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コラム

キャンプ用のナイフで前科がついてしまうかも?銃刀法違反について

簡単に言うと…
  • キャンプ等で使用したナイフを仕舞い忘れたまま携帯したことで、銃刀法に違反してしまう方が続出している。
  • 銃刀法が規制している刃物は幅広く、その存在を忘れてしまっていたという主張は、無罪主張にはつながらない。
  • 刃物を携帯する「正当な理由」が認められるかどうかも、様々な事情の総合考慮によって決められるため、早期に専門家に相談していただきたい。
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「置きっぱなしはだめズラ!」 
 「ゆるキャン△」のキャラクターと共に、キャンプ等で使用するナイフ等を車内や鞄の中に放置しないように呼び掛けるポスターをご覧になった方も多いのではないでしょうか。
 
警視庁がポスターで呼びかけを行っているのは、過去にキャンプ等で使った刃物をしまい忘れるような形で、銃砲刀剣類所持等取締法(以下、「銃刀法」と省略します。)に違反してしまう方々が非常に多いからです。
 先日の報道でも、昨年度に刃物の携帯を理由に銃刀法違反で摘発された方の内、約8割以上が、刃物を何らかの理由で使用した後、車内や鞄の中に置き忘れたまま携帯してしまったケースであったことが明らかにされていました。
 銃刀法違反というと、拳銃や日本刀のように、極めて危険な銃砲刀剣類をイメージする方が多いように思いますが、例えばかみそりやはさみのようなものでも、銃刀法に違反してしまうケースはあるのです。
 銃刀法違反は、人を傷つける用途で銃砲刀剣類を所持していた訳ではなくても成立する犯罪ですから、うっかり犯してしまうことも十分にある犯罪です。
 今回は、銃刀法違反の内、うっかり犯してしまう可能性が高いように思われる、刃物の携帯に関する罪について解説させていただきます。

1. 銃刀法の内容

 まずは、銃刀法がどのような定めを設けているかどうかを確認してみましょう。

銃刀法

(定義)
第2条2項
 この法律おいて「刀剣類」とは、刃渡り15cm以上の刀、やり及びなぎなた、刃渡り5.5cm以上の剣、あいくち並びに45度以上に自動的に開刃する装置を有する飛出しナイフ(刃渡り5.5cm以下の飛出しナイフで、開刃した刃体をさやと直線に固定させる装置を有せず、刃先が直線であって峰の先端部が丸みを帯び、かつ、峰の上における切先から直線で1cmの点と切先とを結ぶ線が刃先の線に対して60度以上の角度で交わるものを除く。)をいう。
(所持の禁止)
第3条
 何人も、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、…刀剣類を所持してはならない。
(刃体の長さが6cmをこえる刃物の携帯の禁止)
第22条
 何人も、業務その他正当な理由による場合を除いては、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが6cmをこえる刃物を携帯してはならない。ただし、内閣府令で定めるところにより計った刃体の長さが8cm以下のはさみ若しくは折りたたみ式のナイフ又はこれらの刃物以外の刃物で、政令で定める種類又は形状のものについては、この限りでない。
第31条の16
 次の各号のいずれかに該当する場合には、当該違反行為をした者は、3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。
 1号 第3条第1項の規定に違反して…刀剣類を所持したとき。
第31条の18
2項 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の懲役又は30万円以下の罰金に処する。
 2号 第22条の規定に違反した者

 銃刀法は枝番が極めて多いことに加え、罰則について定めた個所も、「第〇条、第〇条の〇に違反し…」といった形で定められているため、非常に読みにくい法律となっています。
 細かく規制されている内容の多くは、拳銃等のより危険性の高いものを対象としているものなのですが、刃物であっても、「刀剣類」と定義されるものについては、第3条1項で一般的に所持が禁止されております。

2. 規制される刃物の内容

(1)「刀剣類」

 一般的に所持することすら許されない刃物として、「刀剣類」として定められているものとして、やりやなぎなた、あいくちなどが列挙されています。
 これらについて、うっかり所持してしまうということは考え難そうですが、飛出しナイフについては、刃渡り5.5cmという比較的小さそうに思えるものでも、「刀剣類」に該当してしまいます。
 なお、「刃渡り15cm以上の刀」についても、「刀剣類」に該当してしまいます。三徳包丁のような包丁ですと、15cm以上の刃渡りを有するものは、インターネット上でも簡単に購入することが可能です。
 もっとも、「刀剣類」とされる刀と料理用の包丁は異なるものと考えられています。ですから、包丁については「刀剣類」として所持自体が規制されている訳ではなく、後述する携帯が禁止されている刃物と理解していただければと思います。

