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痴漢事件における検察官の処分

1.検察官の処分の種類

 警察官から事件の送致を受けた検察官は、捜査を終えた後、事件を処理する必要があります。その処理の仕方は大きく分けて、①起訴か②不起訴の2種類になります。

 そして、起訴の仕方にはいくつかあるのですが、痴漢事件との関係では、①A正式起訴と①B略式起訴の2種類に分けられると御理解ください。したがって、正式起訴、略式起訴、不起訴の3種が予想されることになります。

 不起訴処分を得られれば、その段階で刑事手続は終結し、被疑者の方は裁判を受ける必要がありませんし、前科もつかないことになる訳ですから、弁護人や被疑者の方とすればまずは不起訴処分を目指すことになります。

 それは、前科がある場合でも初犯の場合でも変わりませんし、痴漢したことを認めている場合でも否認している場合であっても変わりません。

2.不起訴処分

 1口に不起訴処分といっても、不起訴処分には様々な理由があります。捜査の結果、被疑者の方が犯人であると断定できなかった場合には、嫌疑不十分を理由とする不起訴処分が下されることになります。また、被疑者の方が犯人であることは明らかであっても、行った犯罪行為が軽微であり、被疑者の方に前科前歴が認められない場合において、今回に限り厳罰を科さないという趣旨で起訴猶予処分とされることもあります。この起訴猶予処分というのも不起訴処分の一種です。

 いくつかの理由があるものの、不起訴処分は不起訴処分で変わりません。どのような立場の被疑者の方であっても、まずは不起訴処分を目指すことになるのです。

 とはいえ、どのような理由に基づく不起訴処分を目指すのかによって、弁護方針は変わってきますから、早期の段階で不起訴処分を目指すための弁護方針を策定する必要があります。

 痴漢行為に及んでおり、捜査機関に対してもその旨を正直に供述している場合、前科前歴がなく、一瞬だけ着衣の上から臀部付近に触れた場合などのように、痴漢の行為態様が比較的軽微であったとしても、何も弁護活動をせずに放置してしまえば、検察官が不起訴処分を下すことは稀です。

 痴漢行為に及んでいることを認めているケースにおいて、不起訴処分を得るために最も効果のある弁護活動が示談交渉になります。

関連記事:「痴漢事件における示談交渉」
痴漢事件で示談交渉をすることの重要性と方法について説明しています。被害者との示談が前科の有無に影響するため、弁護士を通して連絡先を入手し、示談金を決めることが必要です。示談金は慰謝料としての性質も認められますが、被害者の許しを得るための代価としての側面も強く、法的な相場はありません。

 また、示談が成立し、被害者の方が被疑者の方に厳罰を科すことを望まない旨(被疑者の方を許す旨)の意向を示してくれた場合、被疑者が痴漢行為に及んだことを認めていない場合であっても、不起訴処分を得られることはあります。

 痴漢したという事実を認めない場合、まずは冤罪を晴らす方向で活動すべきです。また、悪いことをしていないにもかかわらず、示談金を支払うということは論理矛盾に感じられるかもしれません。とはいえ、示談交渉に着手することもなく容疑を否認し続けた場合において、検察官が痴漢事件を起訴した場合、我が国における有罪率の異常な高さを考えれば、起訴された後は非常に厳しい戦いが待っていることになるのです。

 不起訴処分を得る可能性を最大限に高めるためには、否認している場合であっても、示談交渉に着手することを検討するべきでしょう。検討した上で、示談交渉に着手しないと決断することは全く問題ありません。むしろ、罪を犯していない以上、自然な判断です。冤罪の場合であっても示談をするべきということを言いたいのではなく、捜査段階において何ができるかを全て把握した上で、決断を下して欲しいのです。

3.略式起訴

 初犯であり、痴漢の態様が悪質とまでは言えない場合であっても、何もせずに放置していた場合には不起訴処分になる可能性が低いということはお話ししました。ではどうなるかというと、略式起訴という形で処分される可能性が高いです。

 略式起訴とは、起訴ではあるものの、裁判の手続を省略する形での起訴です。したがって、被疑者の方は裁判所に出廷する必要はなく、検察官から提出された書類に基づいて裁判官が判断した結果が、後日書面で通知されることになります。

 そして、後日郵送される書面の内容に従って罰金を納付することで、痴漢事件についての刑事手続は終了になります。在庁略式といって、被疑者の方が逮捕・勾留されている場合に、勾留満期日に罰金を納める手続も存在します。その場合、釈放と同時に罰金を納付し、その日のうちに手続は終了することとなります。

 略式起訴は、裁判をすることなく、被疑者の方を犯罪者であると認定する手続ですので、被疑者の方がそのような方法で手続を終わらせることについて同意していなければ採りえません。そのような同意をしていない被疑者の方に対して略式手続をとることは、被疑者の方の裁判を受ける権利を侵害することになるからです。

 なお、一度は検察官に対して、略式手続で終了させることについて同意していたとしても、略式手続によって裁判所から書面が届いた際に、やはり正式な裁判をしたいと被疑者の方が望んだ場合には、正式な裁判を申し立てることが可能です。

 注意すべき点として、略式起訴によって被疑者に科すことができるのは罰金刑であって、執行猶予付きの懲役刑を科すことはできません。不同意わいせつ罪が適用された場合、不同意わいせつ罪には罰金刑が法定されていませんから、略式起訴で終結する可能性はありません。ですから、不起訴処分が得られないこととなった場合、後述する正式起訴となってしまうのです。

4.正式起訴

 裁判を受けさせる手続になります。したがって、正式起訴された場合、裁判所から第1回公判期日をいつ行うのかについての日程調整の連絡が、後日、弁護人に届くことになります。その後、どのように手続きが進むのかについては、関連記事:「痴漢事件の裁判」で解説させていただいておりますので、そちらをご覧ください。

関連記事:「痴漢事件の裁判」
痴漢事件で起訴されるケース、自白している場合と否認している場合の裁判の流れと注意点、弁護活動のポイントなどについて、具体的な例を挙げて説明しています。痴漢事件は、条例違反と不同意わいせつ罪の区別が難しい犯罪類型であり、示談交渉や冤罪防止のために、専門的な知識と経験を持った弁護人に相談することが重要です。

 正式起訴の場合、痴漢事件に対する刑罰としては、基本的には懲役刑(拘禁刑)が科されることが多いです。それは、罰金刑が相当だと検察官が判断する場合には、略式手続が選択される可能性が高いからです(無罪主張の場合は違います)。したがって、重罰が科されることを想定した上で綿密な準備が求められることになる訳です。

 特に、条例違反ではなく不同意わいせつ罪の容疑がかけられている場合には、示談が成立していない場合、前科前歴がなくとも正式起訴される可能性が極めて高いです。

 したがって、捜査段階において正式裁判を避けることができるように、示談交渉などの弁護活動を十分にし尽くす必要性が高く認められるのです。

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