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コラム

冤罪に巻き込まれることも。身近な犯罪である痴漢を徹底解説!

 「痴漢」。数ある犯罪行為の中でも、耳にすることが非常に多いものかと思います。実際に、最も多くご相談いただく内容の一つでもあります。
 数年前に、痴漢の冤罪事件をテーマにした「それでもボクはやってない」という映画が上映され、冤罪という側面でも非常に話題になりましたし、痴漢の被害に遭われた方も非常に多く、冤罪の数以上に泣き寝入りされた被害者の方の数も極めて多いものと思われます。
 今回のコラムでは、身近な犯罪行為である痴漢行為について解説させていただきます。

痴漢とはどんな犯罪なのか

身近な人が巻き込まれ得る犯罪

 痴漢行為は、通勤ラッシュの際の公共交通機関内で行われることが多いため、痴漢の認知件数が多い路線では、防犯カメラを設置する等の対策もとられていますし、加害者側と被害者側双方に対する啓発ポスター等も、目にされる機会が多いと思います。しかしながら、未だに数多くの痴漢事件が発生しています。
 それだけ数が多いのは、「痴漢」という犯罪が、刑事罰を科されることを覚悟した上で、強固な意思に基づいて行われるようなものではなく、混雑した電車の中で女性と密着したことなどを契機として衝動的に犯行に及んでしまう場合や、バレることはないだろうと軽く考えて犯行に及んでしまう場合等が非常に多いからだと考えられます。つまり、罪を犯すことについての十分な覚悟を持ち合わせていない、犯罪とは無縁だった方が犯してしまいがちな犯罪類型といえます。
 身近な犯罪類型である一方で、混雑に紛れて行う犯罪類型ですから、確実な証拠といえるものはほとんど存在しません。人違いで犯人扱いされた場合、無実を主張するのが極めて困難であり、高いレベルの弁護活動が求められるのです。

都道府県迷惑行為防止条例

 「痴漢」と聞いた時に思い浮かべるのは、通勤時の電車の中等で、混雑に乗じて、被害者の方の性的な部位を触れるというような行為ではないでしょうか。実際にご相談いただく内容の多くも、そのような内容です。しかし、「痴漢罪」という犯罪が法律で定められている訳ではありません。
 「痴漢」行為は、盗撮行為と同様に、各都道府県が定める迷惑行為防止条例(東京都や千葉県においては、「公衆に著しく迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例」という名称で定められています。)で定められています。
 例えば、東京都においては、「何人も、正当な理由なく、人を著しく羞恥させ、又は人に不安を覚えさせるような行為であって、次に掲げるものをしてはならない。」とした上で(第5条1項)、「公共の場所又は公共の乗物において、衣服その他の身に着ける物の上から又は直接に人の身体に触れること。」(同条1号)と定めており、他の都道府県においても、同じような規定が設けられています。
 したがって、電車内において、他人の身体に触れるような行為は、その行為が、他人を著しく羞恥させるか、不安を覚えさせるような場合に、迷惑行為防止条例に違反することになるのです。
 通常の場合、手や肩等に触れただけでは、人を羞恥させるようなことにはなりませんから、臀部や胸等の性的な部位に触れた場合に、「痴漢」と扱われることになります。しかし、性的な部位以外への接触であっても、長時間に渡って触れ続ける等した場合には、痴漢となる可能性は大いにありえます。
 また、加害者側の陰部付近等を被害者の方に押し付けるような行為の場合には、被害者の方の身体のどの部分と接触していたとしても、痴漢にあたることになるでしょう。
 このような条例違反の罪に対する刑罰として、東京都では、6月以下の懲役又は50万円以下の罰金に処すると定めており(8条1項1号)、常習性が認められた場合には、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する旨が定められています(同条8項)。

強制わいせつ罪

 迷惑行為防止条例に、「直接に人の身体に触れ(た)」場合についても定められていることについて、疑問を持った方もいるかもしれません。インターネット上でも痴漢については、多くの解説記事が掲載されており、その中では、直接に人の身体に触れた場合には、強制わいせつの罪が成立すると解説されているものが多いかと思います。実際にそれは間違いではありません。
 刑法第176条は、強制わいせつの罪について、「13歳以上の者に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、6月以上10年以下の懲役に処する。13歳未満の者に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする」として、条例違反の罪よりも著しく重い刑罰を科しています。
 そして、一般的に、下着の上から触れた場合には迷惑行為防止条例違反にとどまり、下着の中に手を差し入れた場合には、強制わいせつ罪が成立すると考えられています。
 この点について、電車内の混雑に乗じて直接臀部等を触れる場合には、「暴行又は脅迫を用いて」おらず、強制わいせつの罪は成立しないのではないかと考える方もいらっしゃるかもしれません。
 しかしながら、判例上は、痴漢行為のように、被害者の不意をついてわいせつ行為に及ぶようなケースでは、「わいせつ行為」自体が「暴行」にあたるとして、その他に「暴行又は脅迫」と評価できるような行為がなくても、強制わいせつの罪の成立を認めています。