(2)6cmを超える刃体を有する刃物

 上述した「刀剣類」に該当する刃物は、一般的に所持が禁止されるような危険性を有するものですから、うっかり携帯してしまうということはあまり考えられません。
 報道でも話題となっていた、うっかり銃刀法に違反してしまうケースというのは、第3条ではなく第22条に違反する態様によるものです。
 こちらは、「刀剣類」に該当しないため、所持すること自体は禁止されておりませんが、刃体の長さが6cmを超える場合などには、正当な理由がなければ携帯が許されないとされています。
 6cmという基準が小さく感じるか大きく感じるかについては個人差があるように思いますが、6cmを超える刃物は日常的にもよく目にすることが多いように思います。包丁だけでなくハサミやカッターナイフ等、ご自宅にある刃物の刃体を調べていただけると、そこまで大きなものではなくとも、銃刀法の規制対象となっていることが分かるように思います。

(3)例外的に携帯が許容される刃物

第22条は、6cmを超える刃体を有する刃物であっても、刃体が8cm以下の刃物の一部については、携帯の禁止の対象から除外しています。

銃砲刀剣類所持等取締法施行令

(刃体の長さが6cmをこえる刃物で携帯が禁止されないもの)

第37条

 法第22条ただし書の政令で定める種類又は形状の刃物は、次の各号に掲げるものとする。
1号 刃体の先端部が著しく鋭く、かつ、刃が鋭利なはさみ以外のはさみ
2号 折りたたみ式のナイフであつて、刃体の幅が1.5cmを、刃体の厚みが0.25cmをそれぞれこえず、かつ、開刃した刃体をさやに固定させる装置を有しないもの
3号 …刃体の長さが8cm以下のくだものナイフであって、刃体の厚み が0.15cmをこえず、かつ、刃体の先端部が丸みを帯びているもの
4号 …刃体の長さが7cm以下の切出しであって、刃体の幅が2cmを、刃体の厚みが0.2cmをそれぞれこえないもの

 基本的には、刃の厚みや幅について制限をかけ、危険性が小さいものが規制対象から除外されているものと考えられます。
 とはいえ、皆様がキャンプ等で刃物を使おうとする場合、刃体の長さや厚みを内閣府令に従った方式で測ってから持参するということはしていないように思いますし、そこまでの配慮をするのであれば、「うっかり」銃刀法に違反してしまうこと自体も考えられません。
 また、はさみについては、「刃体の先端部が著しく鋭く」、「刃が鋭利」という抽象的な定め方がされていますから、手元にあるはさみが「刃が鋭利」といえるものなのかという判断にも悩むことになろうと思います。
 したがって、携帯が禁止されていない刃物を選ぶことに注力するというよりは、うっかり規制されている刃物を携帯しないようにするということが大切になるものといえます。

3. 正当な理由

 法22条は、刃物の携帯を全面的に禁止しているのではなく、「業務その他正当な理由」が認められる場合には、刃物の携帯は違法となりません。
 例えば、包丁を購入した帰り道に職務質問を受けた場合に銃刀法違反が成立してしまうとなると、包丁を購入することすら許されなくなってしまいますので、そのような場合は「正当な理由」が認められ銃刀法違反は成立しないものといえます。
 では、「正当な理由」とはどのような場合に認められるのでしょうか。この点については軽犯罪法についての最高裁判例なのですが、最判平成21年3月26日(刑集63巻3号265頁)が、「職務上又は日常生活上の必要性から、社会通念上、相当と認められる場合をいい、これに該当するか否かは、当該器具の用途や形状・性能、隠匿携帯した者の職業や日常生活との関係、隠匿携帯の日時・場所、態様及び周囲の状況等の客観的要素と、隠匿携帯の動機、目的、認識等の主観的要素とを総合的に勘案して判断すべきもの」と判示しています。
 軽犯罪法と銃刀法とで同じ考え方を用いていいのかどうかについては争いがありますが、最近の裁判例では、平成21年判決の考え方を銃刀法違反の事案にも適用した上で、被告人に無罪を言い渡したものがあります。
 「正当な理由」という文言だけ読むと、その刃物を使う予定の有無やその内容だけが問題となるようにも思えますが、平成21年判決が指摘するように、携帯の態様等についても踏まえて判断されることになるのです。
 被告人に無罪判決が宣告された事案には、被告人が携帯していた刃物が自動車に積載されていたことや、その刃物がケースに収納されていたことなどを理由として、「正当な理由」を認めたものもあるのです。
 つまり、同じ刃物が問題となる場合であっても、自動車のトランクにケースに仕舞われた状態で積載されていた場合には適法であっても、裸のままリュックに入っていた場合には違法となることがあり得るのです。
 結局、「正当な理由」の有無については、ケースバイケースとしかいえず、適法な携帯か違法な携帯かを一律に区別することは困難だといえますので、仮に、銃刀法違反を疑われた場合には、弁護人からの専門的なアドバイスが必要になりますし、そもそもそのような状態を招くことがないように、不必要な刃物類を携帯しないように注意する必要があるのです。

