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コラム

強盗で逮捕されたらどうなる?逮捕後の流れと刑の重さ、今後の弁護方針

簡単に言うと…
  • 1.強盗で逮捕されると多くは勾留され、身柄拘束は最大23日間に及び、起訴される可能性も高い。
  • 2.強盗罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑で、執行猶予を得るには酌量減軽などの事情が必要になる。
  • 3.闇バイトに関わってしまった場合や家族が逮捕された場合も、早い段階で弁護士に相談することが重要である。
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 強盗の疑いで逮捕された場合、多くはそのまま勾留され、身柄拘束は最大で23日間に及びます。また、強盗は起訴される可能性が高い犯罪で、強盗罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑と重く、執行猶予を得るためには刑の減軽が必要になります。だからこそ、逮捕された直後から弁護士が接見し、取調べへの対応や今後の方針を一緒に考えることが大切になります。

 御家族が強盗の疑いで逮捕されたと警察から連絡を受けた方は、何が起きているのか分からず、大きな不安を抱えていらっしゃることと思います。また、SNSで募集された高額なアルバイトに応募して、強盗に関わってしまったという相談も、残念ながら珍しくなくなりました。

 強盗罪がどのような場合に成立するのかについては、強盗事件についてのページで解説していますので、今回は、強盗で逮捕された後にどのような手続が進み、どのような処分が予想され、今何をすべきなのかに絞って、解説していきたいと思います。

1.強盗で逮捕された場合の見通し

 最初に、強盗で逮捕された場合の見通しを確認しておきましょう。

(1)身柄拘束は最大23日間に及ぶことが多い

 逮捕された後、検察官が勾留を請求し、裁判官が認めると、原則10日間、延長されると最長20日間、身柄が拘束されます。逮捕から起訴・不起訴の判断までは、最長で23日間です。

 冒頭でお伝えさせていただきましたとおり、強盗罪は刑の下限として5年以上の拘禁刑が定められています。したがって、酌量減軽等の理由で減刑がされない限り、執行猶予が付されることはなく、直ちに刑務所での拘禁が命じられてしまう重い犯罪となります。その結果として、重い刑罰を免れるために、証拠隠滅や逃亡を図る動機があるとして、逮捕・勾留が認められやすい犯罪類型だといえます。
 また、強盗といっても様々な犯行態様が考えられますが、共犯者と一緒に計画的に行われるケースが多いものといえます。無計画で強盗に及んでも財物を奪取することは困難ですし、捜査機関によって逮捕されることがないように、自身が犯人であることの露見を防ぐような策がとられていることも多いからです。そうすると、共犯者への働きかけが懸念されやすい犯罪といえることになります。また、被害者宅に押し入って犯行に及んでいる場合などには、被害者の方に接触を図ることも可能になりますから、被害者の方への接触による罪証隠滅も懸念されることになります。
 したがって、逮捕された後に勾留されずに釈放されることは多くありません。

(2)起訴される可能性が高い

 強盗は、被害者に恐怖を与え、財産を奪う重大な犯罪です。そのため、被害が比較的小さい事案であっても起訴されることが多く、刑事裁判になる可能性が高いといえます。

 特に、計画的に共犯者と共に強盗に及んだ場合には、被害者の方と示談が成立しているとしても、犯情が悪質であることから、示談の成立を理由に起訴猶予処分(不起訴処分)とされるケースは限られてきます。逆に、泥酔した上でタクシーに乗車し、下車時に運転手とトラブルになった結果として、運賃を免れるために暴行に及んだケースなどは、強盗や強盗致傷罪が成立することになりますが、計画性が認められず、共犯者も存在しませんから、悪質性が比較的小さいと判断され、示談によって起訴猶予処分が下されることもあります。
 令和6年度の警察白書によると、約400件が強盗として起訴されている一方で、約1100件が不起訴処分となっていますが、その内、起訴猶予処分(犯罪の証拠は十分あるものの、反省の情や示談の成立等を理由に不起訴とするもの)はわずかに78件しかありません。

