性的姿態等撮影罪の成立要件について|ダーウィン法律事務所 刑事事件専門サイト

ご家族・ご友人が逮捕・起訴されてしまったら、すぐにお電話ください!

0120-845-018

受付時間:7時~23時(土・日・祝日も受付)

初回電話
相談無料
守秘義務
厳守
東京 埼玉 神奈川 千葉

性的姿態等撮影罪の成立要件について

盗撮行為は性的姿態等撮影罪によって処罰されることになります。この罪の内容について解説していきます。

これまで何度か盗撮の罪に関するコラムを作成してきました。以前は、盗撮行為について、国が定めた法律ではなく、各都道府県が定める迷惑行為条例によって刑罰が科されてきたため「「盗撮罪」は存在しない!?再犯率の高い盗撮事件について詳しく解説」といった記事で条例違反の内容について解説させていただいたり、新たに性的姿態撮影等処罰法の新設が議論された経緯を解説するにあたって、「盗撮の罪の重罪化?盗撮罪の新設について」「改めて盗撮の罪について考える」といった記事を作成してまいりました。

しかしながら、このコラムを書いている2026年10月の段階で、性的姿態撮影等処罰法が2023年6月に成立してから、3年以上が経過したことになります。

そこで、改めて、性的姿態撮影等処罰法がどのように適用されてきたのかについて解説をさせていただこうと思います。

なお、性的姿態撮影等処罰法においては、性的姿態等撮影罪(いわゆる盗撮の罪)以外にも、盗撮によって得られたデータを提供する行為等に対する刑罰も定められていますが、今回は盗撮の罪についての解説をさせていただきます。

1.性的姿態等撮影罪の条文

性的姿態撮影等処罰法において盗撮の罪はどのように定められているのでしょうか。確認してみましょう。

まずは、盗撮の罪がどのように定められているのかについて、性的姿態等撮影罪の条文を確認してみましょう。

性的姿態撮影等処罰法

(性的姿態等撮影)

第2条

1項 次の各号のいずれかに掲げる行為をした者は、3年以下の拘禁刑又は300万円以下の罰金に処する。

1号 正当な理由がないのに、ひそかに、次に掲げる姿態等(以下「性的姿態等」という。)のうち、人が通常衣服を着けている場所において不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているものを除いたもの(以下「対象性的姿態等」という。)を撮影する行為

イ 人の性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう。以下このイにおいて同じ。)又は人が身に着けている下着(通常衣服で覆われており、かつ、性的な部位を覆うのに用いられるものに限る。)のうち現に性的な部位を直接若しくは間接に覆っている部分

2項 前項の罪の未遂は、罰する

公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例(東京都)

(粗暴行為(ぐれん隊行為等)の禁止)

第5条1項

何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。

2号 次のいずれかに掲げる場所又は乗物における人の通常衣服で隠されている下着又は身体を、写真機その他の機器を用いて撮影し、又は撮影する目的で写真機その他の機器を差し向け、若しくは設置すること。

イ 住居、便所、浴場、更衣室その他人が通常衣服の全部又は一部を着けない状態でいるような場所

ロ 公共の場所、公共の乗物、学校、事務所、タクシーその他不特定又は多数の者が利用し、又は出入りする場所又は乗物(に該当するものを除く。)

冒頭でお伝えしたとおり、性的姿態撮影等処罰法においては、盗撮の罪だけでなく、盗撮画像や動画の提供行為等に対しても刑罰を科すことが定められています。また、性的姿態撮影等処罰法第2条において性的姿態等撮影罪として刑罰が科されている行為には、引用した内容だけでなく、13歳未満の者の性的姿態等を撮影する行為(盗撮ではなく被写体の承諾を得たうえでの撮影行為も処罰対象としています)なども含まれます。