条例違反と強制わいせつ罪の区別

 先ほど、下着の上から臀部を触れるような行為については、迷惑行為防止条例違反にとどまるとお話ししました。しかしながら、下着の上からであっても、性的な部位に触れているのは明らかですから、「わいせつ行為」にあたるのではないかと思われる方も多いかと思いますし、そのように考えるのが常識的であるように個人的にも感じます。
 にもかかわらず、衣類の上から触れるような行為態様※1の場合に、強制わいせつの罪を成立させていない理由は、裁判所が刑法第176条の定める「わいせつ」という概念を厳格に解釈しているからです。古い判例ですが、最高裁昭和26年5月10日判決(刑集5巻6号1026頁)は、「徒らに性欲を興奮又は刺激せしめ、かつ普通人の正常な性的羞恥心を害し、善良な性的道義観念に反するもの」を「わいせつ」とすると解しています。
 この判文だけでは、「わいせつ」を小難しく言い換えただけで、どのような行為が「わいせつ行為」にあたるのかハッキリしません。
 そこで、具体的な行為態様※1を見てみますと、陰部や乳房については、着衣の上からであっても「わいせつ行為」にあたると理解されているようですが※2、臀部については、「わいせつ行為」にあたらないとする裁判例もあります※3
 一方で、着衣の上から臀部に触れる行為を「わいせつ行為」と認めた裁判例も多く存在します。その中で、東京高等裁判所平成13年9月18日判決(平成13年(う)第1285号)は、密室状態となった部屋の中で女性の臀部を下着の上から触れた行為について、「被告人の行為は、電車の中で着衣の上から臀部や太ももを触るという行為と同視することはできず…強制わいせつ罪にいう『わいせつ行為』に該当する…」と判示しています。この判決は、部屋の中で着衣の上から臀部を触れる行為を「わいせつ行為」であると認めるにあたって、電車内で着衣の上から臀部を触る行為は、「わいせつ行為」ではないことを前提にしているようです。
 このような裁判所の判断には批判的な考えもあり得るかとは思いますが、このような裁判例が存在するため、着衣の上から触れるような行為は、臀部だけでなく、乳房等を触れる場合であっても、「わいせつ行為」にあたらないものとして、迷惑行為防止条例違反の罪として扱われているのです。
 しかしながら、「わいせつ」概念は、時代の変遷によって変わり得ます。これまで、「わいせつ」行為に該当しない行為だったとしても、近い将来、強制わいせつ罪として立件される可能性は十分にあるのです。

痴漢事案における刑事手続

犯行直後に捜査が行われること

 「痴漢」の弁護活動が難しいことについては冒頭に触れましたが、「痴漢」の捜査も非常に困難です。混雑に乗じて行われる犯罪であることから、犯人候補が複数名存在しており、犯人を特定することが困難だからです。
 警察官が現場に臨場する頃には、既に被害者や目撃者によって犯人が特定されていることが多いため、捜査機関としては、その被害者や目撃者の供述を信用できるかどうかによって、被疑者を痴漢の犯人として証明できるかがかかっています。痴漢事件においては、犯行態様※1、被疑者及び被害者の立ち位置や体の向き、他の乗客の立ち位置等の情報が極めて重要になりますが、そのような些細な情報について、明確な記憶を長時間維持することは非常に困難です。したがって、被害者や目撃者の記憶が薄れる前に、事情聴取を行うことになります。
 また、被疑者の手指に対する微物検査等も行われますが、このような検査も、事件発生直後に行われなければ意味がありません。
 したがって、多くの場合、直ちに捜査が行われなければ、痴漢の被疑者に対して有効な証拠を収集することが困難だと言えます。
 逆にいうと、直ちに捜査が開始されることから、痴漢事件の被疑者は、被害者や目撃者に犯人として扱われてから、警察官による取調べを受ける前までの間に、弁護人等からのアドバイスを受ける機会がないことが多いのです。

逮捕される可能性

 「痴漢」事件については、被疑者として扱われた場合であっても、逮捕されることなく、在宅捜査の形で捜査が進められることが多いです。
 数年前までは、「痴漢」事件であっても、逮捕されることが多かったのですが、最高裁判所平成26年11月17日決定(平成26年(し)第578号)が、「被疑者が被害少女に接触する可能性が高いことを示すような具体的な事情がうかがわれないこと」等を理由に、被疑者の勾留を認めた原決定を取り消したことで、現在においては、痴漢事件の被疑者が逮捕されることは少なくなりました。
 しかしながら、現時点においても、「痴漢」を理由に、逮捕・勾留されるケースは認められます。その典型例が、一人の被害者に対して常習的に何度も痴漢行為に及んでいた場合です。このようなケースにおいては、被害者に対するストーカー的な要素も認められますので、犯罪としても悪質であることに加え、被害者の行動パターンを一定程度認識していることが窺われ、被害者に対して接触を図る危険性が小さいとは言えないため、逮捕・勾留が認められることになります。