 また、強盗罪は法定刑に罰金刑が定められていませんから、略式命令によって裁判をすることなく罰金の支払いで事件を終わらせるということもできません。

 起訴の可能性が高い犯罪類型だといえるでしょう。

(3)時間が経ってから逮捕されることもある

 強盗は、犯罪白書を見ても、従来から逮捕される割合が最も高い部類の犯罪とされています。また、防犯カメラの映像や通信の記録、共犯者の供述などから、事件から時間が経ってから逮捕されることも少なくありません。

 強盗直後に犯行が捜査機関に露見してしまった場合には、現行犯逮捕や緊急逮捕によって、直ちに手続が進捗することもあり得ます。しかしながら、犯行現場から逃げてしまった場合には、被害者の方から事情聴取を行ったうえで、関係者の取調べなどを行っていきますので、実際に犯行に及んだ方に対して捜査機関が接触する時期が遅くなってしまうこともあり得ます。

 重い犯罪ですから、捜査機関としても犯人を逮捕するために、相当の努力をすることが考えられますので、犯行から一定の期間が経過したからといって、捜査に着手していないとはいえないのです。

 なお、公訴時効は、強盗罪で10年、強盗致傷罪で15年とされており、強盗致死罪には時効がありません。

2.強盗罪の刑の重さ

 次に、どの程度の刑罰が予想されるのかを確認しておきましょう。2025年6月1日に施行された改正刑法により、以前の「懲役」と「禁錮」は「拘禁刑」に一本化されていますので、現在の法定刑はいずれも拘禁刑で定められています。

罪名条文法定刑
強盗罪刑法236条5年以上の有期拘禁刑
事後強盗罪刑法238条5年以上の有期拘禁刑
昏酔強盗罪刑法239条5年以上の有期拘禁刑
強盗予備罪刑法237条2年以下の拘禁刑
強盗致傷罪刑法240条前段無期又は6年以上の拘禁刑
強盗致死罪・強盗殺人罪刑法240条後段死刑又は無期拘禁刑
強盗・不同意性交等罪刑法241条1項無期又は7年以上の拘禁刑
刑法

(強盗)
第236条
1項 暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、5年以上の有期拘禁刑に処する。
2項 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。
(強盗致死傷)
第240条
強盗が、人を負傷させたときは無期又は6年以上の拘禁刑に処し、死亡させたときは死刑又は無期拘禁刑に処する。

 有期拘禁刑の上限は20年ですので、強盗罪は、5年から20年の範囲で刑が決められることになります。また、強盗の際に被害者が怪我をすると強盗致傷罪となり、無期拘禁刑も選択肢に含まれることになります。強盗致傷の罪は、裁判員裁判対象事件にもなりますので、裁判自体も相当程度長期化することが想定されます。

 更に、強盗が未遂に終わった場合も処罰されますが(刑法243条)、刑が減軽されることがあります。他方で、実際に財物を奪取できた場合と比較すると、財物の奪取に失敗している事件の方が最終的に宣告される刑罰は軽くなることが想定されるものの、被害者の方に怪我をさせてしまった場合、強盗致傷未遂という罪は存在せず、強盗致傷罪が成立することとなるため、法律上の減刑は認められないことになります。

 なお、強盗罪が成立するのは、相手の反抗を抑えつけるほどの暴行や脅迫を用いた場合です。その程度に至らない場合には、恐喝罪などにとどまることもあります。そこで、どの程度の暴行や脅迫が用いられたのかという点が、強盗罪の成否が問題となる裁判の中では争点となることが多いです。

 万引きをして店を出たところで保安員に呼び止められ、逃げようとして突き飛ばしたような場合には、事後強盗罪として、強盗罪と同じ法定刑が適用されることがあります。こうした成立要件の詳しい説明は、強盗罪の成立要件と弁護方針をご覧ください。

3.強盗で逮捕されてから判決までの流れ

 強盗で逮捕された後の一般的な流れは、次のとおりです。

段階期間の目安主な手続
逮捕48時間以内警察での取調べ、検察官への送致
送致24時間以内検察官による取調べ、勾留請求
勾留原則10日間取調べ、捜査
勾留延長最長10日間引き続き取調べ、捜査
起訴・不起訴の判断逮捕から最長23日間起訴されると被告人として勾留が続く
刑事裁判起訴から数か月以上公判、判決

