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コラム

バイト感覚で関与してしまうことも!「オレオレ詐欺」などの特殊詐欺について改めて解説

 弊所では、警察に逮捕されてしまった方のご家族からのご相談を多く承っております。ご家族からご相談いただく内容として、オレオレ詐欺や架空請求詐欺、還付金詐欺といった「特殊詐欺」と呼ばれる案件が、ここ数年非常に多いです。
 被害者の方に注意を促すために、警視庁が「母さん助けて詐欺」という名称を定めてから5年以上が経過していますが、未だにこの手の犯罪が少なくないことが窺われます。
 反社会的勢力に属していなくても、高額な報酬につられ、バイト感覚で関与してしまう会社員や学生の方もいらっしゃいますので、今回のコラムでは、所謂「特殊詐欺」と言われる犯罪類型について解説した上で、そのような犯罪に関与したことでご家族が逮捕されてしまった場合の手続の流れ等について解説させていただきます。

特殊詐欺の内容

「特殊詐欺」という罪名は存在しない

 まず、「特殊詐欺」という犯罪がどのようなものなのかについて解説します。「特殊詐欺」という言葉は、詐欺罪の中の一つの類型についての呼称であり、「特殊詐欺」という罪が、法律で定められている訳ではありません。
 ですから、「特殊詐欺」に関与した場合、刑法第246条の「詐欺罪」が適用されることが多いです。
 「特殊詐欺」の特徴は、電話や郵便物やインターネットを利用して、不特定多数の方を対象とするところにあります。様々な態様が認められますが、多く立件されている態様として、次のようなものがあります。

「オレオレ詐欺」

 「特殊詐欺」という言葉に聞きなじみがない方でも、「オレオレ詐欺」という言葉を聞いたことはあるのではないでしょうか。「母さん助けて詐欺」という名称も、「オレオレ詐欺」に起因するものと言えます。
 「オレオレ詐欺」は、親族等が危機的状況に陥っているかのように装って電話をかけ、その状況を脱するために金を無心するような詐欺行為です。
 例えば、被害者の方の子供を装って電話をかけ「職場の財産を横領していたことが発覚してしまい、すぐに着服した金額を返さなければ告訴されてしまう」などと伝え、子供が窮地に陥っていると誤解させた被害者から金額を騙し取るような内容の詐欺行為が、「オレオレ詐欺」にあたります。
 被害者の方を騙す口実としては様々な内容が考えられますが、100万円を超えるような大金を一度に騙し取られてしまう点に特徴があります。

「架空請求詐欺」

 契約の実体がないにもかかわらず、何らかの契約が成立していることを前提に、その契約に伴う代金を支払うように迫り、不安を煽られた被害者から、代金相当額の金額を騙し取る詐欺です。
 例えば、「ワンクリック詐欺」も、この類型に該当します。ワンクリック詐欺とは、アダルトサイト等を閲覧した者に対して、当該サイトを閲覧したことで、サイトの利用料等が発生したと錯覚させ、利用料名目の金額を騙し取るものです。インターネットが高齢者や未成年の方に対して普及する一方で、インターネット上の知識が十分に広まっていないことから、アダルトサイト等を閲覧していたことが家族にバレてしまうことをおそれて、安易に金額を支払ってしまうケースが多く見られます。
 このような類型の詐欺は、請求した金額が支払われない場合に、法的措置をとることなども併せて通知されることが多く、その内容によっては、恐喝罪(刑法第249条)が成立する場合も考えられます。
 利用料名目の金額ですので、騙し取る金額は10万円以下と「オレオレ詐欺」よりも少額であることが多いですが、被害者の数が多数にのぼる点に特徴があります。

「還付金詐欺」

 税金が還付される等の虚偽の情報と共に、銀行口座の情報が還付金を送金するために必要になる旨を伝え、その言葉を信じた被害者から銀行口座の情報等を入手し、当該口座の預貯金を引き出してしまうという犯罪行為です。被害者の方自身に、預貯金を直接振り込ませるようなケースも散見されます。
 最近は、ATMを利用する際に、還付金詐欺に関する注意喚起の画面が表示されますから、聞いたことがある方も多いように思います。
 このような類型の犯罪の場合、被害者の方から情報を盗み取った後、ATM等から現金を引き出すことになりますから、そのような行為について詐欺罪とは別に、窃盗罪(刑法第235条)が成立する場合があります。