今回は、いわゆる「盗撮」に関して刑罰を科している部分のみを抜き出しているので、他の処罰対象行為を確認されたい場合には、法律の原文をご確認ください。

また、性的姿態撮影等処罰法が新設された後でも、各都道府県の迷惑行為防止条例が適用されるケースは残されています。そこで、東京都の条文について、紹介させていただきました。

迷惑行為防止条例違反がこれまで適用されてきた、典型的な「盗撮」とされるケースについては、「人が身に着けている下着」を「撮影する行為」といえますので、基本的には性的姿態等撮影罪が成立することになります。

もっとも、そのような部位が撮影された訳ではなくても、「人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為」と評価できるような、「下着又は身体」を撮影する行為というものは想定可能です。

 性的姿態撮影等処罰法違反は成立しないものの、迷惑行為防止条例違反が成立しうるケースについては、「性的姿態撮影等処罰法について」という記事で解説させていただきましたのでご確認ください。

2.対象性的姿態等とは

性的姿態等撮影罪が対象とする対象性的姿態等とはいったい何なのでしょうか。

 さきほど性的姿態等撮影罪の条文を紹介させていただきました。括弧書きが多く読みにくい条文となっていますが、柱書の最後の部分だけ抜き取ってみると、「対象性的姿態等」を撮影する行為に対して刑罰が科されていることがわかります。

 したがって、撮影した対象が、「対象性的姿態等」に該当しなければ、盗撮の罪は成立しないことになります。では、「対象性的姿態等」とはどのような姿態のことをいうのでしょうか。

 性的姿態等撮影罪は、この点について、「性的な部位(性器若しくは肛こう門若しくはこれらの周辺部、臀でん部又は胸部をいう)」を「対象性的姿態等」として定めています。したがって、撮影者が特殊な性癖を有しており、性器等の付近ではなく、鎖骨周辺に性的な関心をもって撮影した場合には、盗撮の罪は成立しないことになります。

 一方で、「性的な部位」に該当するかどうかについては、上述のとおり定められていますから、「臀でん部又は胸部」が写されている画像や動画については、性別や年齢を問わず、「対象性的姿態等」に該当することになるでしょう。

 例えば、男児の「胸部」についても「対象性的姿態等」に該当するとして、盗撮罪が成立する可能性があるのです。

 この点について、盗撮の罪の成立範囲が広過ぎるのではないかという違和感を覚えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。おそらくその背景には、女性と異なり男性については、上裸に近い形で公の場所を行き来しているのを目にしたことが多く、そのような姿態を撮影する行為を処罰する必要性がないように感じているからなのではないかと思います。

 性的姿態等撮影罪は、「不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているもの」を処罰対象から除外しています。ですから、公園等で上裸の状態でいる男性を撮影したとしても、盗撮の罪が成立することは原則としてありません。

 また、「対象性的姿態」には、性的な部位そのものだけでなく、当該性的な部位を覆うために用いられる「下着」を撮影する行為も含まれます。スカート内にスマートフォンを差し入れて撮影する行為は、通常、このような意味での「下着」を撮影する行為になるため、盗撮罪によって刑罰が科されることになるのです。

 この点について、どのような衣類が「下着」と扱われることになるのかというと、実はハッキリとしない部分が残されています。パンツやブラジャーが下着に該当することは明らかでしょう。しかし、ブラジャーの肩紐部分については、「胸部」という性的部位を覆う部分ではありませんから、「対象性的姿態」には該当しないでしょう。

 逆に水着姿の人を撮影する場合、性的な部位を覆っている箇所が写されていたとしても、「下着」ではありませんから、「対象性的姿態」には該当しません。ブラジャーを着用していない女性のTシャツ姿を撮影したとしても、「下着」ではないため同様です。

 問題はキャミソールのように、下着としても使い得る衣類です。キャミソールが外部に見えるような形で公共の場にいる方との関係では、「不特定又は多数の者の目に触れることを認識しながら自ら露出し又はとっているもの」として処罰対象から除かれることになりますから、「対象性的姿態」に該当しません。

