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コラム

歩行者も守ろう!道路交通法の歩行者規制

簡単に言うと…
  • 1.歩行者に対しても道路交通法の規制は及ぶ。
  • 2.通行の方法や絶対的な禁止行為などが典型例である。
  • 3. 自動車と歩行者の交通事故を防ぐためにも、運転者と歩行者ともに交通法規を守ることが重要である。
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 自動車がこの世で発明されて、幾世紀が経ちました。最近は、ガソリンに頼らない環境に優しい自動車やAI搭載の自動車なども開発され、自動車産業は目覚ましい進歩を遂げているといえます。しかし、自動車による事故は絶えず、自動車と歩行者の事故も日々起きている現状があります。

 最近の報道で目に止まったのは、公道の第1車線と第2車線の間に立ち、公道を走行する自動車の前に足を蹴り出している者がいたという報道でした。自動車の運転者にとっては恐怖を感じる行為ですし、やっている本人も一歩間違えれば命を落としかねない危険な行為です。

 自動車を運転する方々なら誰でも知っている法律に、道路交通法があります。同法には、歩行者を対象とする規制があり、刑罰も科され得ることはご存じでしょうか。最近はあおり運転(※コラムのリンク-「道路交通法の改正によってあおり運転が罰則の対象に。どのような運転が対象になる?」)などが注目されていますが、今回は、自動車の運転者ではなく、歩行者にスポットを当てて、道路交通法を解説します。

なお、当コラムは、日常的によく見かける行為や報道で目にすることの多い内容に対象を絞っております。

1.信号等遵守、通行禁止等

道路交通法

(信号機の信号等に従う義務)
第7条 道路を通行する歩行者又は車両等は、信号機の表示する信号又は警察官等の手信号等・・・・・・に従わなければならない。
(罰則 ・・・・・・第121条第1項第1号)
(通行の禁止等)
第8条
1項 歩行者又は車両等は、道路標識等によりその通行を禁止されている道路又はその部分を通行してはならない。
(罰則 第1項については・・・・・・第121条第1項第1号)
第121条
1項 次の各号のいずれかに該当する者は、2万円以下の罰金又は科料に処する。
1号 ・・・・・・第7条(信号機の信号等に従う義務)若しくは第8条(通行の禁止等)第1項の規定に違反した歩行者

 道路交通法の中には、歩行者と車両等をともに規制している条項があります。代表例として挙げられるのが、信号を守る義務と通行禁止です。歩行者であっても、赤信号は進んではならないことが法的に義務付けられており(道路交通法7条、同法施行令2条、同法施行規則3条の2参照)、これに違反した場合には2万円以下の罰金又は過料を科され得ることになります(道路交通法121条1項1号)。また、道路標識等で通行禁止とされている箇所を通行することも禁止されており(同法8条1項)、信号等遵守義務違反と同様の刑罰を科され得ることになります(同法121条1項1号)。

信号がある場所というのは、事故防止のための交通整理が必要と判断された場所です。また、通行禁止場所については、通行することが事故の発生に繋がると判断された場所です。これらの指示に従わない場合、生命や身体への危機が迫ることになります。

