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コラム

公開捜査とは?

簡単に言うと…
  • 公開捜査によって犯人が特定された事件について報道がなされた。
  • 公開捜査には指名手配が必要となるが、指名手配がされていない事件についても行われるケースは少なくない。
  • 重罪を対象としているため、被疑者が特定された場合には逮捕・勾留される可能性が高く、弁護人によるサポートの必要性は高い。
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 先日、大学構内で同大学の教員が襲われた事件の被疑者が亡くなっていたことが報道されていました。そして、同人を被疑者として特定するにあたって公開捜査が行われていたことも明らかとなっています。
 しかし、公開捜査とだけ言われても、どのような捜査なのか正確に理解している方は少ないように思います。小さな事件であっても、自分が映っている防犯カメラの影像や画像がHPに掲載されるのであれば、いつの間にか自分が全国的に何らかの犯罪の犯人として公表されてしまうのではないかと不安になってしまうように思います。
 全国的に情報を集めることができますので、公開捜査によって犯人を特定するための情報を得ることを期待することができる一方で、犯人からすると、自身が関与した件が捜査されていることを把握することができますので、逃亡や証拠隠滅を図ろうとしてしまうかもしれません。
 今回は、公開捜査がどのような捜査で、どのように行われるものなのかについて解説させていただこうと思います。

1.公開捜査とは

 
 公開捜査という手法について刑事訴訟法は何も定めていません。ですから、公開捜査という捜査手法は、法律によって厳格に定められているものではありません。しかしながら、容疑者として顔や姿が全国的に公表されることとなりますから、何らの規制もなく自由に行えるものでもありません。
 公開捜査については、警察庁の通達(警察庁丁刑企発第12号、警察庁丁少発第161号 以下、この通達のことを単に「通達」といいます。)によってその詳細が定められていますので、その内容をまずは確認してみましょう。

通達

1 公開捜査の意義
この通達において被疑者の公開捜査とは、被疑者の発見、検挙及び犯罪の再発防止を目的として、被疑者の氏名、画像、映像等の捜査資料を不特定多数の者に公表することにより、積極的に国民の協力を求める捜査手法をいう。
したがって…被疑者が立ち回ることが予測される箇所に限定して…捜査への協力を依頼するような場合は、公開捜査に含まない。

 以上のように、不特定多数の人間に対して被疑者の情報を求めるような方法のみが公開捜査とされ、一部区域でのみ情報を募集するような捜査は公開捜査には含まれません。
 一度、警視庁のHPを確認していただけますと、公開捜査一覧というページがあります。このページを確認していただけますと、ATMのカメラで撮影された被疑者の顔写真や動画などが公開されていますので、公開捜査が行われた場合に、どのような情報が公表されるのかについて理解できると思います。

2.公開捜査の要件

 
 冒頭でお話ししたとおり、公開捜査が行われることによって、全国的に被疑者として自身の姿が公表されることとなり、その不利益は甚大なものがありますし、犯人にも自身が捜査されていることを知らせてしまうことになります。
 では、どのような場合に公開捜査に踏み切ることになるのでしょうか。

通達

2 公開捜査の要件
公開捜査は次に掲げる3つの要件全てに該当する場合において、犯罪反復のおそれ、捜査上の必要性、被疑者や関係者の名誉、信用、プライバシー等への影響等の諸要素を総合的に勘案して行うものとする。
(1) 次のいずれかに該当する事件であること。
ア 凶悪犯(殺人、強盗、放火及び強制性交等)に係る事件
イ 財産犯のうち、犯行の手段、方法が悪質で被害額も相当多額にわたり、又はわたることが見込まれる事件
ウ 反社会性の強い集団の構成員と認められる者等により敢行された事件
エ その他社会的反響が大きいと認められる事件
(2) 公開する人物が被疑者であると認められる十分な根拠があること。公開捜査の対象事件は、前記(1)の事件について、指名手配が行われているものとする。ただし…(指名手配が行われていない場合にも例外的に公開捜査を行える場合についても定められていますが省略します)
(3) 20歳以上の被疑者であること…ただし…(この点も例外が定められていますが省略します。)

 捜査の必要性と被疑者や関係者のプライバシーを比較した際に、プライバシーが侵害されることを踏まえても、被疑者を逮捕するために必要な場合に公開捜査に踏み切るという考え方は理解できると思います。そのために、公開対象となる者が罪を行ったのでないかという嫌疑が高いことを要件とした上で、その犯罪が重罪であることも要件とされているのです。
 そして、被疑者が20歳以上であるという要件も少年法との関係で理解することができます。
 最も分かりにくいのは、公開捜査を行うために「指名手配」が要件とされている点です。この点を理解するためには、「指名手配」が何なのかを考える必要があります。