「特殊詐欺」の特徴

組織的犯罪であること

 「特殊詐欺」は、上述したとおり、不特定多数の方を標的とした犯罪類型です。多くの方は、見知らぬ人間からお金を送るように伝えられたところで、安易にその言葉を信じることはありませんから、「特殊詐欺」を行う者としては、できる限り多くの人に接触しなければなりません。
 そこで、できる限り多くの人間に接触するため、ほとんど全ての「特殊詐欺」の事件は、1人の犯人が行うのではなく、組織で行われています。そして、その犯罪組織は、内部で詳細な役割分担が決められており、主な役割として次のようなものがあります。

「掛け子」

 「掛け子」とは、その名のとおり、電話を被害者に掛ける役割を担う者のことを指します。被害者の方が騙されるかどうかは、「掛け子」の話術等が重要になりますので、犯罪組織の末端に位置するものではなく、組織の中でも一定の地位を有する者が担当している場合が多く、「掛け子」の間では、被害者の方を騙すためのマニュアルが共有されているケースが多いです。
 「掛け子」は、他人名義の携帯電話(いわゆる「飛ばし携帯」)等を利用していますし、直接被害者の方と面会することがありませんので、被害者の方から捜査機関に被害申告がなされても、なかなか「掛け子」まで捜査の手が届かないケースが多いです。

「出し子」・「受け子」

 「掛け子」が騙した被害者から、直接お金を受け取る役割を担う者を「受け子」と言い、被害者から送金を受ける場合に、送金された金額を引き出す役割を担う者を「出し子」と言います。
 最近では、キャッシュカードを騙し取り、そのカードから現金を引き出すような犯罪行為も散見されますが、そのような事案の場合には、「受け子」と「出し子」を同一人物が担うことになります。
 これらの役割は、直接被害者と面会したり、監視カメラが設置されたATMを利用したりすることになりますので、捜査機関に逮捕される危険性がもっとも大きい役割といえます。
 したがって、犯罪組織の末端に位置するものが担当していることが多く、「受け子」や「出し子」が逮捕されても、他の犯罪組織の人間に捜査の手が及ばないケースも多く認められます。

「名簿屋」・「道具屋」

 「特殊詐欺」を行うにあたっては、様々な道具や情報が必要になります。
 まず、不特定多数を標的にする詐欺行為ですから、詐欺組織としては、できる限り騙される可能性の高い高齢者等と接したいと考えておりますので、そのような方々に対して効率的に接触するために、高齢者等の連絡先が記載されている名簿が必要となります。そのような名簿を入手する役割を担っているのが「名簿屋」です。
 また、「掛け子」が利用する飛ばし携帯電話や、被害者に送金させる口座も必要となりますので、それらの道具を準備する「道具屋」も存在します。
 これらの役割は、組織の内部の人間が担当していることもありますが、組織の外部の人間が担当することも多く認められます。

「指示役」

 「掛け子」が騙した被害者に、「出し子」を接触させるにあたって、「出し子」に指示を出す人間が必要となります。このような役割を、「指示役」と言います。「掛け子」が「指示役」を兼ねている場合も多く散見されます。
 「出し子」が逮捕された場合、「出し子」が利用していた携帯電話の通話履歴等も確認されますから、「指示役」も飛ばしの携帯を用いて「出し子」に指示を出します。
 「指示役」は、被害者に不審がられることがないように、「出し子」に対して適宜指示を出します。また、「出し子」の待機場所等を指定し、「掛け子」が被害者とのアポを取れた段階で、直ちに被害者宅に向かえるような状況を整えます。
 「掛け子」と同様に、逮捕されるリスクが小さく、「出し子」等が被害者から受け取った金額を、どのように組織に上納させるのかについても指示しますから、多くの報酬を受け取れているケースが多いです。
 組織の中心人物であることが多いといえるでしょう。

特殊詐欺事件の被疑者・被告人に対する手続

逮捕・勾留・接見禁止処分

 まず、上述したどの役割を担っていたとしても、「特殊詐欺」に関与した被疑者として取調べを受ける場合、ほぼ確実に逮捕されることになりますし、勾留されます。10日間の勾留期間で処分されることもほぼなく、勾留延長もほぼ避けられませんし、組織的犯行であり共犯者が存在することとの関係で、接見禁止処分もなされます。
 したがって、弁護人を選任し、弁護人が接見に行かなければ、被疑者が外部と連絡を取ることが困難になってしまいます。
 また、「特殊詐欺」の事案においては、被害者が多数存在するケースが多いので、1人の被害者に対する詐欺罪で逮捕された後、他の被害者に対する詐欺罪を理由に再逮捕されるケースも極めて多いです。
 したがって、逮捕・勾留期間が極めて長いのが、「特殊詐欺」における捜査段階の手続の特徴といえるでしょう。