(1)逮捕から送致まで(72時間)

 逮捕されると、警察は48時間以内に事件を検察官に送り、検察官は24時間以内に勾留を請求するかどうかを決めます。この72時間の間は、御家族であっても本人と面会できないことが多く、自由に面会できるのは弁護士だけです。最初の取調べで作られる供述調書は、その後の手続に大きな影響を与えますので、取調べへの対応については、早い段階で弁護士の助言を受けることが大切です(取調べを受けるときの注意点)。

 基本的には黙秘権を行使すべき事案が多いといえるでしょう。もっとも、共犯者が捜査機関に対して虚偽の説明をしていることが明らかで、黙秘を続けることによって、自身の責任が実際以上に重く扱われてしまう可能性はあります。そのような状況下であっても、共犯者に対抗して捜査機関に対して積極的に供述を行うべきだといえる訳ではありません。多くの場合は、それでも黙秘を続けることが、被疑者・被告人の利益に繋がるものといえます。

 取調べの対応をどうすべきかについて、専門家によるアドバイスの必要性が高度に認められる犯罪類型といえるでしょう。

(2)勾留と接見禁止

 勾留が認められると、原則10日間、延長されると最長20日間、身柄が拘束されます。強盗は、複数人で行われる事件が多く、共犯者との口裏合わせを防ぐために、弁護士以外の人との面会や手紙のやり取りを禁止する「接見禁止」が付けられることが少なくありません。接見禁止が付いていても、弁護士は本人と面会することができます。

 また、共犯者と友人関係にある場合など、御家族を介して共犯者と接触ができるケースも珍しくありません。捜査機関が他の共犯者に対してどのような取調べを行っているのか把握することは、取調べへの対応を検討するにあたって有意義なものといえます。他方で、接見禁止処分が付されている場合には、御家族が直接取調べの状況を確認することはできませんし、弁護士を介することなく、事件に対する情報を交換することで、罪証隠滅を疑われる可能性も高いものといえます。

 勾留に対する不服申立てなど、早期の釈放に向けた活動については、早く釈放して欲しいのページで解説していますし、接見禁止処分が付された場合の対応についても、早期に弁護士に相談することが求められるものといえるでしょう。

(3)起訴・不起訴の判断

 勾留の期間が終わるまでに、検察官は起訴するかどうかを判断します。強盗は重大な犯罪ですので、不起訴になりにくい犯罪です。もっとも、暴行や脅迫の程度が強盗罪に当たるほどのものではなかった場合などには、より軽い罪名で起訴されることもあります。

 また、上述したとおり、起訴猶予とされる可能性は非常に小さいものの、不起訴処分とされているケース自体は珍しくありません。起訴されているケースよりも不起訴にされているケースが多いのは、証拠が不十分であるケースが一定数認められることを意味します。
 特に、共犯者と共に強盗に及んだとの嫌疑を向けられている場合、実際に被害者の方に暴力をふるって財物を奪取した人間だけでなく、見張り行為に及んだだけの人間や、強盗のための準備を手伝った人間等、様々な位置付けが考えられます。そして、実際に強盗行為に及んでいない方との関係では、実際に強盗行為に及んでいる実行犯との関係性如何によって、強盗罪の共犯として刑事責任が問われるのかどうかが判断されます。

 そして、実行犯との間に「共謀」が認定されるような関係性が認められない場合には、被害額が大きい場合や、被害者の方が重い傷害を負ってしまっている場合のように、極めて悪質な事件だと判断される場合であっても、不起訴と判断されることがあります。

(4)起訴後の保釈と刑事裁判

 起訴されると、引き続き勾留されますが、保釈を請求することができます。もっとも、強盗罪は法定刑の下限が1年以上の拘禁刑に当たるため、一定の条件を満たせば認められる「権利保釈」の対象から外れており、裁判所の裁量による保釈を求めていくことになります。