4. 過失じゃないの?

 過去に業務やキャンプや引っ越しで用いた刃物であっても、使い終わった後、車内や鞄の中に置き忘れてしまった場合、その刃物を何らかの正当な理由で用いる予定はない訳ですから、刃物を携帯する「正当な理由」があったと主張することは、ケースバイケースとはいえ相当に難しくなります。
 しかし、「うっかり」刃物を携帯してしまった場合、わざと危険物を持ち歩いていた訳ではありませんから、過失犯のようにも思えます。そして、銃刀法には過失犯を処罰する規定はありませんから、「うっかり」携帯のケースにおいては犯罪が成立しないのではないかという疑問をもつかもしれません。
 しかしながら、薬物や危険物についての所持罪について、最初に所持していたことについての認識があれば、その後、所持していたことについて失念していた場合であっても、所持罪の故意を認めるのが確立した裁判例となっており、銃刀法の刃物携帯の罪についても同様に理解されています。
 何故、失念しているにもかかわらず、故意が認められてしまうのかについては、様々な説明が試みられており非常に難解ですので、ここでは深入りしません。
 結論として、刃物携帯についての故意を否定するためには、失念していたという主張は無意味で、刃物を携帯している理由が分からない(例えば、「誰かに鞄に入れられた」のような主張です)といったケースに限られることになるのです。

5. 銃刀法違反と刑事事件の弁護士

 銃刀法違反の罪と聞くと、反社会的勢力による犯罪行為を思い浮かべてしまうかもしれませんが、うっかり犯してしまう罪として、非常に身近な犯罪類型だと言えます。  
 うっかり所持する刃物の種類はある程度限られていると思われますので、その場でいきなり逮捕され勾留されてしまうケースはあまりないように思いますが、前科がついてしまう可能性は否定できません。  
 特に、過去に前科前歴がある方が、犯罪にあたるとは十分に理解せずに、刃物を携帯していて職務質問を受けた場合には、執行猶予が取り消される等、大きな問題につながりかねません。  
 上述したとおり、銃刀法違反の罪の成否については、刃物がどのように管理されていたのかによって、結論が分かれることもあるのであって、その判断は極めて専門的なものとなります。ですから、刃物が存在していたことを理由に、安易にあきらめるのではなく、まずは刑事事件の弁護士に相談していただければと思います。  
 何度も言いますが、小さな犯罪で厳重注意だけで済むとたかをくくっていると、ある日突然検察庁から呼び出し状が届くということもあり得る訳ですから、刑事事件の弁護士によるアドバイスの重要性は大いに認められるのです。

6. まとめ

 刃物は様々なシチュエーションで用いられる便利な道具です。報道ではキャンプで使った刃物を仕舞い忘れるケースに注目されていましたが、キャンプ以外にも友人の引っ越しを手伝う際等に、刃物を携帯した経験がある方は少なくないのではないでしょうか。
 悪い事をしたつもりもなく、誰も傷つけていないにもかかわらず、犯罪者として取調べを受けることになるのは酷なように思いますが、犯罪は犯罪です。
 しかし、「うっかり」銃刀法に違反してしまうようなケースについては、そこまで悪質な犯行態様だとは考えられませんし、前科が付されることなく刑事手続を乗り切ることのできる可能性は十分にあります。
 銃刀法違反に限らず、「うっかり」犯罪を犯してしまうことは決して珍しい訳ではありませんし、恥に感じる必要もありません。まずは、お気軽に御相談ください。

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