起訴が原則

 被疑者が「特殊詐欺」に関与していることについて、証明十分な証拠が存在する場合、被疑者が組織の末端に位置する構成員であったとしても、起訴猶予処分を期待することはできません。
 原則として、公判請求(正式起訴)がなされることになります。
 したがって、不起訴処分を目的に弁護活動を行う場合には、起訴猶予処分ではなく嫌疑不十分を理由とするしかありません。

実刑が原則

 被告人が罪を認めている場合、裁判所が被告人に対して執行猶予付きの判決を宣告するのも極めて稀です。「特殊詐欺」は、社会的影響が大きく、被害者に与える損害も甚大なため、被害額が小さい場合であっても、実刑判決が宣告されることが多いです。
 執行猶予付きの判決を目標に弁護活動を行う場合には、示談交渉等、被害者の被った損害を回復するための活動に加えて、被告人が組織の末端に位置していたこと等を強調する必要があるでしょう。
 また、「特殊詐欺」に関与するようになった経緯についても明らかにした上で、犯罪との親和性を欠くことを主張し、併せて再犯の可能性がないことについて、裁判官を説得したいところです。

故意について

 「特殊詐欺」に関与したとして、逮捕された被疑者や被告人が、自らの罪を否認するような場合、そのほとんどが、
  「詐欺だとは知らなかった」
として、故意を否認するケースです。
 上述したように、組織の上位者は、「出し子」等の末端の構成員が逮捕された場合であっても、捜査の手が自分にまで届くことがないように、「出し子」等の人間に対して、真実を伝えないケースがほとんどです。
 また、逮捕の危険性のある「出し子」の役割を担わせるために、「特殊詐欺」であることも秘匿している場合も多く認められます。被害者から受領する物が、金銭であることすら知らされていないことも珍しくありません。
 しかしながら、組織の上位者から、仕事の内容等について詳細な説明を受けていなかったとしても、高齢者から何らかの物を受け取るという仕事を、高額な報酬で紹介された場合、怪しい仕事であることは通常察知できますし、被害者と接触する際に、偽名や虚偽の肩書等を名乗るように指示されていた場合には、虚偽の情報を伝えた上で、被害者から何らかの物を受け取ることを認識している訳ですから、
  「詐欺だとは知らなかった」
という弁解は排斥されてしまうことが多いです。
しかしながら、実際に、詐欺だと認識していなかったことを理由に、不起訴となったり無罪判決が宣告されたりしたケースは存在します。
 そのような場合、どのような認識で「指示役」の指示に従っていたのか、そのような認識であったことを裏付ける証拠が存在するか等について、弁護人がしっかり調査の上、検察官や裁判官を説得する必要があるでしょう。

まとめ

 「特殊詐欺」と呼ばれる犯罪類型について、その内容や特徴について解説させていただきました。また、簡単にではありますが、「特殊詐欺」に関与したとして逮捕された場合の刑事手続や弁護方針についてもお話させていただきました。
 組織的な犯行ではあるものの、これまで私達が弁護した、「特殊詐欺」の被疑者や被告人の方に、反社会的勢力に所属している方はいらっしゃいませんでした。普通の社会人や学生が、高額な報酬に騙され、バイト感覚で詐欺に関与し、同種の行為を継続して行っている内に感覚を麻痺させ、怪しいとは思いつつも、詐欺の片棒を担いでしまっています。
 ですから、暴力団等の典型的な反社会的勢力とは距離のある方であっても、「特殊詐欺」に関わってしまう危険性は十分にあります。そして、「特殊詐欺」に関与してしまうと、非常に厳しい刑罰が科されることが予想されます。
 早期の段階で、「特殊詐欺」についての知識を有する、刑事弁護士を選任することが、極めて重要となるのです。
 「特殊詐欺」でご家族が逮捕されてしまった方、ひとりで悩まず、まずはご相談いただければと思います。

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