2.歩行者の通行方法

道路交通法

第2章 歩行者の通行方法
(通行区分)
第10条
1項 歩行者は、歩道又は歩行者の通行に十分な幅員を有する路側帯(次項及び次条において「歩道等」という。)と車道の区別のない道路においては、道路の右側端に寄つて通行しなければならない。ただし、道路の右側端を通行することが危険であるときその他やむを得ないときは、道路の左側端に寄つて通行することができる。
2項 歩行者は、歩道等と車道の区別のある道路においては、次の各号に掲げる場合を除き、歩道等を通行しなければならない。
1号 車道を横断するとき。
2号 道路工事等のため歩道等を通行することができないとき、その他やむを得ないとき。
3項 前項の規定により歩道を通行する歩行者は、第63条の4第2項に規定する普通自転車通行指定部分があるときは、当該普通自転車通行指定部分をできるだけ避けて通行するように努めなければならない。
(横断の方法)
第12条
1項 歩行者は、道路を横断しようとするときは、横断歩道がある場所の附近においては、その横断歩道によつて道路を横断しなければならない。
2項 歩行者は、交差点において道路標識等により斜めに道路を横断することができることとされている場合を除き、斜めに道路を横断してはならない。
(横断の禁止の場所)
第13条
1項 歩行者は、車両等の直前又は直後で道路を横断してはならない。ただし、横断歩道によつて道路を横断するとき、又は信号機の表示する信号若しくは警察官等の手信号等に従つて道路を横断するときは、この限りでない。
2項 歩行者は、道路標識等によりその横断が禁止されている道路の部分においては、道路を横断してはならない。
(通行方法の指示)
第15条 警察官等は、第10条第1項若しくは第2項、第12条又は第13条の規定に違反して道路を通行している歩行者に対し、当該各条に規定する通行方法によるべきことを指示することができる。
(罰則 第121条第1項第4号)
第121条 次の各号のいずれかに該当する者は、2万円以下の罰金又は科料に処する。
1項4号 第15条(通行方法の指示)・・・・・・の規定による警察官等の指示に従わなかつた者

 道路交通法には、その第2章に歩行者の通行方法という規制が課されています。ごく簡単にいえば、歩道等がない道路においては、歩行者はできるだけ右に寄って歩くこと(同法10条1項)、歩道等がある場合には、歩行者は歩道を歩くこと(同条2項)、歩道に自転車通行指定部分がある場合には、できるだけそこを避けて歩道を歩くこと(同条3項)が求められています。

 道路を横断する際に、付近に横断歩道がある場合には、横断歩道を渡らなければなりません(同法12条1項、13条1項ただし書参照)。車両等の直前直後を横断したり、横断禁止の標識があったりする場合には、車道を横断してはいけません(同法13条1項本文、13条2項)。交差点の横断歩道は、斜めに横断してよい標識等がない限り、斜めに横断することはできません(同法12条2項)。渋谷のスクランブル交差点は、交差点の斜めにも横断歩道があるため、斜めに横断することができるようになっています。

 これらの規制に反すると、警察官は交通法規に適した方法で歩行するように指示します(同法15条)。この指示に反すると、罰金又は過料の対象となります(同法121条1項4号)。

 なお、歩行者用道路の場合には、これらの規制の解除がなされています(同法13条の2は、法10条から法13条の適用を除外している。)。

3.道路使用の禁止行為

道路交通法

(禁止行為)
第76条
1項 何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。
2項 何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。
3項 何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない。
4項 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
1号 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
2号 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
3号 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
4号 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
5号 (略)
6号 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。
7号 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為
(罰則 第1項及び第2項については第118条第1項第6号、第123条 第3項については第119条第1項第12号の4、第123条 第4項については第120条第1項第9号)
第118条
1項 次の各号のいずれかに該当する者は、6月以下の懲役又は10万円以下の罰金に処する。
6号 第76条(禁止行為)第1項又は第2項の規定に違反した者
第119条
1項 次の各号のいずれかに該当する者は、3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する。
12号の4 第76条(禁止行為)第3項・・・・・・の規定に違反した者
第120条
1項 次の各号のいずれかに該当する者は、5万円以下の罰金に処する。
9号 ・・・・・・第76条(禁止行為)第4項・・・・・・の規定に違反した者
第123条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関し、・・・・・・第118条第1項・・・・・・第6号まで、第119条第1項・・・・・・第12号の4・・・・・・の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑又は科料刑を科する。

 道路交通法76条は、交通妨害に関する絶対的な禁止行為を規定しています。歩行者に対する規制というと語弊があるかもしれませんが、車両等を運転せずに道路を使用又は利用する者という括りでいえば語弊はないでしょう。

過去の報道に、交差点の真ん中にこたつを置いて座り込んだ者らが逮捕される事件がありました。この行為は、道路交通法76条3項及び同条4項2号に違反し得る行為です。やっている張本人達は楽しさを求めてやったのかもしれませんが、本当に危険な行為なのでやめましょう。なお、報道によると、同事件の犯人らは罰金刑を科されています。