 つまり、保釈の許可を得ることが不可能な訳ではありませんが、保釈の許可を得るためのハードルが、窃盗罪や詐欺罪等と比較すると極めて高く設定されているといえるのです。

 保釈が認められるかどうかは、事件の内容や、被害者・共犯者との関係、身元引受人の有無などによって判断されます。共犯者や被害者とされる方と接触をしないような環境を整備するなど、保釈の許可を得るには高度の弁護活動が求められることになるでしょう。

4.強盗致傷は裁判員裁判になる

 強盗の際に被害者が怪我をした場合、裁判の形そのものが変わることがあります。

(1)裁判員裁判の対象になる罪・ならない罪

 裁判員裁判の対象となるのは、死刑又は無期拘禁刑が定められている罪などです。そのため、強盗の罪の中でも、次のように対象が分かれます。

罪名裁判員裁判の対象か
強盗罪・事後強盗罪・昏酔強盗罪(怪我がない場合)対象外
強盗致傷罪対象
強盗致死罪・強盗殺人罪対象
強盗・不同意性交等罪対象

 被害者に怪我があるかどうかで罪名が強盗致傷罪に変わり、裁判員裁判の対象になることがあります。怪我の程度がごく軽い場合や、怪我を負ったタイミングが強盗の機会以外である可能性が認められる場合には、強盗致傷罪に当たる「傷害」といえるかどうかが争点になることもあります。

 また、そのような問題があることを検察官が懸念した場合には、強盗致傷罪ではなく単なる強盗罪として起訴することや、強盗罪と傷害罪として起訴することもあり得ます。そこで、起訴される前の段階から、強盗致傷罪として起訴されることを防ぐ弁護活動も求められることになるでしょう。

(2)公判前整理手続があり、判決までの期間が長くなりやすい

 裁判員裁判では、裁判が始まる前に、裁判所・検察官・弁護人が争点や証拠を整理する「公判前整理手続」が必ず行われます。そのため、起訴から判決までの期間が長くなりやすく、1年以上かかることも珍しくありません。

 特に、強盗罪の場合には、上述したように関係者が多数存在するケースが珍しくありません。そして、関係者間で異なる供述が為されている場合など、公判前整理手続において整理すべき項目が多いと、どうしても手続が長期化してしまいます。

 できる限り整理手続を迅速に進行させることで、保釈請求の許可を得られる時期も早まることが考えられます。必要な争点についてはしっかりと争いつつ、不要に時間をかけずに迅速に手続を進捗させることが求められることになります。

(3)裁判員裁判に向けて弁護側が準備すること

 裁判員裁判では、法律の専門家ではない裁判員に、分かりやすく事情を伝える必要があります。弁護側は、公判前整理手続の段階から、どの事実を争い、どの事情を量刑で主張するのかを組み立て、示談の状況や本人の反省、家族の支援体制などを示す準備を進めることになります。

 罪を争う場合、強盗罪の成立に求められる「暴行」や「脅迫」の程度がどのような強度なのかについて、適切に裁判員に理解させる必要があります。強盗致傷罪における傷害結果について、強盗の機会に生じたものかどうかについても、どのような場合が「強盗の機会」と評価できるのかについて、適切な説明が求められます。

 このような法解釈の問題以外にも、多数の関係者が関与することが多い以上、どのように被告人が関与することになったのかについても、検察官の主張と相違点があるケースがほとんどです。必要な証拠の開示を求めた上で、綿密な弁護計画をたてておくことが求められます。

 また、罪を争わない場合には、減刑を求める弁護活動を行うことになりますが、冒頭で説明差し上げたとおり、何らかの減刑事由がなければ、執行猶予がつきません。そこで、強盗罪について執行猶予付きの判決を目指す場合には、どのような理由で減刑を求めるのかについて、十分な準備が求められることになるでしょう。更生環境の整備や示談などに加え、強盗に至った動機等についても明らかにする必要があるでしょう。

5.実刑か執行猶予か|見通しを左右する事情

(1)執行猶予には刑の減軽が必要

 執行猶予を付けることができるのは、3年以下の拘禁刑を言い渡す場合に限られます(刑法25条)。強盗罪の法定刑の下限は5年ですので、そのままでは執行猶予を付けることができません。

