控訴審の判決が宣告された場合、控訴審段階で許可された保釈の効力も消滅することになります。ですから、再保釈請求について説明をさせていただいた内容が再度問題になります。
しかしながら、第一審の判決日と異なり、控訴審の判決日においては、保釈中の被告人が、法廷の中で身柄を拘束されることはめ滅多にありません(私が個人的に経験した限りでは、東京高等裁判所、大阪高等裁判所、仙台高等裁判所において、宣告された判決の日に、被告人が直ちに身体拘束をされたケースはありません)。ですから、その日の内に、保釈の許可が得られなくても、被告人は身体を拘束されることなく、御家族と共に帰宅することができます(一方で、他の高等裁判所においては、控訴審においても同様に身体を拘束された例が散見されます。事前に弁護人に確認しておくことをお勧めします)。
再々保釈請求の場合、再保釈請求の時以上に、証拠関係は出そろっている訳ですから、罪証隠滅のおそれは低下しているものと考えられます。他方で、控訴審判決においても、第一審の実刑判決が維持された場合、当該実刑判決が執行される可能性が高まっていることから、その刑の執行を免れるために逃亡をする可能性があるかどうかについて、裁判所はシビアな判断を下すことがあります。
多くの場合、控訴審において保釈が許可されていれば、控訴審における判決宣告後に行う再々保釈請求についても認められる場合が多いように思いますが、被告人に逃亡の意思がないことや、家族等による監督に期待できること等について十分な疎明資料をつけた上で主張し、保釈の請求が却下されないようにすることが必要です。