少年審判は、多くの場合、1回で全ての手続を終えることになります(否認事件については、以下の関連記事を御確認ください)。したがって、最初の審判の日に、少年に対する処分が言い渡されることになります。
少年事件における否認事件とは、少年が罪を否認する場合の事件を指します。否認事件では、家庭裁判所が少年の主張を慎重に審査し、証拠の評価を行います。弁護士は、少年の主張を裏付ける証拠を収集し、適切な法的アドバイスを提供することが求められます。
試験観察処分も、少年に対する処分の一種ですから、1回目の審判の日に言い渡されることは、少年院送致等の他の処分と同じです。しかしながら、試験観察処分を言い渡された場合には、再度、審判を受けることになります。
少年法
第25条1項 家庭裁判所は、第24条第1項の保護処分を決定するため必要があると認めるときは、決定をもつて、相当の期間、家庭裁判所調査官の観察に付することができる。
2項 家庭裁判所は、前項の観察とあわせて、次に掲げる措置をとることができる。
1号 遵守事項を定めてその履行を命ずること。
2号 条件を附けて保護者に引き渡すこと。
3号 適当な施設、団体又は個人に補導を委託すること。
少年法第25条は、家庭裁判所調査官の観察について規定しており、実務上、この観察について試験観察処分と呼んでいます。
この処分は、審判の段階において、保護処分を決めるための資料が不足している場合に、家庭裁判所調査官による観察に付すことによって、その観察結果も踏まえて改めて処分を下すことを目的にしています。
試験観察処分は多用されている手続ではありません。裁判官の目から見て、少年院送致が相当である場合には、裁判官は少年院送致等の処分をくだすことに躊躇しません。逆に、試験観察処分にしていただける場合、試験観察期間中に少年や少年の保護者等の言動に改善が認められる場合には、少年院送致ではなく保護観察処分としていただける可能性が高く認められます。
そこで、付添人としては、まずは不処分や保護観察処分等、少年院送致等の身体拘束を伴わない処分を主張しつつ、現時点における資料では裁判官や調査官がそのような判断とならないことを察した時に、試験観察処分とすることを主張することとなります。
試験観察処分を下された場合、裁判官や調査官から試験観察期間中に行うべき課題を示されることが多く、当該課題について全力で向き合うことが求められますし、付添人もその内容を把握して確認する必要があります。
また、ボランティア活動等に従事させる場合には、当該活動の主催者等にも事後的に調査が行われますから、真面目に取り組むことに加えて、当該活動中の他人との接し方についても注意する必要があります。これは、少年事件においては、人間関係の形成に問題点があることが多く、人との接し方について、調査官や裁判官が注目しているケースが多いからです。