3.指名手配とは

 
 では、「指名手配」殺人についての嘱託や承諾についてはどのように理解するべきでしょうか。

犯罪捜査規範

(指名手配)
第31条
1項 逮捕状の発せられている被疑者の逮捕を依頼し、逮捕後身柄の引渡しを要求する手配を、指名手配とする。
2項 指名手配は、指名手配書により行わなければならない。
3項 急速を要し逮捕状の発付を受けるいとまのないときは、指名手配書による手配を行った後、速やかに逮捕状の発付を得て、その有効期間を通報しなければならない。
(指名手配の種別)
第32条
1項 指名手配を行うに当つては、被疑者を逮捕した場合における身柄の処置につき、次のいずれであるかを明らかにしなければならない。
(1) 第1種手配(身柄の護送を求める場合の手配をいう。)
(2) 第2種手配(身柄を引取に行く場合の手配をいう。)
2項 指名手配は、原則として第1種手配によるものとする。

 犯罪捜査共助規則にも同様の規定はありますが、犯罪捜査規範の条文を引用させていただきました。この内容によると、既に逮捕状が発せられている被疑者について、その身柄の引き渡しを他の警察等に求めることが「指名手配」と定義されています。
 逮捕状が発せられている場合、被疑者の所在が判明していれば、逮捕状を執行することで逮捕することができる訳ですから、被疑者の所在が分からないケースにおいて「指名手配」が行われることになりそうです。

4.指名手配がなされていない公開捜査

 
 「指名手配」は逮捕状が発せられていることが原則とされています。逮捕状が発せられているのであれば、被疑者の氏名等も明らかとなっているはずです。しかし、冒頭で紹介した警視庁のHPで公開捜査がなされている内容については、犯人が誰なのか分かっていないケースも多く認められ、「指名手配」が前提となっていないように思われます。
 この点を説明しているのが、先程の通達の2(2)の例外として省略している部分になります。

通達

ただし、人定が明らかでないなどの理由により指名手配が行われていないときであっても、犯罪反復のおそれが極めて高いなど、公開捜査の必要性が特に高い場合は、各種証拠、資料に基づき、公開する人物が前記(1)の事件の被疑者であると認められる十分な根拠があることを確認した上で、公開捜査を行うことができるものとする。

 上記基準に照らして、逮捕状を発せるレベルに証拠が集まっていない段階においても公開捜査を行うことは可能となるのです。

5.公開捜査がなされた事件における弁護活動

 
 上述したとおり、公開捜査は悪質な犯行であると判断されている事件に限定して行われていますし、本来的には「指名手配」を前提とするものですから、公開捜査がなされている事件について、被疑者が特定された場合には、基本的に逮捕されることが前提となります。
 したがって、公開捜査がなされていることに気付き、犯行に及んだことを秘匿することが困難であると判断して自首する決意を固めたとしても、逮捕を避けることは難しいものといえます。同様に、公開捜査に踏み切っている以上、逮捕された後に勾留請求を回避又は却下させることも、極めてハードルが高いと言わざるを得ません。
 自身は犯人ではないことを捜査機関に弁解する目的で出頭する場合であっても、逮捕・勾留される可能性を十分に認識して行う必要はありますし、自身が犯人でないことを示唆する証拠等がある場合には、事前に弁護士に共有するなどした上で行うべきです。捜索等が行われてしまい、そのような証拠を弁護士が確認することができなくなってしまう可能性が高いからです。
 罪を犯したことを認めた上で自首する場合であっても、有利な情状を主張するために有用な証拠が存在する場合には、同じような準備が必要となるでしょう。
 逮捕・勾留の可能性が極めて高いからといって、全てを諦める必要はありませんし、弁護士の必要性はむしろ高まっている状況と言えます。

6.まとめ

 
 今回は、公開捜査について解説をさせていただきました。また、必要最小限ではありますが、「指名手配」についても触れさせていただきました。
 「指名手配」と聞くと映画や小説の中の世界のように感じていますが、警視庁のHP等を確認していただければ、皆様の生活と縁遠いものとまでは感じないように思います。
 基本的には、犯人で間違いないという状況になければ公開捜査は行われず、何らの罪も犯していないにも関わらず、犯人として公開される危険性は大きくありませんが、何らかの犯罪に関与してしまっており、その犯罪について公開捜査が行われているという状況にあるのであれば、できる限り早く弁護士へ相談する必要があります。

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