 しかし、更衣室にカメラを設置するような形で盗撮行為に及んだ場合において、下着として着用していたキャミソールが写っていた場合、その姿が「対象性的姿態等」に該当するかどうかは微妙です。特に、更衣室等の内、銭湯等の裸体になる必要がない施設に設置されている場合は、性的部位が露わになるまで脱衣しないことが多く、キャミソール姿までしか撮影されていないことが想定されます。このような場合に、カメラ等の設置を認めたうえで、盗撮の罪の成否を争うべきかどうかについては、弁護人とよく相談する必要があるでしょう。

3.撮影態様

撮影対象について説明しました。では、そのような対象を、どのように撮影した場合に、盗撮の罪が成立することになるのでしょうか。

上述したとおり、盗撮の罪は、「対象性的姿態」を撮影した場合にのみ成立します。では、撮影対象が「対象性的姿態」だった場合には、どのように撮影しても盗撮の罪が成立することになるのでしょうか。

この点、性的姿態撮影等処罰法は、「正当な理由がないのに、ひそかに」撮影する行為のみを対象としています。いわゆる盗撮行為を処罰する法律ですから、「ひそかに」撮影する行為が処罰対象となっており、被写体の承諾を得たうえでの撮影行為は処罰対象となっていません(冒頭でお伝えしたとおり、別の類型の犯罪が成立する可能性はあります)。

そして、基本的に「ひそかに」他人を撮影することについて、「正当な理由」が認められることはほとんどないでしょう。もっとも、上述したとおり、「対象性的姿態」の中には男児の胸部等も含まれることになります。

家族写真等を撮影する際には、被写体に確認することなく撮影することも多いでしょう。成長の記録として、自身の子供等を撮影する行為は、「正当な理由」があるものとして、盗撮の罪の成立が否定されることになるでしょう。

4.盗撮と弁護活動

盗撮事件においてはどのような弁護活動が求められるのでしょうか。

 盗撮行為に及んだことが明らかであり、盗撮したことを認めている場合には、示談や再犯防止に向けた更生環境の整備が求められるでしょう。

 示談については、「盗撮事件における示談交渉」で解説しておりますのでご確認ください。

 また、再犯防止環境の整備については、盗撮に及んでしまった動機を掘り下げて検討する必要があります。特に、単なる性欲の問題として処理することはできません。盗撮によって性欲が発散される訳ではありませんし、他の歪んだ欲求が背景にあることがほとんどだからです。仮に、盗撮行為に依存しているということが明らかになれば、専門医によるカウンセリングなどを受診することも一つの方策となるでしょう。

 一方で、盗撮の事実を争う場合には、被疑者が盗撮犯であることの証拠となっている、被害者や目撃者の供述の信用性を争う必要があるでしょう。さらに、仮に撮影機器に盗撮が疑われるような動画や画像が残されている場合には、意図的に撮影行為に及んだわけではないことについて、具体的に主張する必要があります。

 さらに、上述したように、盗撮の罪を成立させるための構成要件の中には、その限界が曖昧なものも含まれています。法的に犯罪が成立しない可能性について、十分に検討する必要があるでしょう。

5.まとめ

性的姿態等撮影罪の内容についてご理解いただけましたでしょうか。

 以上のとおり、性的姿態等撮影罪は盗撮行為を処罰するために制定された法律ですし、典型的な盗撮行為について、同罪が成立することは明らかです。

他方で、盗撮として処罰される範囲については、条文を読むだけではハッキリとせず、法解釈が必要とされますし、その解釈論が確立している訳ではありません。

示談交渉のためや、再犯防止環境の整備についてのご相談だけでなく、本当に自身の行為が盗撮の罪として処罰されるべき行為なのかについて懸念をお持ちの方は、経験のある弁護士のアドバイスを適切に受けたうえで、どのような対応をすべきかを判断する必要があるでしょう。

盗撮事件でお悩みなら!盗撮事件に強い弁護士に今すぐお電話ください