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コラム

携帯電話の中身は確認されてしまうのか

簡単に言うと…
  • パスコードによってスマホをロックし、そのパスコードを捜査機関に伝えなければ、スマホの内部を確認されることはないと考えられてきた。
  • 最近では、パスコードを教えていないのにもかかわらず、捜査機関にスマホ内部を確認されてしまうケースが増え、捜査機関がスマホ内部を確認するための適法な捜査手法も存在する。
  • 新しい捜査手法であることから、違法な捜査と判断される可能性も考えられ、弁護人との十分な協議が求められる。
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皆様の中にはスマートフォン(以下、「スマホ」といいます。)を使ってこの記事を読んでくださっている方もいらっしゃるように思います。年配の方も含めてスマホは広く普及していますし、キャッシュレス決裁の際にスマホを用いることも一般的になってきており、スマホの担う役割は非常に大きくなっています。その結果として、スマホには大量の情報が集積されることになります。
したがって、捜査機関にとって、スマホの内部に記録されている情報の解析は、必要不可欠な捜査となっています。
この点について、数年前までは、スマホを押収された場合であっても、パスコードさえ捜査機関に伝えなければ、内部に記録されているデータを確認されることはないと考えられていました。
ですから、黙秘権の行使の一環として、パスコードを捜査機関に伝えないようにアドバイスをしてきた弁護人も多いように思います。
しかしながら、最近は、パスコードを伝えていないにもかかわらず、捜査機関によってスマホの内部を解析されてしまった事件に接することが少なくありません。
今回は、捜査機関によるスマホ内部の情報に対する捜査について解説したいと思います。

スマホに対する捜査

捜索・差押え

スマホに記録されている情報を確認するにあたっては、まずスマホ自体を入手する必要があります(クラウド上に記録されている情報については、スマホ自体を入手しなくても確認することが可能ですが、他の法律上の問題点を多く含む議論になりますので、この点についての解説は別の機会にさせていただければと思います)。
被疑者が捜査機関に対してスマホを任意に提出するケースも多く認められますが、スマホの提出を拒んだ場合、捜査機関は裁判官からの令状を得ることなどによって、スマホを強制的に入手することができます。

刑事訴訟法

第218条
1項 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。
第221
 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。

他にも、捜査機関が物を入手するための捜査手法はありますが、条文を紹介させていただいた、第218条1項が定める令状による差押えと第221条が定める領置の手続が、刑事訴訟法の定める代表的な方法といえます。

必要な処分

しかし、殺人事件における凶器等と異なり、スマホは、その外観だけを眺めていても重要な情報を得ることはできません。スマホの中身を確認できてはじめて、スマホを押収する意味があるはずです。
一方で、スマホにパスコードを入力して中身を確認する行為は、「差押え」や「領置」とは異なる行為のように思われます。

刑事訴訟法

第111条
1項 差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行については、錠をはずし、封を開き、その他必要な処分をすることができる。公判廷で差押え、記録命令付差押え又は捜索をする場合も、同様である。
2項 前項の処分は、押収物についても、これをすることができる。
第222条
1項 …第110条から第112条まで…の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条…の規定によってする押収又は捜索について…これを準用する。

この点については、刑事訴訟法第197条1項が定める任意捜査として、裁判所からの令状がなくても行うことができるとする見解もありますし、上記刑事訴訟法第111条1項・2項が定める「必要な処分」として認められるという見解もあります。
いずれにしても、パスコードを入力すること自体は、新たな令状を得ることなく、捜査機関が行える捜査であると理解されています。
しかし、「必要な処分」は差押え等に伴う処分でしかありません。任意に入手できたパスコードによって中身を確認できる場合には問題ないのですが、そうではない場合に、強制的にパスコード等を入手することは「必要な処分」として行うことができません。

スマホの中身を強制的に確認する方法

パスコード

では、スマホにロックがかかっている場合で、被疑者らからパスコード等を教えてもらえなかった場合に、捜査機関はスマホの中身を確認できないのでしょうか。
刑事訴訟法第111条1項は「錠をはずす」行為を認めており、鍵の提供が得られない場合には、錠を破壊することも許されるものと解されています。
ですから、スマホのロックを外す場合において、被疑者からパスコードを教えてもらえない場合に、ロックを無理矢理でも外そうと試みること自体は、「必要な処分」として許容されることになりそうです。とはいえ、スマホの中には様々な情報が含まれており、錠を破壊するようなケースと比較すると、捜査機関に把握される情報量が相当に広い範囲に及んでしまいます。
捜査機関がスマホのロックの解除を民間企業に依頼したという報道も昨年の段階からいくつかなされており、弁護人としてはこのような捜査手法が許されるものなのかどうか、裁判の中で争うことも検討する必要があるでしょう。
なお、当然のことですが、被疑者からパスコードを無理矢理喋らせる行為や、パスコードの解除の実演を強制させることは、黙秘権の侵害となることから、許されない捜査手法といえそうです。

指紋認証等

スマホにロックをかける方法はパスコードだけではありません。パスコード以外のロック方法として、最もメジャーな方法は指紋認証のように思います。
いちいちパスコードを入力する必要がなく、ホームボタンに指をかざすだけでロックを解除することができますから、私の周囲にも指紋認証を用いている方は多くいらっしゃいます。
指紋認証によるロックを外すためには、指をスマホのホームボタンにかざすことで足りますから、被疑者に何かを喋らせる必要はなく、黙秘権は問題にならないように思います。
しかし、被疑者が指紋認証によるロックの解除に協力しない場合に、被疑者の指を無理矢理スマホに近づけさせる行為は、携帯電話に対する押収に伴う行為ではありませんから、新たな令状が必要となります。具体的には身体検査令状を裁判所から取得することになるでしょう。
強制採尿や強制採血等の捜査が認められている以上、このような令状による捜査を一律に違法とすることは困難ですし、強制採尿等と比較すると人権の制約の程度が低く、許容される範囲はそれらの捜査手続と比較すると大きいように思われます。しかし、無条件に許容される訳ではありませんし、このような捜査の違法性に関する裁判例が確立している訳ではありませんから、このような捜査が行われた場合、当該捜査の違法性を主張するかどうかについて、弁護人としては十分に検討する必要があるでしょう。

まとめ

以上のとおり、捜査機関が適法にスマホの内部を確認する捜査手法は存在しており、パスコードさえかけておけば、スマホの内部を確認されないという訳ではありません。
一方で、新たな捜査手法ですから、同種の捜査手法に関する適法性について判断した裁判例の集積は不十分であり、違法な捜査が行われている可能性も否定できないように思います。
違法な捜査かどうかという点についてもそうですし、違法な捜査であることが判明した場合に、当該事実をどのように主張するのかという点についても、極めて専門性の高い判断になります。
懸念事項がある場合には弁護人に尋ねてみてください。

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