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取調べ対応について

1.成年事件と同様に取調べがなされる

 少年事件においても、成年事件と同じように、警察官の捜査によって刑事事件は始まります。では、警察官等の捜査機関は、被疑者が少年であることを理由に、何らかの配慮をしてくれるのでしょうか。
 犯罪捜査規範は、少年事件に対する捜査について、次のように定めています。

犯罪捜査規範
第202条
少年事件の捜査については、この章に規定するもののほか、一般の例によるものとする。
第203条
 少年事件の捜査については、家庭裁判所における審判その他の処理に資することを念頭に置き、少年の健全な育成を期する精神をもつて、これに当たらなければならない。
第204条
 少年事件の捜査を行うに当たっては、少年の特性にかんがみ、特に他人の耳目に触れないようにし、取調べの言動に注意する等温情と理解をもつて当たり、その心情を傷つけないように努めなければならない。
第205条
 少年事件の捜査を行うに当たっては、犯罪の原因及び動機並びに当該少年の性格、行状、経歴、教育程度、環境、家庭の状況、交友関係等を詳細に調査しておかなければならない。

 第202条で定められているとおり、少年事件であっても、基本的には、成年の被疑者に対する捜査と同様に捜査は行われることになります。
 そして、第203条及び第204条において、「少年の健全な育成を期する精神をもって」、「温情と理解をもって当たり、その心情を傷つけないように努めなければならない」等と定められていますが、極めて抽象的な内容ですから、少年を取り調べるにあたって、捜査機関による少年の取調べにについて、特別な配慮を期待することはできません。
 むしろ、成年事件においては詳細に取り調べられることのない、「少年の性格、行状、経歴、教育程度、環境、家庭の状況、交友関係等」についてまで取調べが行われることによって、その範囲が極めて広く、成年事件以上に、取り調べられる事実関係が多くなるものと言えます。

2.裁判所に全て確認されてしまう

 さらに少年事件において注意しなくてはいけない点があります。それは、少年事件についての捜査記録については、一律して家庭裁判所に送致されてしまうということです。
 つまり、警察官や検察官が作成した捜査資料は、その全てについて裁判官の目に触れることになるのです。成年事件においては、検察官が捜査資料について証拠として取り調べるように裁判官に対して請求し、弁護人がその証拠を取り調べることについて同意(刑事訴訟法第326条)しなければ、裁判官がその証拠を確認することは基本的にはできません。
 しかしながら、少年事件においては、検察官は個別に証拠調べ請求をすることなく、全ての記録を一括して裁判所に送致します。このことについて、弁護人が異議を述べる機会はありません。
 したがって、何らかの証拠資料が作成されてしまった場合、その資料は裁判官の目に触れてしまうことになるのです。
 ですから、少年が取調べの際に、警察官や検察官の誘導にのって、真実とは異なることを供述してしまい、その供述内容が記録されてしまうと、裁判官はその供述調書の内容を前提に事実認定をしてしまう可能性があるのです。
 弁護人としては、少年に不利な証拠が作成されることがないように、成年事件の時以上に、取調べに対するアドバイスを具体的に行う必要があるのです。

3.取調べへの具体的な対応策

 では、少年事件における取り調べに対して、どのように対応すべきでしょうか。
これはケースバイケースとしか言えません。弁護人が少年と十分に打ち合わせを行い、その都度、取調べに対する対応を決めていく必要があります。
 上述したとおり、少年の供述調書は全て裁判所に提出されることになりますから、不利な供述調書が作成される可能性があるのであれば、全ての取調べに対して黙秘させるというのも一つの弁護活動としてあり得ます。
 しかしながら、黙秘を貫くというのは、成年の被疑者であっても精神的な負担が著しく、簡単なものではありません。少年事件においては特に、捜査機関による圧力によって、黙秘を途中でやめてしまうケースもあり得ます。
 当然、黙秘権を侵害するような取調べについては、弁護人が捜査機関に対して適切に抗議をする必要はありますが、適法な捜査活動によっても黙秘の維持が難しそうな場合には、黙秘をさせるという選択肢自体を考え直す必要があります。
 特に、少年事件においては、単独ではなく友人と共に犯罪行為に及ぶケースが極めて多く、少年が黙秘していても、共犯者関係にある友人が全て供述してしまうこともあります。その場合、その友人が供述した内容が真実であるかのように取り扱われることで、少年が不利な状況に陥ってしまう可能性もあります。
 また、そのような共犯者関係にある友人が存在する場合、今後の更生を考えれば、当該友人との人間関係は清算する必要があります。人間関係の清算という意味で、捜査機関に対して共犯関係について供述することにも理由はあるのです。
 以上のとおり、取調べに対してどのように対応するかについては、一律に決まるものではなく、少年の性格や事件の特質などを考慮して、弁護人が専門的知見と経験を活かして判断する必要があるのです。