 

4.歩行者の範囲

道路交通法

(定義)
第2条 
3項 この法律の規定の適用については、次に掲げる者は、歩行者とする。
1号 身体障害者用の車椅子又は歩行補助車等を通行させている者
2号 次条の大型自動二輪車又は普通自動二輪車、二輪の原動機付自転車、二輪又は三輪の自転車その他車体の大きさ及び構造が他の歩行者の通行を妨げるおそれのないものとして内閣府令で定める基準に該当する車両 (これらの車両で側車付きのもの及び他の車両を牽けん引しているものを除く。)を押して歩いている者

 因みに、例外的にバイクの運転者を歩行者として取り扱う場合があります。道路交通法2条3項2号には、エンジンをかけずにバイクを押して歩いている場合には、歩行者として取り扱うことが規定されています。恐らく、自動車やバイクの運転免許を持っている方は、自動車学校(自動車教習所)で教わったと思います。教わった内容も、交通法規に基づいているのだと実感するのではないでしょうか。

5.歩行中の道路交通法違反における弁護活動

 道路交通法違反の罪で、逮捕、勾留されることは十分にありますし、その結果として罰金刑ではなく懲役刑が課されてしまうケースも決して珍しいものではありません。  
 とはいえ、そのような事案のほとんどは、酒酔い運転や無免許運転等の事案で、道路を歩行中に道路交通法違反の罪で警察官から職務質問を受け、警察署に任意同行されるといったケースに関する相談を受けることはほとんどありません。  
 皆様の中にも、横断歩道以外の場所で道路を横断した際や、信号を無視して道路を横断した際等に、警察官から注意を受けた経験はあっても、その後に検察官からその件で取調べを受けたという経験がある方はいらっしゃらないのではないかと思います。  
 一方で、単なる交通ルールであっても、そのようなルールに違反した場合に罰則が定められていることは多くありますし、実際に今回のコラムで罰則が存在していることも紹介させていただきました。したがって、単なる交通ルールだと軽い気持ちで行った言動によって、前科がついてしまう可能性は否定できないのです。  
 特に、罰則は定められているものの、その行為の悪質性が大きくない場合において、警察官が捜査をするケースというのは、繰り返し同種の犯行が行われているとの疑いをもたれた場合が多いように思われます。しかし、過去の違反行為については、具体的に記憶していないケースが多く、その疑いに対して十分に反論できないこともあり得ます。  
 また、実際に交通ルールに違反しているところを現認された場合、捜査機関の見立てに強く反論ができないというケースは他の犯罪類型においても多々認められるのです。  
 自身が十分に記憶・認識できていないことを理由に、前科が付けられるような状況になる前に、刑事事件の弁護士にまずは御相談いただければと思います。御相談いただけた結果として、特にその後の刑事事件に進展する可能性がないことが明らかになるケースもあり得ますし、それを確認できるだけでも刑事事件の弁護士の話を聞くことは有意義かと思われます。

6.まとめ

 今回は、歩行者が守るべき道路交通法について、ごく簡単に解説致しました。歩行者に対し、道路交通法違反の罰則が適用され、刑罰を科されたという例はそう多くはありません。しかし、刑罰をもって行為を規制しているということは、法によって守るべき利益が存在していることを意味しています。加えて、刑罰を科されてしまえば、それは前科になってしまいます。

交通事故というのは、人が便利を享受する中で生まれた悲しい副産物です。その原因は、運転者の交通法規違反だけではなく、歩行者の交通法規違反ということも少なくありません。歩行者の交通法規違反は、民事事件においては歩行者側の過失として考慮され、損害賠償額に影響を与えます。刑事事件においては、運転者が無罪となることも否定することができません。

運転者が交通法規を守ることは言わずもがなですが、歩行者も交通法規を守り、自分の命や大事な方の命を守りましょう。

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