 もっとも、被害者との示談や反省の態度など、犯罪の情状に酌むべき事情がある場合には、裁判所の判断で刑を減軽する「酌量減軽」をすることができ(刑法66条)、有期拘禁刑はその長期と短期の2分の1まで減軽されます(刑法68条)。強盗罪であれば下限が2年6月まで下がるため、執行猶予を付けることが可能になります。強盗致傷罪も、下限の6年が3年まで下がるため、執行猶予の余地が生まれます。

(2)見通しを分ける事情

 実刑になるか執行猶予が付くかは、次のような事情を総合的に考慮して判断されます。

・被害者に怪我があるか、その程度はどうか
・奪った金品の額と、弁償がされているか
・犯行の中でどのような役割を果たしたか(指示をしたのか、指示に従っただけか)
・計画的な犯行か、その場の思いつきか
・前科・前歴があるか
・被害者との示談が成立しているか

 これらの事情によって見通しは大きく変わりますので、「この場合は必ず執行猶予になる」とお伝えすることはできませんが、早い段階から有利な事情を積み上げていくことが重要です。

(3)強盗罪ではなく窃盗罪や恐喝罪にとどまる場合

 暴行や脅迫が、相手の反抗を抑えつけるほどの程度に至っていない場合には、強盗罪ではなく、恐喝罪や、窃盗罪と暴行罪などにとどまることがあります。罪名が変われば、法定刑も、執行猶予の見通しも大きく変わります。そこで、強盗罪の成立を否定できる事情の有無については、上述した減刑を求める理由の有無に先行して検討しておく必要があるでしょう。

 特に、犯人性を否認するようなケースとは異なり、犯罪行為に及んだことを前提に、強盗罪ではなく別の罪が成立するにとどまることを主張する場合、強盗罪の成立を否認しつつ、情状弁護を行うことが両立します。

 どのような主張が奏功するのかについて、弁護士と密に相談することが求められるものといえます。

6.闇バイトで強盗に関わってしまった・関わりそうなとき

 SNSなどで募集される、いわゆる「闇バイト」の危険性については、「闇バイト」には絶対に手を出すな!や闇バイトの危険性。悪質化の傾向についてで解説してきました。ここでは、既に関わってしまった方や、関わりそうになっている方が、今から取ることができる行動についてお伝えします。

(1)「指示されただけ」「知らなかった」でも責任は重い

 強盗の実行役だけでなく、見張り役や運転役として関わった場合でも、強盗罪の共同正犯として重く処罰される可能性があります。また、実行の際に被害者が怪我をすれば、強盗致傷罪として裁判員裁判の対象になります。「指示されただけ」という事情は、量刑の判断で考慮されることはあっても、罪が成立しなくなるわけではありません。

 また、特殊詐欺と異なり、他人に暴行を加えることや脅迫することを前提とする犯罪ですから、「犯罪だとは思わなかった」という主張が受け入れられないことが多いです。闇バイトとして関与することを決めた段階では、犯罪行為に参加させられると認識できなかったとしても、実際に強盗に参加してしまった以上は、犯罪行為に関与することを理解した上で、強盗に関与したものと認められることになるのです。

 本来であれば、強盗に関与させられることを認識できた時点で、そのような闇バイトには従事しないと判断することが求められることになりますから、単に指示に従ったに過ぎない場合であっても、執行猶予の付かない厳罰が科される可能性が高いのです。

(2)まだ犯行に関わっていない場合

 応募してしまったものの、まだ犯行に加わっていない場合には、直ちにやり取りをやめ、警察や弁護士に相談してください。警察庁も、応募してしまった方に対して、警察に相談するよう呼びかけています。

 強盗の現場に赴いていないとしても、何らかの準備作業を行わされている場合などにおいては、既に強盗罪の共犯者として評価され得る立場に置かれている可能性は否定できません。それでも、それ以上に強盗に関与するよりも前に、捜査機関に自首するなどの手続をとっておくことで、不起訴処分や執行猶予付きの判決を得られる可能性があります。

 他方で、実際に強盗の現場に赴いていないとしても、強盗罪の共犯者として評価され得る行為に及んでしまっている場合、自首をしたとしても、関係者と接触する可能性を理由に逮捕・勾留される可能性は否定できません。