痴漢事犯の弁護活動

冤罪の主張

 冒頭でも触れたとおり、痴漢は他の犯罪と比較しても、冤罪が生み出される危険性が極めて高いものといえます。また、混雑した電車内で発生することの多い犯罪ですから、犯人も犯人と間違われる方も、通勤中の方が多く、社会的な立場を有している方が多いのも「痴漢」事件の特徴です。
 そのような方々にとって、警察に数日間身柄を拘束されることは、それだけで退職のリスクを背負うことになりますから、早期の釈放を望み、虚偽の自白をしてしまうケースも珍しくありません。
 先ほどお話したとおり、「痴漢」事件については、事件発生直後の供述等の証拠が極めて重要になりますから、事件発生直後の取調べにおいて自白してしまった場合、その内容が虚偽のものであったとしても、事後的にその内容を覆すのは非常に困難になります。
 そこで、まずは身に覚えがないような場合においては、痴漢行為に及んでいないことをしっかりと捜査機関の伝えることが重要になります。痴漢行為に及んでいる場合には、痴漢行為に及ぼうとしたタイミングや、痴漢行為の態様※1等について詳細に話すことができますが、何もしていない場合には、
  「何もしていません」
ということ以上に話すことはありません。
 被害者とされている方が、自分の近くにいたことについても、痴漢の犯人であると声をあげられるまで認識していないことも多く、むしろ被害者の方の存在を意識していた方が不自然です。
 ですから、犯人が自分ではないことを合理的に説明しようとするのではなく、自分は何もしていないことをしっかりと捜査機関に伝えることが肝要となります。

示談

 「痴漢」事件については、被害者の方との示談交渉も、極めて重要な弁護活動となります。もし、被疑者に前科前歴等が認められなければ、被害者の方と示談が成立した場合には、多くのケースにおいて不起訴処分を得ることができているからです。
 「痴漢」事件は、ほとんどの場合、見ず知らずの男女間で行われる犯罪類型です。したがって、示談交渉を行う場合、被害者は被疑者の個人情報を一切有していません。他方で、連続して同じ被害者に対して犯行に及んでいた場合等においては、被疑者や被害者が乗り降りする駅について、お互いにある程度の情報を有している場合もあります。
 このような場合、迂回して通勤するルートがあるのであれば、示談を成立させるために、被害者と遭遇する可能性を低下させるため、通勤ルートを変更すること等を示談条件とすることも考えられます。
 なお、示談交渉を行うべきなのは、痴漢に及んでしまったケースだけではありません。痴漢の事実を否認しており、冤罪を主張しているようなケースについても、示談交渉を行うことは可能です。
 何もしていないのに示談金を支払うというのは、論理的にはおかしいのですが、示談が成立した場合には、被疑者が痴漢の事実を認めない場合であっても、ほとんどのケースにおいて不起訴処分が得られています。冤罪の主張を検察官が認めてくれるかについては、検察官の手元に集められた証拠の精度次第ですし、その証拠の内容を事前に弁護人は確認することができません。また、起訴されてしまえば、有罪率が異常に高い日本の刑事手続において、無罪判決を宣告してもらえる可能性が高いとは到底言えません。
 そこで、不合理ではあっても、否認しつつ、示談交渉を行うというのは何ら珍しいことではないのです。

まとめ

 今回は、「痴漢」事件について解説させていただきました。
 非常に身近な犯罪であるにもかかわらず、捜査機関による捜査のハードルは極めて高く、それに伴い、弁護活動にも高いレベルが求められます。
 混雑に乗じた犯罪において、犯人性を争う際には、非常に緻密な事実認定についての争いとなりますし、ご説明差し上げた通り、法律の解釈にも問題があります。非常に難解な事件といえるのです。
 特に、冤罪事件の可能性もあり、捜査機関による取調べも迅速に行われますから、早期の段階で弁護人を選任する必要性の高い事件といえます。「痴漢」についての御相談は、直ちにお電話ください。

※1:犯行の方法の悪質さ。痴漢の例では、触れた時間の長短や、揉みしだく行為の有無。
※2:陰部について例えば名古屋高等裁判所金沢支部昭和36年5月2日判決(昭和35年(う)第304号、乳房について例えば新潟地方裁判所昭和63年8月26日判決(昭和63年(わ)第225号
※3:名古屋地方裁判所昭和48年9月28日判決(昭和48年(わ)第1380号

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