱託することができる。

 しかしながら、上述したように、少年法においては、抗告審の裁判官が新たな事実を調べる手続も一応は予定されています。
 少年事件において、家庭裁判所のくだした保護処分が誤りであることを高等裁判所の裁判官に理解させるためには、少年や少年の保護者の話を改めて伝える必要が高度に認められます。高等裁判所の裁判官は、直接少年や少年の保護者と接する機会がないままだと、実際に少年らと接触して話を聞いた上で判断を下した家庭裁判所の裁判官の判断が誤っていたとの結論には至り難いからです。

4.抗告すべきかどうかの判断

 残念ながら、少年事件における抗告審において、家庭裁判所の判断が覆る可能性は非常に小さいです。統計的には1%にも満たない程度しか認められません。
 他方で、さきほどお伝えしたように、抗告をしたことによって、少年院送致の日が先送りされるということはありませんから、抗告するかどうかによって、少年院から退院できる日程が先延ばしになってしまうこともありません。
 この点も踏まえて、抗告するかどうかの判断を行う必要があります。