 できる限り、逮捕・勾留等に至ることがないようにするため、自首等の具体的な行為に及ぶ前に、弁護士に御相談いただければと思います。

(3)脅されている・個人情報を握られている場合

 身分証の画像や住所などを送ってしまい、「やめたら家族に危害を加える」などと脅されている方もいらっしゃると思います。実際に、闇バイトとして強盗に関与することに至った方の多くは、計画から抜けようとしたものの、組織の上位者から脅迫を受けるなどして、組織から抜け出すことができなかった経緯があります。

 このような場合でも、身の安全を最優先にして、すぐに警察に相談してください。警察は、相談した方や家族を保護する取組みを行っています。とはいえ、上述したように、自身も被疑者として取り扱われる可能性があります。最終的には警察に保護を求めるために出頭するとしても、その前に弁護士に相談することをお勧めします。弁護士に相談するだけであれば、リスクやデメリットは存在しません。守秘義務は必ず守られますし、警察に対してどのように話をするべきなのか、どのような物を持参すればいいのかなどについて、具体的にアドバイスすることが可能です。

(4)既に犯行に関わってしまった場合(自首という選択肢)

 既に犯行に関わってしまった場合でも、自首を検討することも考えられます。捜査機関に犯罪や犯人が発覚する前に自首した場合には、刑が減軽されることがあります(刑法42条1項)。もっとも、自首をすれば必ず逮捕されないというわけではありませんし、刑が必ず軽くなるわけでもありません。自首の要件や手続については、自首をお考えの方へのページで解説していますので、弁護士と相談しながら進めることをお勧めします。

(5)10代で関わってしまった場合

 20歳未満の方が強盗に関わった場合は、少年事件として家庭裁判所に送られます。もっとも、18歳・19歳の方(特定少年)が強盗を犯した場合には、原則として検察官に送り返され(逆送)、成人と同じ刑事裁判を受けることがあります。この点は、17歳以下の方であっても同様です。

 一般的には、成人として起訴されるよりも、少年事件として家庭裁判所による審判を受けた方が、更生に向けた手続等についても含めて、少年に手厚い保護がなされることが多いです。そして、少年審判において、少年として扱うことを求めるにあたっては、少年事件について経験のある弁護士に相談することが求められます。

 闇バイトに関わってしまった方、御家族の様子が心配な方は、警察に行く前でも御相談ください。御相談の秘密は守られます。

7.家族が強盗で逮捕されたときにできること

(1)まず弁護士に接見を依頼する

 逮捕直後は、御家族が面会できないことが多い一方で、弁護士であればすぐに本人と面会することができます。本人の様子を確認し、取調べへの対応を助言するためにも、まずは弁護士に接見を依頼してください。

 なお、国選弁護人は、勾留が決まった後に選ばれるのが通常で、御家族が弁護士を選ぶことはできません。逮捕直後から動いてもらいたい場合や、弁護士を選びたい場合には、私選弁護人に依頼することになります。

(2)面会・差し入れのルール

 接見禁止が付いていなければ、勾留された後は、御家族も警察署の留置施設で本人と面会することができます。ただし、平日の日中に限られ、時間も15分から20分程度で、警察官が立ち会います。衣類や現金、本などの差し入れもできますが、差し入れできる物には決まりがあります。本人がどこの警察署にいるのかが分からない場合には、逮捕された場合の留置先を知りたいのページをご覧ください。

(3)被害弁償の準備と本人の支え

 起訴されるかどうかや、判決の重さを考えるうえで、被害弁償は重要な事情です。弁償のための資金を準備できるかどうかを、早めに検討しておいてください。また、本人が事件と向き合い、反省を深めるためにも、御家族の支えは大きな意味を持ちます。

(4)被害者や共犯者に直接連絡しない

 被害者や共犯者に御家族が直接連絡を取ると、証拠隠滅や口裏合わせを疑われ、身柄拘束が長引く原因になりかねません。被害者への謝罪や示談は、弁護士を通じて行ってください。

(5)勤務先・学校への対応

 勤務先や学校への連絡をどうするかは、本人の今後の生活に大きく関わります。重大な事件では報道されることもありますので、伝え方については、学校や職場に知られたくないのページも参考にしながら、弁護士と相談して決めるとよいでしょう。

