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ぐ犯事件について

1.ぐ犯事件とは

 これまで、少年事件の特徴として、少年が犯罪行為に及んだことについての証明がなされていない場合であっても、家庭裁判所の判断によって少年院送致等の処分が下され得ることについて説明させていただきました(詳細はこちら を御確認ください。)
 成年事件であれば無罪判決が宣告されるべき事案において、何故、少年院送致等の処分を行う事ができるのかという点について問題となるのが「ぐ犯事件」です。
 まず、「ぐ犯事件」についての少年法の規定を確認してみましょう。

少年法
第3条

1項 次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
 3号 次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
  イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
  ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
  ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
  ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

 第3条1項3号に規定されているのが、「ぐ犯」ということになります。各内容を御確認いただければ分かりますが、犯罪行為に及んでいること自体は要件とされていません。軸となるのは、「将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をするおそれ」ということになります。
 まだ罪を犯していない段階な訳ですから、具体的にどのような犯罪行為を犯す可能性が高いのかという点について、「窃盗罪に及ぶ可能性」や「殺人罪に及ぶ可能性」のように、個別具体的な罪名についてまで特定されなければいけない訳ではない一方で、素行が悪いことのみを理由に何らかの犯罪を犯す可能性が認められるというだけでは足りません。
 例えば、性犯罪に及ぶ可能性が高いであったり、薬物犯罪を犯す可能性が高いといったように、特定の犯罪類型に及ぶ可能性が高いと認められる場合に、ぐ犯少年として扱われることになります。

2.ぐ犯事件の取り扱い

 ぐ犯事件は、数多く取り扱われている訳ではありません。やはり実際に犯罪行為に及んだことを立証できない事件(或いは立証しない事件)ですから、そもそも警察官等の捜査機関が捜査に着手することも多くありません。平成30年度の家庭裁判所の少年事件に関する年報によると、ぐ犯事件の総数は全国で210件しか報告されていません。
 一方で、少年事件の多くは審判不開始処分や不処分によって終結するのですが、ぐ犯事件については、その多くが何らかの保護処分を下されています。
 ですから、家庭裁判所に送致された段階では、保護観察処分や少年院送致等の保護処分が下される可能性が高く、付添人による弁護の必要性が極めて高く認められるのです。
 特に、ぐ犯事件において、少年が将来的に罪を犯す可能性の有無について判断される場合、少年の何らかの犯罪行為又は犯罪と密接に関与する行為が特定されていることが多いものといえます。この場合、ぐ犯事件として取り扱われている場合であっても、当該犯罪行為についての弁護活動が求められることは、他の少年事件と何ら変わりありません。
 ぐ犯事件においても付添人による弁護の必要性は大きいのです。

3.ぐ犯事件の弁護活動について

 少年事件については、成年事件における刑事裁判と異なり、少年の更生に向けてどのような処分が適切であるかという観点が極めて重要であることはお伝えいたしました。
 そして、ぐ犯事件については、特定の犯罪行為についての違法性ではなく、将来犯罪を犯す可能性が直接問題となっている訳ですから、通常の少年事件以上に、少年の監督環境が整備されているかどうかが重視されることになります。
 付添人としては、通常の少年事件の時以上に、少年の成育歴やこれまでの少年と少年の保護者の親子関係、少年の交友関係等を精査し、適切な更生環境を少年の保護者等と共に整備する必要があります。
 そして、少年の保護者だけでなく、児童相談所の関係者や学校関係者等、少年の更生の資源となり得る人間に対して、幅広く接触し、多方面から少年の更生を図るための方策を具体的に提案する必要があるのです。
 これは、法律の解釈や適用の問題とは大きく異なりますから、少年事件についての経験や知識等に加えて、少年と向き合い、少年を真に更生させるという熱意が必要となります。
 成年の刑事事件においても求められるものではありますが、少年事件における付添人に求められる内容は、成年の刑事事件における弁護人に求められる内容と、大きな差があるものといえるでしょう。
 上述したとおり、ぐ犯事件については数多く裁判所に送致されている訳ではありませんから、ぐ犯事件について取り扱ったことのある弁護士も多くは存在しません。弊所にはぐ犯事件について取り扱い実績のある弁護士も在籍しておりますので、まずは御相談いただければと思います。