 御家族が逮捕の連絡を受けた当日から3日以内にしておきたいことは、次のとおりです。

・弁護士に連絡し、接見を依頼する
・本人が留置されている警察署を確認する
・被害者や共犯者には連絡しない
・被害弁償のための資金を準備できるか検討する
・勤務先や学校への連絡について、弁護士と相談する

8.強盗事件の示談

(1)弁償だけでなく、被害者の許しを得ることが重要

 強盗は、財産を奪うだけでなく、暴行や脅迫によって被害者に強い恐怖を与える犯罪です。そのため、奪った金品を弁償するだけでなく、被害者の方に謝罪し、処罰を望まないという気持ちを示していただけるかどうかが、処分の判断において重要になります。

 窃盗罪や横領罪等の財産犯については、被害者の方から許しを得られるかどうかよりも、被害品や金銭を返すことによって、経済的な損害が回復されているかどうかが評価のポイントになります。しかし、強盗罪については、単に財産を失ったという被害に尽きませんから、被害者の方に対して、財産的な損害だけでなく、精神的な苦痛を慰謝する措置が求められることになるのです。

(2)強盗事件で示談が成立しにくい理由

 被害者の方は、事件によって強い恐怖を感じていることが多く、加害者側と関わること自体を拒まれることも少なくありません。また、共犯者がいる事件では、誰がどれだけ弁償するのかという問題も生じます。示談が成立したからといって必ず不起訴になるわけではありませんが、起訴された後に成立した示談も、判決の重さに大きく影響します。

 また、闇バイトのように共犯者と共に強盗事件に関与してしまった場合、被害金等については組織の上位者に交付されており、被疑者・被告人の手元に残っていないケースがほとんどです。そうすると、被害者の方が被った損害を、被疑者・被告人の経済力では全て償えないことが多いものといえます。他の共犯者の弁護人と協力することによって、一定程度の金銭を準備できることはありますし、被害者の方に、指示に従っただけの末端の位置付けであることをご理解いただき、一部的な賠償で許していただくことなどが考えられるでしょう。

(3)被害者が示談に応じない場合

 被害者の方が示談に応じない場合でも、謝罪の手紙をお渡ししたり、弁償金を受け取っていただけない場合に法務局に供託したりすることで、誠意を示す方法があります。示談の進め方については、相手の方と示談をしたいのページをご覧ください。

9.強盗事件の弁護方針

(1)逮捕直後からの接見と取調べへの助言

 強盗事件では、逮捕直後の取調べで作られる供述調書が、罪名や量刑の判断に大きく影響します。当事務所では、逮捕直後から接見し、どのように取調べに臨むべきかを具体的に助言します。

(2)強盗罪の成立そのものを争う

 暴行や脅迫が強盗罪に当たる程度のものだったのか、共犯者との間でどこまでの合意があったのかなど、強盗罪の成立そのものを争う余地がある事件もあります。事実を認める場合と認めない場合とでは、弁護方針が大きく異なりますので、強盗罪の成立要件と弁護方針もあわせてご確認ください。

(3)示談と早期の身柄解放に向けた活動

 被害者の方への謝罪と示談の申入れを行うとともに、勾留に対する不服申立てや保釈の請求など、早期の身柄解放に向けた活動を行います。

(4)裁判員裁判を見据えた準備

 強盗致傷事件など、裁判員裁判の対象となる事件では、公判前整理手続の段階から、裁判員に伝わる主張の組立てを準備していきます。

 当事務所は、刑事事件を専門に扱っています。弁護士費用については、弁護士費用のページをご覧ください。

10.まとめ

 今回は、強盗で逮捕された後の流れと、予想される処分、今からできることについて解説させていただきました。

 強盗で逮捕されると、身柄拘束は長くなりやすく、刑も重いものとなりますが、被害者への弁償や示談、本人の役割などの事情によって、見通しは大きく変わります。そして、逮捕直後から弁護士が動くことが、何より大切です。

 御家族が強盗の疑いで逮捕された方は、お早めに御相談いただければと思います。

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